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『星の子:今村夏子』を読んだ

○読む前
『むらさきのスカートの女」を読み、他の作品も読みたくなった。あらすじを見て気になったので。表紙の星空いいなあ。

○覚書
・未熟児で生まれたわたし(ちひろ)。いろんな病気をしていたらしいが覚えていない。両親も姉(まさみ)も気が気じゃなかったろうなあ。

・父の同僚からとある水を勧められた。金のめぐみ。湿疹を優しく撫でるように清めるといいと。胡散臭いけど縋るしかないのか。娘のためならなんでもする。

・実際に効果あり、湿疹は治るし、飲んだら風邪も引かないし、料理に使えば美味くなる。金星のめぐみという名前で通販されている。水だけではなく野菜や衣料品、家具まで売っている。手広く商売してんなあ。

・なんで効果が出たんだろう。絶対嘘商品じゃん。信じる心?でもちひろは信じてない(っていうか信じる信じないの感覚がまだない年齢だろう?)と思うんだけど。両親が勧めるものだから、良いものに違いないってこと?

・母が食材をそちらに変えてから、娘の状態は良くなり、事細かに書かれていた育児日記は、もう必要がなくなり書かれなくなった。病気が良くなるのは良いことだけど、日記だけ置き去りにされた感じがして寂しさがあるね。

・金星のめぐみを勧めてくれたのは落合さん。鼻が長くて紫色のめがねをかけているおじさん。お家へ行きお菓子をいただく。姉は食べようとしない。姉は異様さに気づいているんだろうな。

・タオルを水に浸し、おしぼりにして頭にのせられた。『身体のなかで宇宙に一番近い部位であり、また全身の神経が集まる場所でもある頭頂から直接働きかけることにより、血液中のリンパ球がより一層刺激される』らしい。胡散臭さがぷんぷんだ!

・落合さんの息子は声が出ない病気らしい。トイレで出会した時にはしゃべっていたが。2階から睨みつけるデブの男の子。理由があって話せないフリをしている?話せない方が大切にしてくれるからとか?

・母の弟である雄三おじさん。だまされてる」「たのむから目を覚ましてくれ」と説得に来た。まともそうな親族がいてよかった。頻回に訪問するうちに公園の水とすり替えていたらしい。気づかず水の効果をほめる両親。2ヶ月も気づかなかった。思い込む力ってすげー!

・父激怒。水をすり替えて捨てられていたから?それともそれを気づけなかったことに対して?父に共鳴するようにちひろもおじさんを帰そうとする。まさみが包丁を持ち出した。まさみは多分、帰さないとおじさんが危ないとおもったんだろうな。まさみが協力して水を入れ替えていた。両親に目を覚ましてほしかったんだろう。

・教会のおまつりやイベントに友達を誘って参加していたちひろ。教会の友達のほうへ行って、誘った友達をほったらかし。宗教への勧誘がどうこうより、根本的にちひろの振る舞いが変だよなあ。でも自分が居心地いいところに行きたくなるよなあ。

・転校生のなべちゃん。美人でスポーツもできる。ちひろが好きな人を華麗に奪っていった。人間不信になりそう。

・ターミネーター見てから、周りも自分も醜く見える。あまりにもカッコよかったんだろうな。衝撃が走る。目の病気だと言われ、目薬もめがねも落合さんから強くすすめられた。大きな紫色の眼鏡は相当目立ちそう。なんで目立つようなデザインで作るんだよ。

・学校が同じ春ちゃん。教会にも学校にも居場所がなかったんじゃないかな。中学生になって感情が表に出たのは吹っ切れたのか、洗脳が完了したからなのか。

・高校を退学したまさみは家を出ていった。出て行く前日の夜中、ちひろと話をした。水すり替え事件の話や恋話。書き置きを残して消えた。

・落合さんの息子、ひろゆきから突然電話。スズキと偽って、誰にも言わずに来いと言う。将来結婚するんだと言う。他にも候補がいるから確定では無いというが、横柄な態度のひろゆきなんか願い下げだが?突然キスしてこようとするなんて気持ちわる!結婚相手を宗教仲間から見つけるのが風習なんだろうか。クソ野郎だった。

・新任の南先生がどタイプなちひろ。プロフィールをまとめたり、似顔絵を描いたりした。淡い恋心、いいじゃない。

・過去四回引っ越しをし、そのたびに我が家はどんどんせまくなっていった。宗教にどんどんお金を持っていかれているんだろう。

・祖母の法要で出るお弁当が楽しみ。家での食事はじゃがいもや豆腐。両親はほとんど食べない。心は満たされていたんだろうか?

・ちひろにとった宗教や教会という存在は当たり前過ぎて、だますとかだまされるというものでは無いんだろう。ただ自然に存在しているもの。

・なべちゃんたちと南先生に車で送ってもらった。ちひろの家近くの公園で父と母が水のお清めをしている姿を見て、先生は不審者がいるなと言った。自分にとっての日常を否定されたような気持ちになるだろうな。

・春ちゃん、めっちゃ社交的になってる!彼氏までいるなんて。

・ちひろとドライブデートしたことになっている南先生。冷ややかな視線をしている。生徒に手を出していると噂になった人だから、良い先生ではないのかも。

・法要の人、雄三おじさんから、高校はこちらの家から通わないか?と提案される。両親と離れて暮らした方がいいと。言っている意味は解るがこのままでいいとちひろは断る。まさみのように家出したいと思ったことがないから。でも何度か雄三おじさんと和歌子おばさんは家を訪ねてきた。両親は昔のように追い返そうとはしなかった。両親も分かっているのかもしれない。ちひろを手放した方がいいことを。

・南先生に似顔絵描いてることを、みんなの前で怒られた。心がギュッとした。つら。水の事は関係ないはずなのに、ここぞとばかりにちひろを全否定してきた。

・友達の両親が宗教を信じていると知ったら、私もなべちゃんや新村くんみたいな対応をするだろうな。こういう両親を持って可哀想だから?哀れみ?

・星々の里での研修会。交流会や宣誓の時間がある。信じるものは自由だから止める気はないが、言葉の端々に宗教みがあって怖い。宇宙のエネルギーとか。自分が知らないものは受け入れたくないのが人間の性なんだろうな。

・両親に星を見に行こうと言われた。施設からでも見えるのに。流れ星がたくさん流れているのに両親は見えないと言い張る。そのうち父と母に両側から強く抱きしめられていた。勉強や進路のことを聞いているから、離れて暮らすことを考え始めたんだろうか。

・ここで終わり!?急に幕切れが来たのでびっくりした。

○読み終わって
もう少し話が続くものかと思っていたので、急に手を離されたような気持ち。とても驚いた。後は読者の想像に任せますということ?

「自分にとって当たり前のことは、多分他のみんなにとっては当たり前じゃない」と気づいた時、生きづらさを感じそう。自分の当たり前を当たり前としてくれる家族や宗教の仲間たちとの関係はそりゃ強まっていくよな。そうやって勝手に結びつきを強めて大多数の世間から離れていって、より宗教にはまっていって…アリジゴク。

ちひろから「宗教」に対しての感情や思いを直接書かれたものはなかったよな?どう思っていたんだろう。宗教を信じる身内と信じない世間との狭間で。

多分高校からは両親の元を離れて、雄三おじさんの家に移るんだと思うんだけど。新たな人間関係を通して、ちひろの考えが変わっていく様をもっと見ていたかったな。

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