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【NBA】センター・ドレイモンド効果を考える

こんにちは、ちゅでるきんです。

前回のnote記事では、急成長を遂げたGSWのジョナサン・クミンガについて考えました。読んでいただけましたでしょうか?

まだ読んでいない方がいらっしゃれば、下記リンクからぜひ、ご一読くださると嬉しいです。

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さて、第3弾となる今回は、GSWのベテランであり、Big3の一角を担うドレイモンド・グリーンについて考えます。

ドレイモンド・グリーンをセンター起用して以降、GSWはリーグ有数の好成績を残しています。

日本時間2/29時点でのGSWの成績(直近14試合で11勝3敗)

直近14試合で勝率78.6%(11勝3敗)という素晴らしい成績を記録しています。複数の要因が絡むことで、上記のような好成績を残すことができているのでしょう。

今回はその中でも、ドレイモンド・グリーンのセンター起用について考えたいと思います。

「グリーンの強みは?」と聞かれた際、まず想定される回答は「DF力」でしょう。ただ、具体的に彼のDFのどこが優れているのかについて気になりませんか?

そこで、本記事ではグリーンのDF力を中心に、彼をセンター起用したことによる効果をスタッツやプレイ映像を用いて解説します。

本編に入る前に、考察における前提条件の確認をしておきます。

前提条件①
使用スタッツは日本時間2/29時点のものであること

前提条件②
使用スタッツは「Official NBA Stats」のものであること

前提条件③
ドレイモンド・グリーンのセンター起用は日本時間1/31のPHI戦以降とすること

以上3点に考慮した上で、記事を読んでくださると幸いです。

では、記事本編を見ていきましょう!



📍第1章 センター・ドレイモンドが与えるDFへの影響

第1章では、センター・ドレイモンドがGSWに与える影響について、DFの側面から考えます。

考察の際は、客観的データであるスタッツとプレイ映像から、ドレイモンドのDFについて解説していきます。

この章は以下の構成となっています。

①スタッツから考える影響

②プレイ映像から考える影響

それでは、それぞれについて詳しく解説します。

①スタッツから考える影響

まず初めに、ドレイモンドがセンター起用される前後でのチームDFの変化をDFレーティングから読み取ります。

📈センター・ドレイモンド起用前後でのDFレーティング
・センター起用前 118.0(リーグ24位)
・センター起用後 110.1(リーグ4位)

驚異的な改善ですね。
ドレイモンドをセンター起用する前は、下位クラスのDFであったにも関わらず、彼をセンター起用して以降、リーグ4位の記録を残しています。

さらに驚くべきは、ドレイモンドのOn/Offコート時のDFレーティングです。リーグ4位のDFは、彼のOn/Offでどのように変化するのでしょうか?

📈ドレイモンドのOn/Offコートスタッツ(直近14試合)
・Onコート 106.8(リーグ1位相当)
・Offコート 111.6(リーグ5位相当)

ドレイモンドがコートにいない場合でもリーグ5位相当のDFを敷いていることも興味深いですが、やはり着目すべきは彼がOnコート時の数字です。

DFレーティング106.8はリーグ1位に相当する数値です(今シーズンリーグ1位のDFレーティングを誇るMINは107.7)。

彼のDFがチーム全体を底上げしていることが、スタッツからも伝わります。

では、失点数はどう変化しているのでしょうか?
こちらもスタッツで確認しましょう。

📈センター・ドレイモンド起用前後での失点数
・センター起用前 118.4失点(リーグ22位)
・センター起用後 114.6失点(リーグ16位)

DFレーティング程ではありませんが、失点数も改善傾向にあります。4点の失点数減少は、クラッチゲームの多いGSWにとっては大きな助けになるでしょう。

さて、ここまではチームDF全体における改善傾向を示してきましたが、より細かい部分でのDFの変化も気になります。

そこで、エリア別の被シュート成功率についても見ておきましょう。

まずはシュート全体の数値変化について知りたいので、被FGのスタッツから確認します。

📈被FGスタッツ(ドレイモンドセンター起用前→後)
・被FGA 90.2本(リーグ22位)→91.9本(リーグ22位)
・被FGM 42.9本(リーグ17位)→41.5本(リーグ12位)
・被FG% 47.6%(リーグ18位)→45.2%(リーグ3位)

被FGAに大きな変化が見られない一方、被FGMや被FG%には違いがあることがわかると思います。

このスタッツから、ドレイモンドのセンター起用を始めて以降、相手のシュート確率をグッと下げることのできるチームに変貌したことが読み取れます。

では、エリア別の被シュートはどうでしょうか?
試しに3Pエリアからの被シュートスタッツを確認してみましょう。

📈被3Pシュートスタッツ(ドレイモンドセンター起用前→後)
・被3PA 36.7本(リーグ23位)→36.4本(リーグ20位)
・被3PM 13.2本(リーグ17位)→12.3本(リーグ10位)
・被3P% 36.1%(リーグ13位)→33.7%(リーグ3位)

被FGスタッツと同様の傾向が見られます。3Pを撃たれる本数自体に大きな変化はありませんが、相手チームの3P成功率に関しては、大きく落ちています。

では、ペイント内はどうでしょうか?
ペイント内失点スタッツから読み取ってみます。

📈ペイント内失点(ドレイモンドセンター起用前→後)
・50.3点(リーグ18位)→51.4点(リーグ17位)

ペイント内失点を確認すると、リーグ内順位は向上していますが、失点数は増えてしまっています。

つまり、ペイント内DFに関しては大きな改善は見られないということです。

ただ、この結果に関しての筆者の感想は「予想通り」です。
ドレイモンドをセンターとして起用することは、すなわちスモールサイズのラインナップで戦うことを意味します。

ペイント内失点に改善が見られないのは、このためでしょう。

また、上記スタッツから判明した通り、3PエリアにおけるDFは改善傾向にあります。

これに関しても、スモールラインナップを敷いたことが関係していると考えています。

スモールラインナップの利点の1つは、サイズダウンによるスピードアップです。これにより、DFではオールスイッチが可能になり、3Pでプレッシャーを与えることができるようになったのではないかと筆者は考えます。

(余談ですが、日本時間2/26に行われたGSW vs DENの試合では、悪い意味で「サイズ差」が顕著に表れていました。A.ゴードンやN.ヨキッチのプレイに注目して再度観戦してみると面白いかもしれません)

ここまでで、第1章①の部分は終了とします。


②プレイ映像から考える影響

第1章①では、センター・ドレイモンドがDFに与える影響について、スタッツの側面から考えました。

第1章②では、プレイ映像からセンター・ドレイモンドがDFに与える影響を解説していきます。

では、早速始めていきましょう。

「ドレイモンド・グリーンのDFの凄さを一言で説明して」と聞かれた際、皆さんならどう答えますか?

私は、「絶妙なポジショニング」と答えます。
というわけで、まずはグリーンのポジショニングについて、プレイ映像を見ていきます。

参考映像① ドレイモンドのドロップDF

参考映像から明らかな通り、センター・ドレイモンドはPnR時にはドロップDFを採用しています。しかも、かなり深めにドロップしていることが、映像からわかります。

リーグでドロップDFを選択するセンターと言えば、MILのB.ロペスやMINのR.ゴベアが思い浮かびますが、ドレイモンドは彼らと比較するとサイズ的に小さいです。

しかし、彼のポジショニングの上手さは身長差というハンデを帳消しにします。

参考映像①の最初のポゼッションは、LALのA.リーブスとA.デイビスがPnRを仕掛けています。グリーンはまず、リーブスのドライブレーンを潰すポジションに上手く立ち、彼のドライブを防ぎます。その後、デイビスに低確率なミドルレンジショットを迫ることにより、LALのPnRを守り切っていますね。

参考映像①の2番目のポゼッションでは、BKNのC.トーマスとN.クラクストンによるPnRが行われています。
このプレイに関しても、絶妙なポジションに立つことにより、トーマスのスピードの乗ったドライブを止めることに成功しています。

PnRの守備1つとっても、ドレイモンドのポジショニングの上手さがわかります。

では、他のプレイも見てみましょう。

参考映像② ドレイモンドのヘルプDF

参考映像②の1つ目のポゼッションはATLのD.マレーがPnRを行う場面です。注目すべきは最初のドレイモンドの位置。

PnRが起こる逆サイドに位置しています。しかし、マレーがドライブで侵入するのを確認してすぐ、自身のマークマンであるC.カペラ(ノンシューター)を放置し、適切にドライブレーンを潰すことで、結果的にブロックにつながりました。

参考映像②の2つ目のポゼッションはLALのD.ラッセルがカリー相手にポストアップを試みている場面です。一見するとカリーが守り切ったように見えますが、この場面でもドレイモンドのポジショニングが光ります。ストロングサイドにドライブされないよう、適切に位置することで、結果的にラッセルをタフショットに追い込んでいます。

観戦時はどうしてもボールマンのDFに注目しがちですが、ドレイモンドのDFに着目しながら観ると、彼のヘルプDFが機能している場面が多々あります。そういった場面に注目するのも面白いかもしれませんね。

次は、ドレイモンドのオーバーヘルプ防止について見ていきます。

ここまで様々なDF場面に絡んでいると、オーバーに出過ぎてしまうこともあると思いますが、ドレイモンドはオーバーヘルプをほとんど起こしません。

実際に映像で確認してみましょう。

参考映像③ ドレイモンドのオーバーヘルプ防止

今回も2種類のポゼッションを用意しました。
まずは1つ目から見てみましょう。

1つ目のポゼッションはLALのA.リーブスがPnRを用いてドライブする場面です。PnRをトンプソンとドレイモンドで守る構図となっています。
プレイを見ればわかると思いますが、ドレイモンドはリーブスに対して1度ヘルプに出る体制を取りますが、その後少し引いています。おそらく、この場面では、トンプソンが守り切ることを想定し、デイビスのダイブやリバウンドに備えたと考えられます。
ヘルプの引き際もわかっていることが伺えます。

2つ目のポゼッションはBKNのM.ブリッジスがPnRを用いてドライブする場面です。PnRをクミンガとドレイモンドで守る構図となっています。
このプレイでは、BKNのN.クラクストンのスクリーンが機能せず、クミンガにかかっていませんね。これをドレイモンドは見逃しませんでした。クミンガがブリッジスのドライブに追いつけることを信じ、ドレイモンドはオーバーヘルプすることなく、クラクストンを適切に守っています。

これら2つのポゼッションから、ドレイモンドはヘルプの引き際も理解しており、オーバーヘルプを防止していることがわかると思います。

DF映像も最後です。
次はスイッチDFについて見ていきましょう。

皆さんもご存知の通り、ドレイモンドはガードからセンターまでをハイレベルに守ることのできるエリートディフェンダーです。

当然、彼はスイッチDFでも存在感を見せます。
プレイ映像を確認します。

参考映像④ ドレイモンドのスイッチDF

1つ目のポゼッションでは、UTAのK.ジョージとJ.コリンズのPnRが起こっています。
ドレイモンドはセンターですが、迷うことなくガードのジョージにスイッチすることができます。その後の展開は見ての通りです。ジョージのスピードに遅れることなく、長いウィングスパンを活かし、ドライブを止めることに成功しています。
このポゼッションから、ドレイモンドの万能性が垣間見えます。

2つ目のポゼッションは、ドレイモンドのスイッチ力というよりも、チームとしてのスイッチ力が光った場面です。MEMのD.ローズがドライブ機会を伺うために、2枚のスクリーンを利用しています。しかし、GSWはどちらのスクリーンに対してもスイッチを即座に行うことにより、ローズを低確率のミドルレンジプルアップシュートに追い込んでいます。このようなDFが、第1章①で述べたようなDFレーティング改善の要因の1つなのでしょう。

ここまでで、プレイ映像からドレイモンドのDF力を確認してきました。

ぜひ、試合中はドレイモンドの絶妙なポジショニングに注目してみてください。

以上で、第1章②の部分は終了とします。

📍第2章 センター・ドレイモンドが与えるOFへの影響

第2章では、センター・ドレイモンドがGSWに与える影響について、OFの側面から考えます。

DFほど多くを説明するつもりはありませんので、気軽に読んでくださると幸いです。

OFに関しても、DFと同様にスタッツとプレイ映像から、ドレイモンドの与える影響について解説します。

この章は以下の構成となっています。

①スタッツから考える影響

②プレイ映像から考える影響

それでは、それぞれについて詳しく解説します。

①スタッツから考える影響

まず初めに、センター・ドレイモンド前後でのチームOFの変化をOFレーティングから読み取ります。

📈センター・ドレイモンド起用前後でのOFレーティング
・センター起用前 117.3(リーグ11位)
・センター起用後 118.1(リーグ8位)

DFほど劇的な変化は見られませんが、ドレイモンドのセンター起用以前もそこそこの数値であったOFレーティングは、センター起用後に微増し、現在はリーグ8位の数値を誇ります。

では、ドレイモンドのOn/Offコート時、OFレーティングはどのように変化するのか?確認してみましょう。

📈ドレイモンドのOn/Offコートスタッツ(直近14試合)
・Onコート 118.4(リーグ5位相当)
・Offコート 113.0(リーグ24位相当)

圧倒的差がありますね。
On/Offコートスタッツに関しては、DF以上にOFにおいて違いが生まれるのは興味深いです。

このような結果になる原因は複数考えられますが、今回はペースを取り上げたいと思います。

ということで、センター・ドレイモンド前後でのペースを確認してみましょう。

📈センター・ドレイモンド起用前後でのペース
・センター起用前 99.70(リーグ13位)
・センター起用後 101.80(リーグ6位)

ドレイモンドをセンターに起用することで、GSWのペースが速くなっています。

さらに深く考えるために、ペースに関してもドレイモンドのOn/Offコートスタッツを見てみます。

📈ドレイモンドのOn/Offコートスタッツ(直近14試合)
・Onコート 104.80(リーグ1位相当)
・Offコート 101.80(リーグ6位相当)

ドレイモンドがOnコート時は、リーグ1位相当のペースを誇ります。ペースが押し上げられることにより、シュート機会が増加し、結果的にOFレーティングの数値向上の要因の1つになったと考えられます。

その他にも要因は考えられそうですが、今回の記事ではここまでとします。

以上で、第2章①の部分は終了とします。


②プレイ映像から考える影響

第2章①では、センター・ドレイモンドがOFに与える影響について、スタッツの側面から考えました。

第2章②では、プレイ映像からセンター・ドレイモンドがOFに与える影響を解説していきます。

ただし、OFに関しては第2章①と同様、少なめの解説に留めたいと思います。

では、早速始めていきましょう。

センター・ドレイモンドがOFに与える影響として今回取り上げたいのは、スペーシング効果です。

これはスモールラインナップを敷くことによる恩恵の1つですね。
まずは参考映像を確認しましょう。

参考映像⑤センター・ドレイモンドによるスペーシング効果

ドレイモンドはセンターとしては非常に珍しいパサーのため、映像ではボールを保持している状況となっています。

注目すべき点は2つあります。1つ目は、GSWの各選手の位置です。5アウトの状態となっていますね。そして2つ目の注目点は、5アウトによって作り出されたペイントエリアのスペースです。
このスペースを活用することで、カリーのイージーバスケットが生まれています。

このように、ドレイモンドをセンターに起用することでスペースが生まれ、カッティングがしやすくなります。

これは、センター・ドレイモンドがOFに与えている効果の1つとして考えても良いでしょう。

短めですが、ここまでで第2章②の部分は終了とします。

📍終章と軽い宣伝

さて、本記事ではセンター・ドレイモンドがチームに与える影響をスタッツやプレイ映像を用いることで明らかにしました。

ドレイモンド・グリーンをセンター起用して以降、チームの成績はかなり向上しています。

終章部分は日本時間3/2に執筆していますが、現在GSWはロード8連勝中でウエスト9位に位置しています。5位以下のチームとのゲーム差も縮まっています。

プレイインでのアドバンテージを獲得するために、なんとか7位フィニッシュを目指したいところです。

残り期間もGSWに注目しつつ、NBA観戦を楽しんでいこうと思います。

最後に少し宣伝です。

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では、第3弾の記事はここまでとします。
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