マガジンのカバー画像

J-IDEO(ジェイ・イデオ)

289
感染症総合誌「J-IDEO」連載記事ごとの購読(一部のみ)が可能です。http://www.chugaiigaku.jp/item/list.php?tag=J-IDEO
運営しているクリエイター

2021年6月の記事一覧

呼吸器感染症よもやま話(26)

[第26回]Mycobacterium属の分類の混乱? 倉原 優 くらはら ゆう 国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科 (初出:J-IDEO Vol.5 No.3 2021年5月 刊行) マイコバクテロイデス? マイコリシバクテリウム? Mycobacterium属とは,Ziehl-Neelsen法で赤く染まる細菌ですが,そもそもは染まりにくい微生物です.しかも,いったん染まってしまうと,酸,アルカリ,アルコールなどで簡単に脱色できないため,“酸にあらがう”ということ

有料
100

研修医のための微生物レクチャーシリーズ グラム染色所見と培養結果からどう考える?(13)

[第13回]グラム陽性球菌編 ⑬ 黒田浩一 くろだ ひろかず 神戸市立医療センター中央市民病院感染症科 (初出:J-IDEO Vol.5 No.3 2021年5月 刊行)  前回の連載では,腸球菌(Enterococcus属)による感染症の治療について説明しました.今回は,Viridans Group Streptococciについて解説します. 1.Viridans Group Streptococci(VGS)の特徴 VGSは,中咽頭・消化管・皮膚などに常在し,β

有料
100

基礎から臨床につなぐ薬剤耐性菌のハナシ(3)

[第3回]よくわかっているようでよくわかっていないAmpC のハナシ① 西村 翔 にしむら しょう 神戸大学医学部附属病院感染症内科 (初出:J-IDEO Vol.1 No.3 2017年7月 刊行)  さて,前回までにβ-ラクタマーゼを主体としたβ-ラクタム系抗菌薬の耐性機構の総論に関してお話ししました.今回はβ-ラクタマーゼの中でもまずはAmpCβ-ラクタマーゼ(以下,AmpCと略します)に関して解説したいと思います. ┃AmpCとは 臨床的に遭遇するグラム陰性桿

有料
100

呼吸器感染症よもやま話(23)

[第23回]非結核性抗酸菌症患者への生物学的製剤はダメ? 倉原 優 くらはら ゆう 国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科 (初出:J-IDEO Vol.4 No.6 2020年11月 刊行) 関節リウマチ患者さんの困った事情 当院には関節リウマチ(RA)患者さんで間質性肺疾患が出現した方が多数通院されています.そのなかには,他院で生物学的製剤を使用されている患者さんも多い.そういう集団を診ていると,どうしてもこういった症例が出てきます. ━━━━━━━━━━━━━━

有料
100

微生物検査 危機一髪!(25)

[第25回]塗抹検査以外の結核菌検査 山本 剛 やまもと ごう 神戸市立西神戸医療センター臨床検査技術部 (初出:J-IDEO Vol.5 No.3 2021年5月 刊行)  前回は結核菌塗抹検査について解説を行った.塗抹検査といってもその結果が出てくるまでのプロセスをよく理解しておかないと思わぬところで足元をすくわれることになることを解説した.今回は結核菌検査をもう少し掘り下げてピットフォールも交えながら解説していく. 1.培養検査 結核菌検査のゴールドスタンダード

有料
100

抗菌薬選択チェックメイトへの道(24)

[第24回]抗菌薬投与で耐性菌登場⁉ 山田和範 やまだ かずのり 中村記念病院薬剤部係長/北海道科学大学客員教授 (初出:J-IDEO Vol.5 No.3 2021年5月 刊行) 医師「1ヵ月前に左上肢にグラフトを再建してから再入院している患者さん,誤嚥性肺炎で2日前からスルバクタム/アンピシリン(SBT/ABPC)で治療していましたが,昨日,MRIで新たな脳梗塞がみつかり,内科的治療も開始となりました.肺炎については酸素化が悪く抗菌薬が効いている感じがありません.お

有料
100

基礎から臨床につなぐ薬剤耐性菌のハナシ(2)

[第2回]細菌は如何にしてβ-ラクタム系抗菌薬に耐性化するのか? 西村 翔 にしむら しょう 神戸大学医学部附属病院感染症内科 (初出:J-IDEO Vol.1 No.2 2017年5月 刊行)  さて,前回は,一歩踏み込んだ感受性検査の読み方,および細菌がどのようにして抗菌薬に耐性となるのか,その耐性機構に関して概説しました.今回からは,抗菌薬クラスごとの耐性機構について解説していきたいと思います.まずは臨床で最も使用する機会が多いであろうβ-ラクタム系抗菌薬からです

有料
100

Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(25)

[第25回]日本における感染症へのひとつの形―感染症コンサルタントによるプログラム介入による戦略④― 岸田直樹 きしだ なおき 感染症コンサルタント/北海道科学大学薬学部客員教授 (初出:J-IDEO Vol.5 No.3 2021年5月 刊行) はじめに 前回は,「感染症コンサルタントによるプログラム介入による戦略 ③」として,介入する「アウトカムとデータ収集の方法」,そして「統計解析の手法」について解説しました.私が行った介入の主要アウトカムは,「介入病院の抗菌薬の

有料
100

泣く子も黙る感染対策(26)

[第26回]新人に伝える新型コロナ流行期の標準予防策 坂本史衣 さかもと ふみえ 聖路加国際病院感染管理室マネジャー (初出:J-IDEO Vol.5 No.3 2021年5月 刊行)  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行開始から2度目の4月がやってくる.昨年医療機関に就職した新人は,常にマスクを着けて働き,(少なくともおおっぴらには)飲み会に行かないのが当たり前の一年を過ごしたことになる.大変気の毒ではあるが,それもこれも,医療従事者が発端となるクラス

有料
100

突破口 感染症診療の「難問」に答えはあるか(6)

[第6回]ただちに医療体制が逼迫する状況にない,は正しいか 岩田健太郎 いわた けんたろう 神戸大学大学院医学研究科微生物感染症学講座感染治療学教授 (初出:J-IDEO Vol.5 No.3 2021年5月 刊行) 総合内科指導医D「さーて,今回もお待ちかねのCOVID-19ネタだー」 同じく総合内科指導医S「いや,特に誰も待ちかねてはいなかったと思いますよ.それに,時事ネタは危険ですよ.原稿執筆のときと雑誌が出るときのタイムラグが大きすぎますからね.出てみたら全然事

有料
100

基礎から臨床につなぐ薬剤耐性菌のハナシ(1)

[第1回]耐性菌時代に改めて考える薬剤感受性検査の読み方,考え方 西村 翔 にしむら しょう 神戸大学医学部附属病院感染症内科 (初出:J-IDEO Vol.1 No.1 2017年3月 刊行) 今回の連載にあたって “薬剤耐性菌”……最近,さまざまな媒体でこの言葉をみかけるようになりました.2016年の伊勢志摩サミットで薬剤耐性菌対策が取りあげられてから,この言葉は非医療者にまで普及しつつあり,日本でも2020年に向けての具体的な目標が設定され【1】,薬剤耐性菌への対

有料
100