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【コラム】マーメイドはひとりで躍る⑨

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まさか私がまたこのシリーズに手を加えるとは思わなかった。


最近Chronostasisの運営について話しているときに、彼の後輩の中で、彼の熱烈なファンがいるという話を耳にした。この拙い文章も、きっとその熱烈なファンに読まれているだろう。少しばかり恥ずかしくなった。

今日は、その熱烈なファンを持つ彼の誕生日ではあるが、私のChronostasis、そして彼への正直な思いを吐露する場にさせて欲しい。たまにはこうして消化をしないと、胃から十二指腸にかけてのあたりで何かが詰まっているような感覚がして、すごく気分が悪い。


Chronostasisとして活動してはや半年が経過した。
活動すること自体はものすごく楽しいが、率直に言ってどうも注目を受けるような土壌が周りに広がっていないような気もする。

Crichという団体があるが、そこは1月に設立した、僕らよりも若い組織である。その上で多くの団体を巻き込んだ新歓合同説明会とか、河野太郎氏を呼んだ講演会とかを行っていた。
本当は、僕らもまた新歓説明会をしようと思っていたが、時間に余裕がなく、フォームを作成してもDMを送っても返事はなく、結局企画倒れになってしまった、という裏話がある。方や多くの団体を巻き込んだ合同説明会を成し遂げ、方や反応すらしてもらえない。難しいものである。

この失敗も含め、私のやりたかったこと、やろうとしていたことが次々と他の人に先を越されてしまっているということに直面をして、毎日のように頭を抱えている。なぜだろう。なぜうまくいかない。


無理もない、そもそもとして私が自分を過信しすぎているからだ。

ちょうど1週間前の5月19日に、私は彼より一足先に22歳になった。誕生日を迎えるたびに、私はあるものを思い出す。それは私が中学生の頃、TwitterやLINEが若者の間で流行り始めた、そんなタイミングの話である。

私の中学はそれはそれは大層な中学で、私の学年だけで生徒数は500人もいた。当然誕生日被りもザラにあった。
5月19日に誕生日を迎えた人が、同じ中学でもう一人いた。その人はバトン部の女の子で、スクールカーストではぶっちぎりの上位、文字通りの「陽キャ」でキラキラしたような女の子だった。同じクラスになったことも、委員会で被ったこともないが、休み時間に教室前に遊びにきて似たような陽キャ女子と騒いでいたので印象に残っている。

私も一種のステータスなのか、陽キャに食らいつきたかったのかはわからないが、当時LINEもTwitterもしていた。しかし5月19日になって、Twitterを見てみたら、眼鏡をかけて運動神経が壊滅的に悪いヒョロガリである私ではなく、そのバトン部の女子へのお祝いコメントでタイムラインが溢れかえっていた。なんとも言えない気持ちになった。

自己顕示欲があると言われればもちろんその通りだし、今自分でPCキーボードを叩いて、なんてキッツイエピソードを公に晒そうとしているのか、と共感性羞恥に駆られるが、しかしやはりこうしてまじまじと「人望の差」を見せつけられてしまうと、悔しい。


人望ってなんだろうと改めて思う。
ただコネを作り、必要のある時に連絡をする程度ではなしえないものであることは間違いない。長い時間をかけて、ゆっくり、ゆっくり作り上げていくものである。スマホゲームでガチャで引いたキャラの親密度が一回のクエストで最大値に到達したり、アイテム1つだけで最大値に到達したりするのは、なんの面白みもない。

きっと、そういうことなのだろう。

私はせっかちで、常に競合を意識して、競合より先にこなすことばかりを考えているため、長期的なプランをあまり考えていない。むしろ長期的なプランを考えるほど悠長に構えている時間はあるのかとさえ思ってしまうタイプである。

一方で彼は、とにかくマイペースだ。自由だ。何事も計画的に、悠長に、徐々に徐々に段階を踏んで、慣らして慣らして、そこから進めていくタイプだ。私とは真逆だ。

14年くらいの仲ではあるが、ともにサークルを立ち上げ、真面目に企画会議をして、企画を投げたりして、そこで初めて、彼と逆の生き方・スタンスであることに気づく。だからと言って、普通ならば方向性の違い案件なのだろう。ビジネスをしていくならばなかなか最悪の組み合わせかもしれない。
ただ、私はそれが不快だとは思わない。おそらく、私もまた彼の1ファンなのだからだろう、彼の人望というものに引き込まれているからなのだろう。


たまにはゆっくり、じっくりと考えてみるのもいいかもしれない。
さすればきっとこれまでの14年間の仲以上に、今年1年間は濃い仲になれるだろう。

「急がば回れ」ではなく、「急がば道草」である。





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