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本活探訪 No.1(きんじょの本棚)

本に関するおもしろい活動を「本活」と呼ぶことにした。ググった限りでは共通語としての言葉はまだはっきりとはないようだが、それほどずれてもいないようなので使っても大丈夫だろう。

リブライズでも実際に使われている場所で話を伺うことはある。しかしそれはサービスの使われ方の確認や改善・サポートが目的である。しかし、Showcase.❤️の開発を始めてから、自分たちが作っているサービスと関係するかどうかはわからなくても、リアルな場所で行われている本の活動を見に行くことで、結果的にいろいろと得られるのではと思うようになった。

とは言え、すぐに行けるところは限られている。まずは自分の住んでいる関東圏からである。ということで、少し前からいろいろとお話をさせていただいている「きんじょの本棚」の金城さんにコンタクトを取り、訪問の相談をしたところご快諾いただいた。きんじょの本棚は町田市を中心とした活動で、家の前に本棚を置いておいて、本を持ち出すのも持ち込むのも自由というアイデアから始まっている。

町田市から始まった活動ということで、その近辺には「店」が多い。(きんじょの本棚では本棚が置いてある場所ごとに番号を付けて「〜号店」と呼んでいるが、実際に本棚で何かを販売しているわけではない。)

訪問の日程を相談する中で、「玉川大学駅前」だと歩いて回れる範囲にいくつか店があるとのこと。駅で待ち合わせをしていくつか実際の店に足を運んだ。「店」と言っても基本的には庭先に置いた本棚である。アメリカで始まった活動であるLittle Free Libraryと置き方は似ているが、「借りる・返す(しかし返す先はどこでもよい)」というのを基本的な取り決めにしてある。もちろん借りたまま返さない人がいることも想定の範囲内ではあるが、Little Free Libraryは「持って帰ってしまってよい」と謳っていて、このあたりは、アメリカと日本の文化の違いだろうか。それもまたおもしろい。

案内してくださった金城さん。自身で持ってきた本をどんどん置いていく。

基本的にはそれだけのシンプルなサービスデザインだが、それだけでは物足りないと、それぞれの店主が工夫を凝らしており、結果として、本棚ごとに何かしらのストーリーが存在していた。

例えば、上記の本棚には時計があるが、通りを歩く人が通勤時間帯で時間を気にしていたので付けてみたのだとか。時計は止まっていたので実際には役に立たなそうだったが、地域との関わり方をそれぞれの店主が考えている様子を思い浮かべるだけで楽しくなった。

それ以外にも、ベンチにいろいろな色のペンキを塗り、たんなる「街歩きの途中で座る道具」という存在から「ある場所に、ある人が塗った、ある色のベンチ」というように何かしらの意味を持たせて地域の人がそこにあるものにより関心を持てるようにした仕組みもあった。これはもちろんきんじょの本棚だけで行われたことではないが、そのベンチの横に本棚がれば、本をその場で読んで楽しめる。それが部屋の中でなく、まちなかであれば誰でも参加できるだろう。とてもよいアイデアだと思った。

ベンチと一体化したきんじょの本棚

システムには疎くてとおっしゃる金城さんだが、結果的に地域を元気にするシステムを作られたと言ってもよい。リブライズやShowcase.❤️がどう関わっていけるかは実のところまだわからないが、お話しする中でたくさんアイデアが出てきたこともあり、いつか一緒に何かできる日が来るのではないかと思う。

ご案内いただいた金城さん、そして今回はお目にかかることはできなかったが、素敵なライブラリーを運営しておられる店主の皆さん、ありがとうございました!

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