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J-IDEO(ジェイ・イデオ)

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感染症総合誌「J-IDEO」連載記事ごとの購読(一部のみ)が可能です。http://www.chugaiigaku.jp/item/list.php?tag=J-IDEO
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2020年1月の記事一覧

呼吸器感染症よもやま話(15)

[第15回]気管支肺胞洗浄のあとの発熱は感染症なのか? 倉原 優 くらはら ゆう 国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科 (初出:J-IDEO Vol.3 No.4 2019年7月 刊行) BAL後の発熱  呼吸器内科では気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage, BAL)を頻繁に行います[表1]. [表1]気管支肺胞洗浄(BAL)の手順  特にニューモシスチス肺炎などの診断が難しい感染症を疑った場合に行うことが多いのですが,気管支鏡を行うと,そ

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日本全国感染症ケースカンファレンス道場破り(15)

日本全国感染症ケースカンファレンス道場破り(15) [第15回]神戸の決戦 その2 (vs神戸大学医学部附属病院感染症内科 西村 翔) 忽那賢志 くつな さとし 国国立国際医療研究センター 国際感染症センター/国際感染症対策室医長 (前回までのあらすじ)  忽那と上村は神戸大学の一休さんこと西村に勝負を挑んだが,普段どおり圧倒的に負けた.しかし西村は当直でヒマだったので,暇つぶしにもう一戦延長戦を挑んできたのだった……. 西村「忽那よ……じゃあ二回戦と行こうじゃないか!」

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Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(15)

Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(15) 第15回 AST への抗菌薬相談! 困るシチュエーション ASTとしても「感染症かどうかわからない……」への対応法① 岸田直樹 きしだ なおき 感染症コンサルタント 北海道科学大学薬学部客員教授 はじめに  前回は,コンサルタント契約をしている病院と必ずやっているML(メーリングリスト)を利用して感染症の情報を発信する「感染症コンサルタントメルマガ(キッシーマガジン)」をご紹介しました.これをきっかけに感染症の質問などを気軽

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抗菌薬選択チェックメイトへの道(15)

[第15回]インフルエンザ後に迫り来る青い影 山田和範 やまだ かずのり 中村記念南病院薬剤部係長 (初出:J-IDEO Vol.3 No.4 2019年7月 刊行) 年の瀬も迫ったある日. 医師「インフルエンザと診断した入院患者さん,オセルタミビル内服開始から2日経過した本日,室内気で酸素飽和度が80%台と低下を認め,ぐったりしています.細菌感染も疑っているのですが,何かお薦めの抗菌薬はありますか?」 薬剤師「インフルエンザ後,細菌感染ですか? 各種検査値や臨床症状を

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微生物検査 危機一髪!(14)

微生物検査 危機一髪!(14) [第14回]感受性検査の報告,危機一髪! 山本 剛 やまもと ごう 神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部 はじめに  薬剤感受性試験(以下,感受性検査)の目的は,① 治療に使用する抗菌薬選択の指標,② 抗菌薬治療の適正化,③ 薬剤耐性菌の検出,④ アンチバイオグラム作成のための基礎データの作成である.今回は感受性検査の報告に焦点を絞って解説する. 薬剤感受性の基準(日米欧の比較)  日本の検査室で実施する感受性検査は,30年ほど

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Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(14)

Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(14) 第13回 感染症コンサルタントメルマガ(キッシーマガジン): 実際どうする? セファゾリン供給不足問題への対応 岸田直樹 きしだ なおき 感染症コンサルタント 北海道科学大学薬学部客員教授 はじめに  前回は感染症コンサルタントの介入Process 3として,介入をより効果的に行うために,感染症に対するさまざまな介入の“広がりとその難しさ”についてイノベーター理論をもとに解説しました.感染症チームからしたらとても理に適った効

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抗菌薬選択チェックメイトへの道(14)

[第14回]キングサイド・キャスリング 山田和範 やまだ かずのり 中村記念南病院薬剤部係長 (初出:J-IDEO Vol.3 No.3 2019年5月 刊行) 検査技師(外部委託)「その他の部位の項目で細菌培養検査が提出されていますが,グラム染色しますか※1?」 ※1 院内の細菌培養検査については検体受付窓口の対応のみで,グラム染色を含め,培養検査の実施は中央ラボで行うため,一時的に,血液培養以外の尿,痰,髄液などの検体は薬剤師が院内でグラム染色している施設の設定で

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日本全国感染症ケースカンファレンス道場破り(14)

日本全国感染症ケースカンファレンス道場破り(14) [第14話]神戸の決戦 その1 (vs神戸大学医学部附属病院感染症内科 西村 翔) 忽那賢志 くつな さとし 国立国際医療研究センター 国際感染症センター/国際感染症対策室医長 上村「あれ……ここ神戸って書いてますけど……鹿児島に行くんじゃなかったでしたっけ?」 忽那「上村よ……いろんな大人の事情があるのだ……」 上村「ああ,まだ論文化されてない症例を道場破りしようとして,論文掲載まで保留になっちゃったってことですね」 忽

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呼吸器感染症よもやま話(14)

[第14回]緑膿菌の側撃雷 倉原 優 くらはら ゆう 国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科 (初出:J-IDEO Vol.3 No.3 2019年5月 刊行) 拡張した気管支に棲む魔物  私の外来にはたくさんの気管支拡張症の患者さんが来ます.無症状の患者さんから在宅酸素療法を適用されている患者さんまで,いろいろです.中高年,特に閉経後のやせ型の女性に多い気管支拡張症ですが,臨床転帰にもっとも影響を及ぼすのは下気道感染症です.  長い戦いになるのが,非結核性抗酸菌症で

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呼吸器感染症よもやま話(13)

[第13回]吸入ステロイドによる細菌性肺炎 倉原 優 くらはら ゆう 国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科 (初出:J-IDEO Vol.3 No.2 2019年3月 刊行) 吸入ステロイドは細菌性肺炎のリスクである  喘息やCOPDに対して用いられることがある吸入ステロイド(ICS)は,ガンガン吸っていると用量依存的に細菌性肺炎を起こします.ICS/吸入長時間作用性β2刺激薬(LABA)が発売される前は,高用量ICSが難治性喘息によく使われていましたから,今よりも肺

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呼吸器感染症よもやま話(12)

[第12回]黒い胸水 倉原 優 くらはら ゆう 国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科 (初出:J-IDEO Vol.3 No.1 2019年1月 刊行) 黒色胸水を撮り逃した研修医  黒色胸水というのを見たことがある人はいますか? 実は筆者は研修医時代に1例だけ見たことがありますが,写真を撮り忘れて,どこのジャーナルにも投稿できなかったという苦い思い出があります.当時の指導医にこっぴどく叱られました.しょぼん.

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呼吸器感染症よもやま話(11)

[第11回]あるのかないのかカンジダ肺炎 倉原 優 くらはら ゆう 国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科 (初出:J-IDEO Vol.2 No.6 2018年11月 刊行) 抗真菌薬で治ったアレはカンジダ肺炎だったのか?  抗癌剤投与後の男性がいました.G—CSF製剤を用いているにもかかわらず,発熱性好中球減少症に陥り,好中球はほぼゼロの状態でした.次第に,両肺に粒状影が目立つようになってきました.免疫不全の状況で粒状影が多発すると「ウイルス性肺炎だろうか」との考え

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呼吸器感染症よもやま話(10)

[第10回]膿胸の胸腔ドレーンをどこから挿入するか悩む 倉原 優 くらはら ゆう 国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科 (初出:J-IDEO Vol.2 No.5 2018年9月 刊行) 「寝られんやないか!」  膿胸の症例を受け持つとき,結構悩みます.どの場所に胸腔ドレーンを留置するか,頭でシミュレーションしないといけないからです.「え,膿胸腔に突っ込んだらオワリじゃないの?」とよく訊かれますが,そんな簡単なものじゃない.  たとえば[図1]のように2つに分離した

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呼吸器感染症よもやま話(9)

[第9回]ほんのちょっと胸水 倉原 優 くらはら ゆう 国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科 (初出:J-IDEO Vol.2 No.4 2018年7月 刊行) 抜けるか抜けないかは誰が決める!  他科から「胸水貯留があるので調べてください」と紹介されることがあります.了解了解,そんなの朝飯前だぜー! と胸部X線写真を見てみる.……あ,あれ? 胸水なんてほとんど貯留していないぞ.慌てて胸部CTも見てみる.あーあるある! ほんのちょっとだけ!  これを“ほんのちょっと

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