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J-IDEO(ジェイ・イデオ)

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2019年7月の記事一覧

日本全国感染症ケースカンファレンス道場破り(10)

日本全国感染症ケースカンファレンス道場破り(10) [第10話] NCGMからの追手 (vs 国立国際医療研究センター 井出 聡) 忽那賢志 くつな さとし 国立国際医療研究センター国際感染症センター/国際感染症対策室医長 忽那「ふう……もうすぐ京都だな.どのお寺に行こうかなー.最近,修学院離宮とか行ってないよなあ…….いや,ここはあえて西芳寺という選択肢も」 上村「何があえてなんですか.どっちも知らないお寺ですよ.っていうか,先生,そろそろ病院に戻らなくて大丈夫ですか?」

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Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(9)

Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(9) 第9回 ICT(→AST)への臨床推論教育 ② 岸田直樹 きしだ なおき 感染症コンサルタント 北海道科学大学薬学部客員教授 はじめに  前回も述べましたが,抗菌薬適正使用につながる臨床感染症の分野はここ10年くらいで大きく変化しています.今後も10年近くはさまざまな点で変化が続くことが予測されますが,その変化についてこられている医療者とそうでない医療者の差が現場ではとても大きくなってきているのを実感します.PK/PDに基づい

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抗菌薬選択チェックメイトへの道(9)

抗菌薬選択チェックメイトへの道(9) [第9回]R≦4って何? 山田和範 やまだ かずのり 中村記念南病院薬剤部係長 医師 「療養病棟に入院中の患者さんが本日午前中に39.8℃の発熱がありました.体温以外はバイタルサインの大きな乱れはなく,昨日までは体温は36℃台で落ちついていました.尿路感染症を疑っていますが抗菌薬は何を使ったらよいですかね?」 薬剤師 「尿路感染症ですか.入院期間は長いですか?」 医師 「1年ほど前に脳出血を発症して他院で入院加療されていました.うちに転

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日本全国感染症ケースカンファレンス道場破り(9)

日本全国感染症ケースカンファレンス道場破り(9) [第9話] 鳥取のガチな奴 (vs 鳥取大学感染症内科 北浦 剛) 忽那賢志 くつな さとし 国立国際医療研究センター国際感染症センター/国際感染症対策室医長 忽那「ついに……ついに鳥取まで辿り着いたな……」 上村「ええ,ここに来るまで長かったですね」 忽那「見渡す限りの砂漠……これが鳥取砂丘か……だがおかしい……」 上村「何がですか?」 忽那「鳥取砂丘でポケモンGOのイベントをやっていて,ヨーギラスとかが湧いてるはずなんだ

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[Special Topic]De-escalationを総括する

[Special Topic]De-escalationを総括する 岩田健太郎 いわた けんたろう 神戸大学大学院医学研究科 微生物感染症学講座感染治療学教授  De-escalationは抗菌薬適正使用プログラムの一手法である【1】.  抗菌薬は細菌感染症治療に欠かせない重要なアイテムだが,抗菌薬使用は薬剤耐性菌を増加させ,自身を無効としてしまう【2】.「使えば,使えなくなってしまう(use them and lose them)」のだ【3】.  De-escalatio

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抗菌薬選択チェックメイトへの道(8)

抗菌薬選択チェックメイトへの道(8) [第8回]ショックとアンチバイオグラムとときどき私 山田和範 やまだ かずのり 中村記念南病院薬剤部係長 医師 「昨日の夜間に39.2℃まで発熱した入院患者さん.尿路感染症を疑っています.お勧めの抗菌薬はありますか? 各種培養検査は本日オーダーしています.尿路感染症であればE. coliの可能性が高く,先日配布してもらったアンチバイオグラム[表1]からは感性率7割のセフォチアム(CTM)あたりを開始すればよいですかね?」 [表1]ア

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Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(8)

Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(8) 第8回 ICT(→AST)への臨床推論教育 ① 岸田直樹 きしだ なおき 感染症コンサルタント 北海道科学大学薬学部客員教授 はじめに  前回は,メールや電話での感染症コンサルトについて述べました.感染症のもっとも効果的な学びの機会は一つ一つの実症例の現場へ出向いたコンサルテーション対応であることは間違いありません.しかし,臓器横断的な教育を受けた感染症専門医がいる施設はきわめて限られること,また,コンサルタントという立場は非

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日本全国感染症ケースカンファレンス道場破り(8)

日本全国感染症ケースカンファレンス道場破り(8) [第8話] 倉敷のほんまもん (vs 倉敷中央病院 本間義人) 忽那賢志 くつな さとし 国立国際医療研究センター国際感染症センター/国際感染症対策室医長 忽那「倉敷に着いたな……風情があってよい町だな」 上村「なんかあそこにめっちゃデカい病院がありますね」 忽那「うむ.あれが倉敷中央病院だな.教育病院として古くから有名な,岡山県を代表する病院の一つとされる」 上村「で,あの倉敷中央病院から挑戦状が届いたんですね」 忽那「挑

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Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(7)

Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(7) 第7回 メール・電話などでの感染症コンサルト 岸田直樹 きしだ なおき 感染症コンサルタント 北海道薬科大学客員教授 はじめに  前回はProcess 1の介入(現状の把握とマイクロバイオロジーラウンドの形成)からProcess 2へ移り,職員への体系的な感染症レクチャーについて述べました[図1].感染症の最もよい学びの場は一つ一つの実症例のコンサルテーションへの対応であることは間違いありません.しかし,日本において感染症を学

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抗菌薬選択チェックメイトへの道(7)

抗菌薬選択チェックメイトへの道(7) [第7回]ヒッカムの格言デジャヴュ 山田和範 やまだ かずのり 中村記念南病院薬剤部係長 医師 「5日前に脳梗塞で入院になった患者さん,昨日から39℃台の発熱と咳嗽が見られ呼吸器感染症を疑っています.インフルエンザ迅速検査は陰性でした.おすすめの抗菌薬はありますか?」 薬剤師 「肺炎ですか?」 医師 「うーん.酸素飽和度の低下もないし,呼吸数も16回/分と増加もありません.胸部単純X線写真でも明らかな浸潤影は認めないんですよね.ただ,咳

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Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(6)

Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(6) 第6回 具体的な介入 ④ 職員への感染症教育 岸田直樹 きしだ なおき 感染症コンサルタント 北海道薬科大学客員教授 はじめに  前回は,マイクロバイオロジーラウンドからの情報発信で,感染対策上重要な微生物が検出された場合のカルテ記載例について確認しました.血液培養陽性の介入だけではなく,感染対策上重要な微生物の情報も迅速性が重要です.感染対策の点でもその対応の遅れは,伝播の拡大など院内で治療をされている他の患者さんに大きな影

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日本全国感染症ケースカンファレンス道場破り(7)

日本全国感染症ケースカンファレンス道場破り(7) [第7話] 鹿をめぐる冒険 (vs 市立奈良病院 殿村修一) 忽那賢志 くつな さとし 国立国際医療研究センター国際感染症センター/国際感染症対策室医長 忽那「ふう……ようやく奈良に着いたな.この二月堂からの眺めはいつ来ても最高だ……」 上村「そういえば,先生はこの辺で昔働いていたんですよね」 忽那「そうだ……ここからも少し見えるが,あそこにある市立奈良病院というところで一人感染症科の医長をしていたのだ……もう今日は疲れたこ

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