救急医の視点(3)
救急医の視点(3)
[第3章]ACLS advanced cardiovascular life support
田北無門 Mumon Takita
聖マリアンナ医科大学病院救命救急センター
北野夕佳 Yuka Kitano
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院救命救急センター
救急科領域のクリティカルな疾患・症候について,基本事項をコンパクトにわかりやすくお伝えします!
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Take Home Message
蘇生リーダーは5H(6H)& 5Tを常に意識する
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序 章
「コードブルー」,「ハリーコール」,「ドクターABC」.
その呼び方は施設によってさまざまでしょう.
患者の心肺停止を知らせるそのコールは何の前触れもなく突然訪れます.あなたが駆けつけた時には,多くのスタッフが患者さんをとり囲み,我先にと蘇生行為を施しています.
「波形はPEA! 心マ続けて!!! DCも準備しといてよ!」
「挿管したよ‼ 固定お願い!!!」
「ラインとれたよ! エピください‼」
「私,記録とります!」
「DC準備してます!」
ACLSの普及に伴い,多くの医療従事者が誰かの指示を待つことなくACLSを行うことができるようになってきています.とてもすばらしいことだと思います.
「まだPEAだね……心マ続けようか……」
「エピ……これで10本目です……」
「今,蘇生開始から30分経過してます……」
「……」
「…………」
「先生,どうすんの⁉」
それまで患者に向けられていた皆の視線が一斉にあなたに集まってきます.
そう,あなたはこの蘇生現場のリーダーです.経験のあるスタッフがいれば,たとえリーダー医師がいなくても蘇生は継続できるでしょう.ACLS普及の賜物です.そんななか,蘇生のリーダーに求められるスキルとはなんなのでしょうか.今回はACLSのリーダーにとって必要なことを整理しましょう.
PEA:pulseless electrical activity(無脈性電気活動),心マ:心臓マッサージ(胸骨圧迫),DC:direct current(ここでは直流除細動器),エピ:エピネフリン.
●今回の流れ
1.ACLSの復習
2.心停止の原因へのアプローチ
3.蘇生 次の一手:ECPR
4.特殊な状況での心停止
5.蘇生後の管理
6.蘇生 中止か,継続か
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