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みんなでつくる中国山地オンラインシンポジウムのふりかえり

2020年7月4日に、みんなでつくる中国山地オンラインシンポジウムが開催され、中国山地を中心に全国から約190人にご参加いただき、大盛況のうちに終わりました。ありがとうございました!シンポジウムをオンラインで開催するというのは新しいチャレンジで、慣れない点も多かったのですが、場所の制約なくどこからでも参加いただける環境をつくることができたという点で、既存のシンポジウムにはない価値が提示できたように思われました。シンポジウムには1部と2部があり、僕は2部のグループ別ワークショップの、30代Aチームを担当させていただきました。ワークショップでは主に2つのテーマについて話しました。1つはコロナ危機になって感じたこと、もう1つはこのつながりを活かして中国山地で取り組んでいきたいことです。

どちらも大変盛り上がったのですが、印象に残った話題の例を挙げると、1つ目の「コロナ危機になって感じたこと」については、農村の強さを感じたというご発言や、2地域居住の難しさを感じたというご発言がありました。農村の強さについては、コロナになっても、農家のみなさんがいつもと変わらないかのように農作業をしているのを見て強さを感じたというものです。これには僕も同意する点が多く、確かに人口密度が低いという中国山地の特徴は、こういう時には強みにもなる側面があると思います。というか、人類史をみても伝染病は、農業の発明や都市の形成を通じて人口密度が高まるとともに拡大してきたので、ある意味では当然な面もあると思います。また、2地域居住の難しさを感じたというご発言は、実際に2地域居住をしていらっしゃる方からあったのですが、確かに、国内で移動を制限されるという事態は近代以降では前例がなく、今回の異常事態ぶりを改めて強く認識させられました。

もう1つのテーマである「このつながりを活かして中国山地で取り組んでいきたいこと」については、僕は「誇りの空洞化」を、みんなでつくる中国山地のつながりで埋めていきたい、という話題を提供させていただきました。この「誇りの空洞化」という言葉は、農業経済学者の小田切徳美先生が、農山村では「人の空洞化」、「土地の空洞化」、「むらの空洞化」の3つの空洞化が進行中で、その深層にはより本質的な「誇りの空洞化」があり、地域住民がそこに住み続ける意味や誇りを喪失しつつあるとして提唱されているものです。中国山地が日本の過疎化現象で先発したのは、必ずしも経済的要因だけではなく、都市と近接していたことなども誘因であったとされていますが、近年の東京あるいは地方に移住する方をみても、全ての人が経済的な理由で移住しているわけではないことは明かです。
「誇りの空洞化」を埋める取り組みは、おそらく、足下の暮らしの価値を見つめなおすところから始まるのだと思っています。それには、中国山地に独自の価値を見出して活動していらっしゃる、みんなでつくる中国山地のつながりを欠かすことはできないと思うのです。僕自身も、世界的に持続可能な開発が求められている時代に、中国山地の暮らしの価値はきっと生きてくると思っています。

ぜひ、これからの中国山地にご注目ください!!(30代Aチーム担当:宍戸)

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