野木亜紀子作品はいいぞというプレゼン

野木亜紀子という脚本家をご存知だろうか。逃げ恥とアンナチュラルの脚本家といえばああ〜となるだろう。
逃げ恥とアンナチュラルで彼女の脚本にハマり、じわじわ見ていたのだが、先日MIU404放送終了後、MIUロスが頂点に達して「脚本家追いをしよう」と思い立ち、Paraviとレンタルを駆使して野木亜紀子ツアーを開始した。
元々逃げ恥、アンナチュラル、けもなれ、フェイクニュース、MIU404は見ていたので、コタキ兄弟→ラッキーセブン→重版出来‼︎→空飛ぶ広報室→掟上今日子の備忘録という順に観た。2週間くらいで1クールドラマ5本!こいつ頭おかしいな!!(この間にMIU404のDC版も見てる。頭おかしいな!)
これは、それぞれの作品の独断と偏見によるざっくりとした感想まとめである!!
野木亜紀子脚本、原作有りの作品だとその作品の伝えたいこと、ファンが大切に思ってることを読解して抽出して残した上で、映像化しやすいようにドラマの見せ場を作ってエピソードを取捨選択するスキルが余りにも高くて天才なんですよね。
オリジナルはオリジナルで、時事問題にも目を向けた上で説教臭くならないようにエンターテイメントとして作り上げている。
天才……なんですよね……。
みんな野木作品を観よう。
古い順から見たほうが価値観がアップデートされていくので気持ち的に楽です。

ラッキーセブン(2012)→厳密に言えば特撮みたいな複数脚本家によるオリジナルドラマ。月9なだけあって程々にスカッとして安心して見られるし、キャストが豪華。ついでにアクションが多くてかっこいい。当時リアタイしたけど結構忘れてたので見直した。
3〜6話と9〜10話が野木脚本。駿太郎と母の会話に野木脚本みを感じる。
スペシャルは正直個人的にはそんなに刺さらなかったし野木脚本では無かったけど、石原さとみがかわいい。

空飛ぶ広報室(2013)→ガッキーと綾野剛がかわいい。恋愛要素のあるお仕事ドラマ。有川浩による小説原作の空幕広報室の話。ドラマはガッキー演じる稲ぴょん視点からのテレビ業界の話も交えられてる。原作だと恋愛要素は匂わせ程度だが、ドラマの恋愛要素は流石逃げ恥の野木脚本なのでとんでもねえ。綾野剛演じる空井に2秒持っていかれる。
8話まででキュンキュンしたと思ったら9話以降絶望に突き落とされる。ただ2013年の作品なので価値観の古さは否めないかも

掟上今日子の備忘録(2015)→小説原作。ガッキーがかわいい。西尾維新をよく実写化しようと思ったな……と恐る恐る見たけど、西尾維新っぽさと原作の良さを残しつつも一般層にも馴染むよう作られていて有能。佐藤演出はドラマSTから思ってたけどBBCシャーロック大好きマンなだけあってシャフトみがあるので、正しく実写化されてる。
仮面ライダー電王好きなオタクは見た方がいい。
掟上今日子は逆桜井侑斗であり、侑斗を忘れた野上愛理でもある。
隠舘厄介もまた、野上良太郎であり桜井侑斗なので、今日子が何度周りを忘れても厄介は今日子の日々をずっと覚えているし、今日子もたとえ忘れても身体がなんとなく覚えてる。
鈍感な野上愛理が何度忘れても桜井侑斗に惹かれるように、掟上今日子も毎日記憶がリセットされようと何度も隠舘厄介を信頼していく。侑愛ifですよこれは……。
今日という日を大切に楽しく生きる。

重版出来‼︎(2016)→漫画原作。漫画雑誌編集部の話。現代の出版業界の厳しさと創作マンの産みの苦しみを上手く描いているけど、嫌な気持ちには全くさせない。仕事や学校がんばろ……となれる作品。
飯食ってるシーンが多いので信頼できる。飯と睡眠は大切。水木しげるも言っていた。
出演陣が良すぎる。そして野木脚本作品で見たことある人が多い。

逃げるは恥だが役に立つ(2016)→漫画原作。言わずもがな。社会現象を巻き起こした名作。いわゆるムズキュン展開ももちろんだが、ゆりちゃん周辺の話とか男女の分業の話とかは野木脚本ならではだなと思う。ガッキーと星野源がかわいい。エンディングダンスが良い文明なのはニチアサでも証明されている。

アンナチュラル(2018)→全人類見ろ。野木亜紀子が逃げ恥でバカ売れしたのでオリジナル脚本を書いていいというパワーを得た結果、センスありすぎるスタッフとスゲー出演陣が集まって最強の作品になった。架空の法医学研究所の話。エンターテイメントとしてあまりにも完成されすぎている。Lemonのタイミングが卑怯。
普通の女性が普通に働いてるし、恋愛要素があるわけじゃないところがめちゃくちゃ好きなんですよね。
女性主人公の話ってどうしてもワルキューレのような戦うツエー女か、理想のヒロインなビーナスタイプかの二択なわけで、普通に仕事できてドジもしないし、恋愛脳なわけでもない普通の女の人が主人公なのもデカい。職場のみんながギスギスしないで仲良しなのもいい。UDIで働きたくなっちゃう。
亡くなった人の声を聞いた上で生きてる人間がどう進むかというドラマ。
基本1話完結でありながら、各話の何気ない会話が伏線となって最終話に繋がり回収されていくので、最低でも二周したくなる。
私の推し回は5話なんですが、とりあえず4話まで観て。
飯食ってるシーンが超あるので信頼できる。石原さとみが天丼食ってる時点でもう好き。
私は宵町透真推しなので中堂系推しに見せかけた、久部六郎のオタクです。でも箱推し。二期見たいような見たくないような。

獣になれない私たち(2018)→見る地獄(オススメ)。ガッキーがかわいいけどガッキーの境遇がキツすぎて、幸せになれよ……となる。ラブかもしれないストーリー。
誰も死なないのに現代社会の若者の仕事と恋愛のリアルが突き刺さって、とにかくメンタルゴリゴリに削られる。
パワハラセクハラにも笑顔貼り付けて受け流して仕事頑張って、彼氏に嫌われたくなくて不満も全部飲み込んで我慢して……自分は一体誰の人生生きてるんだ?という生き辛さを真っ向から描いたドラマ。
一見嫌なやつが回を追うごとにそうでもなくなったり、世間的には良い奴がそうでも無かったり。人間描写が一面じゃないのが……人間〜!!
あいみょんの主題歌聴きながらビール飲みたくなる作品。
アンナチュラルやMIU、コタキ兄弟が「声の小さい人、見て見ぬ振りをされている人」を主人公たちが客観視しているドラマだとすれば、けもなれの主人公の晶はまさにその渦中の人物なので、余計にしんどいのかも。

フェイクニュース(2018)→NHKの前後編ドラマ。その名の通り、ネット社会におけるジャーナリズムとネットリテラシーの話。多少大袈裟感はあるものの、どこまでも「現実」を見せられる。
MIU404観た後だとこれの影響デケー!とひっくり返る。みんな!SNSの使い方には気をつけようね。
個人的には傑作だと思ってるけど、出演俳優の一人がやらかしてお蔵入りになったのでもう観れない。つらい。

コタキ兄弟と四苦八苦(2020)→30分ドラマなので正直一番気楽に見れる。レンタルおじさん兄弟の日常話。依頼人のクセがすごい。
会話劇のテンポがよく、基本的に喫茶シャバダバの中で話が進むというSKET DANCEスタイルで、気楽に見れるが四苦八苦というだけあって、生きていく中で何気ない台詞が突き刺さるのが野木脚本みを感じる。
主人公トリオがかわいい。ゲストが豪華。Creepy NutsのOPが超良い。

MIU404(2020)→バディのオタクは死ぬ。全人類見ろ。狂う。狂った。
アンナチュラルと同じスタッフな時点で最強が保証されていたが、最強だった。
アンナチュラルと同様に1話完結でありながら、各話の何気ない会話が伏線となって最終話に繋がり回収されていくので、最低でも二周したくなる。
アンナチュラルが一話からずっと同じテンションでボコボコに殴ってくる一方、MIUは一話時点ではアンナチュラルと比べると割とあっさりな味付けですねと思ってたら8話からジェットコースターみたいに地獄の谷底へと突き落とされる。
架空の機動捜査隊の部署を舞台に、最高にエンターテイメントしてるバディ作品。星野源と綾野剛はいいぞ。
アンナチュラルでも言ったけど、四機捜で働きてえ〜!!となる。メインの404はもちろん、401コンビも、桔梗隊長もスパイダー班の糸巻さんも、とにかくメインキャラが良すぎる。
アンナチュラルが死者の声を聞くドラマなら、MIUは加害者と被害者の声を聞くドラマ。
人生はピタゴラ装置。人はちょっとしたスイッチで、善にも悪にもなれる。
相変わらず感電のタイミングが卑怯。あと飯食ってるシーンが超多いので信頼できる。
伊吹藍と志摩一未のバディを一生見ていたい。
放送版を観た後にディレクターズカット版を見ると、印象がガラッと変わるのでオススメです。必ず放送版を観た後でディレクターズカット版を見よう。少なくとも6話と8話と11話で気が狂います。
箱推しだが志摩一未のこと考えて狂ってる辺り、野木亜紀子に好みのキャラを握られているのを感じる。
最高のラストは迎えたけど、シーズン2が見たい。幕間でいいから3週連続とかでコロナ禍の影響で消えた3話分だけやって欲しい。お願い。なんならアンナチュラルとクロスオーバーして映画とかドラマスペシャルとかが見たい。力が……力が欲しい。権力が欲しい。