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総合内科まだまだ診断中!フレームワークで病歴聴取を極める(3)

総合内科まだまだ診断中!フレームワークで病歴聴取を極める(3)
[第3回]食欲不振のフレーム
森川 暢 Toru Morikawa
市立奈良病院総合診療科

ご存じ『総合内科 ただいま診断中!』に引き続き, メガネ先生が重要な疾患・症候について解説します.


はじめに

ピカピカ先生(以下ピ):うーん.
メガネ先生(以下メ):どうした,ピカピカ先生.
:この前診た食欲不振の人なんですけど,胃カメラをしても全く異常がないのです.なので,もうこれ以上やることないかなと考えています.
:バカモーン! 胃カメラ以外にも食欲不振で考えることはあるんだぞ!
:ふーん.というか,食欲不振も,お決まりのフレームがあるんですか?
:……まあいいや.食欲不振のフレームワークは以下の通りだ!

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○食欲不振のフレームワーク GERDPPIN
G:gastric          消化器,肝胆膵疾患
E:endocrine/electrolytes  内分泌代謝疾患/電解質
R:respiratory/cardiac    心肺疾患
D:drug           薬剤(アルコール含む)
P:psycho          精神疾患
P:neoplasm         悪性腫瘍
I:inflammation/infection  炎症性疾患/感染症
N:neurological        神経疾患
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:確かに覚えやすいですね,GERDPPIN! 逆流性食道炎にはPPIという意味ですよね.
:その通り! 食欲不振は鑑別が多岐にわたるので,まずはreview of systems,つまり,随伴症状を系統的に聴取することがとても有用ということだね!
:もしかして,食欲不振という主訴はlow yield(「低産出」症状)ということでしょうか?
:さすがだね! すばらしい.食欲不振はそれ自体では診断を絞ることは難しい主訴になるね.たとえば食欲不振に随伴して,黒色便や腹痛があれば…….
:消化器疾患らしいといえますね!
:その通り! あるいは,腹痛から主訴を考えたほうがいいかもしれない場合もあり得るね.ほかには,呼吸困難や咳嗽などがあれば,むしろ心肺疾患を念頭に置くべきだね.

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