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【NBA】ジョナサン・クミンガの急成長を考える

こんにちは、ちゅでるきんです。

前回のnote記事では、不穏なシーズンを送るGSWをトランジションの観点から考えました。読んでいただけましたでしょうか?

まだ読んでいない方がいらっしゃれば、下記リンクからぜひ、ご一読くださると嬉しいです。

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さて、第2弾となる今回は、GSWの若手であるジョナサン・クミンガについて考えます。

GSWファンの方ならすでにご存知でしょうが、1月以降、クミンガは驚くべき急成長を見せ続けています

直近10試合のスパンでスタッツを確認すると、10試合中9試合で20得点を超える活躍を残しています。また、得点数だけでなく、シュート効率の高さも特筆すべき点でしょう。

では、遂に開花の兆しを見せたGSWの若手、ジョナサン・クミンガの強みは具体的にどこにあるのか?

「クミンガの活躍は知っているけれど、実際何が凄いのかわからない」という方も多いのではないでしょうか?

そこで、本記事ではクミンガの凄さについて、具体的なスタッツやプレイ映像を参考にしながら解説します。

なお、本記事で使用されるスタッツは日本時間2月7日時点のものです
また、使用するスタッツはすべて「Official NBA Stats」のものです

では、記事本編を見ていきましょう!


📍序章 基本用語解説

解説に入る前に、本記事で登場する基本用語を解説します。

「そんなの今さら大丈夫👌」というバスケ玄人の皆さんは、この章を飛ばしても本記事の内容理解に支障はありません。

それでは、基本用語を以下で解説していきます⏬

・タッチ
試合中、プレイヤーがボールに触れ、保持した回数のこと。

・トランジション
攻守の切り替えのこと。

・PPP(=Points Per Possession)
得点効率のこと。
計算式は「合計PTS/合計Poss」

・TS%(=True Shooting%)
3ptやFTの価値を考慮に入れたショット効率のこと。
計算式は「PTS/2×(FGA+0.44×FTA)」
FTAに0.44をかける理由は、FTAから可能な限り正確なOF回数を導出するため。

以上の用語は、普段NBAを観る際にあまり目にすることがない印象のため、改めて解説しました。

準備はできましたか?
それでは、ジョナサン・クミンガの成長や強みについて、具体的に見ていきましょう。

📍第1章 スタッツから考えるクミンガの成長

第1章では、クミンガの成長についてスタッツの側面から考えます。

数字という客観的な要素からクミンガの成長を考えることで、彼の強みを具体的に説明することができると思います。

この章は以下の構成となっています。

⓪クミンガのプレイタイム推移とチームOFの推移

①TS%から考えるクミンガの強み

②トランジションから考えるクミンガの強み

③タッチ数から考えるクミンガの強み

④3ptから考えるクミンガの強み

それでは、それぞれについて詳しく解説します。

⓪クミンガのプレイタイム推移とチームOFの推移

初めに、クミンガのプレイタイム推移とチームOFの推移を確認します。

📈クミンガのプレイタイム推移(2023-24シーズン)
・11月 19.7分
・12月 24.4分
・1月 30.5分

11月以降、着実にプレイタイムを増やしていき、1月には30分を超える出場機会を得ています。紛れもなく、カーHCの信頼を勝ち取ったと言えるでしょう。

では、クミンガのプレイタイムを徐々に増やした結果、GSWのチームOFはどのように変化したのでしょうか?

チームの平均得点推移を確認しましょう。

📈GSWの平均得点推移(100possごと)
・11月 113.6pts
・12月 118.1pts
・1月 121.9pts

GSWの平均得点は月を重ねる毎に増加していることがわかります。11月と1月の平均得点を比較すると、+8.3点です。

もちろん、様々な要因が考えられますが、クミンガのプレイタイム及び役割増加もチームOF向上の主要因の1つでしょう。

チームOFを底上げしているクミンガ。
では、彼のOFにおける強みは一体どこにあるのでしょうか?

ここからは、より詳細にクミンガの個人スタッツに焦点を当てて考えてみます。

①TS%から考えるクミンガの強み

①では、クミンガのTS%にフォーカスします。

さて、クミンガはどれほどのTS%を残しているのでしょうか?

早速見てみましょう。

📈クミンガのTS%(2023-24シーズン)
・11月 53.4%
・12月 62.6%
・1月 66.5%

プレイタイム同様、TS%も月を追うごとに良くなっています。

特に、1月に記録した66.5%のTS%は、スタープレイヤーと比較しても見劣りすることがないほどの確率です。

比較してみましょう。

📈NBAスターのTS%
・ヤニス・アデトクンボ 64.9%
・ケビン・デュラント 64.9%
・カワイ・レナード 64.1%

クミンガは、今季オールスターに選出された選手たちと同じレベルのシュート効率を誇っていることがわかります。

2023-24シーズンのオールスター一覧

このことから、クミンガの強みの1つとして、「高いシュート効率」が浮かび上がりました。

この出来を継続できるか、非常に楽しみです。

②トランジションから考えるクミンガの強み

①の部分では、クミンガの強みの1つである「高いシュート効率」を明らかにしました。

次に、トランジションの観点からクミンガの強みを考えます。
早速、クミンガのトランジションスタッツを確認してみましょう。

📈クミンガのトランジションスタッツ
・PPP 1.40(※リーグ4位)
・Poss 2.9回
・得点 4.0pts
※最低25試合出場かつトランジション回数が1.5回以上の選手間での順位

まず注目すべきはPPPの数値でしょう。クミンガの記録である1.40はリーグ4位の数字です。

クミンガがトランジションに走った場合、リーグトップクラスの得点効率を誇ることがわかります。

ただし、得点数は上位ではありませんでした。
この理由は「poss数の少なさ」にあると考えられます。

クミンガのトランジションにおける得点機会は、1試合あたり2.9回です。この数字も決してリーグ上位ではありません。

そこで、クミンガと似たタイプのプレイヤーのトランジションにおけるposs数を確認してみましょう。

📈クミンガと似たプレイヤーのトランジション数
・ヤニス・アデトクンボ 6.1回(リーグ3位)
・パスカル・シアカム 4.5回(リーグ10位)

比較的クミンガと似た体格、プレイスタイルを持つスター選手であるヤニスとシアカムは、共にリーグトップクラスのトランジション回数を誇ることがわかります。

このことから、クミンガが今後さらに飛躍するためには、トランジションの機会を増やすべきだと考えられます。

PPPの高さから、クミンガはトランジションに走れば止めることが難しいプレイヤーであることは明白です。

そんな彼により多くのトランジション機会を与えることができれば、間違いなく活躍するでしょう。

トランジションにもクミンガの強みが表れていることがわかりました。

③タッチ数から考えるクミンガの強み

次は、タッチ数からクミンガの強みを考えてみます。

①では、TS%の観点からクミンガの「シュート効率の高さ」という強みを明らかにしましたが、③で扱うタッチ数からは、彼の「プレイ効率の高さ」が見えてきます。

では、クミンガのタッチスタッツを確認しましょう。

📈クミンガのタッチスタッツ(現地時間1/12-25時点)
・タッチ数 49.8回
・得点 24.9pts(リーグ18位)
・タッチ毎の得点 0.5pts(※リーグ3位)
※上記期間で平均20pts以上の選手間での順位

クミンガの平均タッチ数は49.8回。これはNYKのアイザイア・ハーテンシュタインやBKNのニック・クラクストンと同程度の数値です。

例に出したプレイヤーからも分かる通り、クミンガがボールに触れ、保持する回数は多いとは言えません。

ただし得点数になると話は変わります。現地時間1/12-2/5の期間で、クミンガの得点数は選手全体の中で18位に位置しています。つまり、タッチする回数は少ないにも関わらず、得点数は多いということです。

これを確かめるために、タッチ毎の得点数を調べてみると、クミンガは1回のタッチで0.5得点していることがわかりました。

これはリーグ3位の数値であり、クミンガのプレイの効率性を表していると言えるでしょう(余談ですが、リーグ2位はステフィン・カリーでした)。

よって、タッチスタッツから、クミンガの「プレイ効率の高さ」という強みが浮かび上がってきました。ただし、この数値は今後は目立たなくなる、というのが筆者の仮説です。

今後のクミンガは、チームのメインオプションを担う存在へと進化することが予想されるため、タッチ数が増加し、今回ほどの効率性を記録することは難しいと考えているためです。

④3ptから考えるクミンガの強み

③では、タッチ数からクミンガの「プレイ効率の高さ」を明らかにしました。

④では、3ptシュートに焦点を当てていきます。
皆さんは、クミンガの3ptシュートに対してどのようなイメージを持っていますか?

個人的には「クミンガは3ptが苦手」という印象を抱いていたのですが、直近の活躍では、その印象が薄れつつあります。

まずは、彼のキャリア全体での3ptスタッツを確認してみます。

📈クミンガのキャリア3pt
2021-22シーズン 33.6%
2022-23シーズン 37.0%
2023-24シーズン 33.0%

2年目のシーズンに改善が見られたものの、今シーズンは現時点ではキャリアワーストの3pt成功率となっています。

3pt成功率33.0%は、お世辞にも高い数値とは言えません。
「クミンガは3ptが苦手」という筆者が感じていた当初の印象もあながち間違ったものではないと考えます。

読者の皆さんも、似たような印象をお持ちなのではないかな、と思います。

しかし、3ptシュートエリア全体の確率ではなく、「コーナー3pt」にエリアを絞った場合のクミンガのシュート成功率を確認すると、この印象は一転します。

📈クミンガのキャリア3pt成功率(コーナー)
・2021-22シーズン 28.6%
・2022-23シーズン 40.9%
・2023-24シーズン 43.2%

コーナ3ptに関しては、年々成功率を上げており、今シーズンは現時点で43.2%の数値を誇ります。

この成功率を活かすためには、オフボール時のクミンガをコーナーに配置することが重要でしょう。

実際に、カーHCもオフボール時のクミンガをコーナーに配置していることが多い印象です。

以上のように、クミンガのコーナー3ptのスタッツから、新たな彼の強みである「コーナーでのシュート成功率の高さ」が見えてきました。

ここまでで、第1章「スタッツから考えるクミンガの成長」は終了です。

📍第2章 プレイから考えるクミンガの成長

第2章では、プレイ映像からクミンガの成長について考えます。

第1章で明らかにした「スタッツ面でのクミンガの成長及び強み」に加え、実際のプレイを確認することで、より詳細に彼の強みを見ていきます。

この章は以下の構成となっています。

①トランジションにおけるスピード

②ファールドローの技術

③ベースラインアタック

④ショルダーバンプの技術

それでは、それぞれについて詳しく解説します。

①トランジションにおけるスピード

第1章の②「トランジションから考えるクミンガの強み」でも明らかにしましたが、クミンガはトランジション面において優秀なプレイヤーです。

彼をトランジションで際立てている要素の1つとして、今回はスピードを見ていきます。ご存知の方も多いでしょうが、クミンガの運動能力はNBAでも上位のものです。そんな彼のトランジションにおけるスピードを実際にチェックしてみましょう。

参考映像: クミンガのトランジションでのスピード

意味がわからないほどに速いですね。クミンガの天性のスピードこそ、彼がトランジションにおいて優秀な理由の1つでしょう。

第1章でも話しましたが、今後は彼のトランジション数を増やしたいですね。

②ファールドローの技術

次に、クミンガのファールドローの技術を確認します。

クミンガは比較的積極的にファールドローを狙いに行く印象であり、その中でもドライブ時にボールを下から上にスイングする動きにより、FTの獲得を狙うプレイが多いです。実際に見たことがある人も多いのではないでしょうか?

プレイ映像を確認しましょう。

参考映像:クミンガのファールドロー

ご覧の通り、クミンガがドライブ時に積極的にファールドローを狙っていることが分かると思います。

この技術は、他のスコアラーも使用しているものなので、皆さんも試合観戦をする際は注目してみると面白いかもしれません。

彼のDFをする際は、身体能力やドライブにおける驚異に加え、ファールドローも考慮に入れなければならないので、相当苦労するでしょう。

③ベースラインアタック

あまり注目されることがないですが、クミンガのベースラインからのアタックも相当な驚異になり得ると考えています。

第1章の④「3ptから考えるクミンガの強み」でも説明しましたが、クミンガはコーナー3ptで高い成功率を誇るため、オフボール時はコーナー配置が理想です。

実は、コーナー配置が理想であると考える理由はもう1つあります。それが、クミンガのベースラインアタックです。

まずはプレイ映像を見てみましょう。

参考映像:クミンガのベースラインアタック

映像から、SACの選手がカリーの引力によってヘルプに出た隙をつき、クミンガがコーナーから走り込み、ダンクを決めた様子が確認できます。

正直、クミンガほどの運動能力の選手がコーナーから走り込み、その勢いのままアリウープなどに飛ばれた場合、NBAレベルのDFであったとしても完璧に抑えるのは困難でしょう。

よって、コーナー3ptとベースラインアタックが選択肢にあるオフボール時のコーナー配置が現時点ではクミンガの理想だと筆者は考えています(特にカリーが衰えていない現状を踏まえると)。

④ショルダーバンプの技術

第2章の最後は、クミンガのショルダーバンプの技術を見ていきます。

前述の通り、クミンガの身体能力はNBAでも目を見張るものがあり、この能力とショルダーバンプはかなり相性が良いと思います。

まずはプレイ映像を確認しましょう。

参考映像:クミンガのショルダーバンプ

映像からは、SACのドマンタス・サボニス相手にクミンガが肩を当てることで小さなスペースを作っていることが確認できます。

クミンガにとって、この「小さなスペース」があるだけでもかなり有利なのです。

クミンガのスピードについては、第2章の①でも紹介しました。

しかし、彼のスピードは平面のものだけでなく、垂直方向(=最高到達点に達する速さ)においても相当なものであると認識しています。

反応が遅れたDF相手にクミンガがジャンプし始めたら最後、相手DFは止めることが難しくなります。

そのため、ショルダーバンプをし、小さなスペースを作ることが、クミンガにとって絶好の得点機会創出につながるのです。

この技術は試合中に何度も見られるので、ぜひ注目してみてください。

ここまでで、第2章「プレイから考えるクミンガの成長」は終了です。

📍第3章 クミンガの今後の課題

第1章と第2章では、クミンガの強みや成長点を中心に考えました。

では、クミンガがさらに活躍するためには何が必要なのでしょうか?

第3章では、クミンガの今後の伸び代について考察したいと思います。

この章は以下の構成となっています。

①リバウンド数

②ヘルプDFへの対処

それでは、それぞれについて詳しく解説します。

①リバウンド数

1つ目のクミンガの課題点として、リバウンド数を挙げたいと思います。

彼の身体能力やフレームを考えると、もう少しリバウンドは獲得できると思います。

実際のスタッツを確認してみましょう。

📈クミンガのキャリアリバウンド数
・2021-22シーズン 3.3REB
・2022-23シーズン 3.4REB
・2023-24シーズン 4.7REB

いずれのシーズンにおいても、5REB以下となっています。

個人的には、もう少しリバウンドで存在感があっても良いな、と思います。

しかし、実はそのリバウンドも月別で確認すると成長傾向にあることがわかります。

📈クミンガのリバウンド数(2023-24シーズン)
・11月 2.8REB
・12月 5.4REB
・1月 5.8REB

今シーズンのリバウンドを月別に見ると、プレイタイムが少なかった11月を除き、5REB以上の記録であることがわかります。

よって、1つ目の課題点として挙げたリバウンド数は、徐々に改善傾向にあり、ポジティブに見ています。

将来的には、ダブルダブルを量産してもおかしくない実力の持ち主だと考えているので、今から楽しみです。

②ヘルプDFへの対処

2つ目の課題点として、ヘルプDF(特にポストアップ時)を挙げたいと思います。

まずはプレイ映像を確認しましょう。

参考映像:クミンガのターンオーバー

ヘルプDFへの不注意により、ターンオーバーにつながっていることが確認できます。

ヘルプディフェンダーへの対処に不安が残るため、クミンガをメインハンドラーにするのは時期尚早かな、と筆者は考えています。

逆に、この点の改善ができた場合、ピックアンドロールハンドラーとしてのクミンガを見たい気持ちもあります。

GSWはチームの性質上、ピックアンドロールが少ないです。ただ、今後カリー体制からの移行を考えた際、チームの中心となるのは現状クミンガです。

スムーズな移行のためにも、クミンガのピックアンドロールハンドラー技術の習得は必須でしょう。

よって、彼のヘルプDFへの対処意識は必要になってくるはずです。

ここまでで、第3章「クミンガの今後の課題」は終了です。

📍終章と軽い宣伝

さて、本記事ではクミンガの成長点や強みについて、スタッツやプレイ映像を用いることで明らかにしました。

また、クミンガのさらなる成長のために克服が必要な課題点についても解説しました。

日本時間2/9にトレードデッドラインが終了し、GSWは大きな動きをすることなく残りのシーズンを戦うことも決まっています(コーリー・ジョセフのトレードは悲しいですが😭)。

今シーズンの優勝は厳しいですが、なんとかプレイオフに滑り込み、クミンガにさらなる経験を積ませたいですね!

最後に少し宣伝です。

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では、第2弾の記事はここまでとします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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