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実は、古き良き日本文化の裏返しだった。


日本の大きな問題点だと思うこと

僕は1年のうち1/4ぐらいを海外で過ごしています。
海外で生活して思うのは、
平均収入は日本人の半分ぐらいの国でも、
McDonaldのセットは1700円ぐらいしたり、
レギュラーガソリンは300円したりして、
決して豊かとは言えない暮らしのはずなのに、
なぜかみんな楽しそうなんですよね。
スーパーやレストランの店員さんとはもちろん、
偶然同じ電車やエレベーターに乗り合わせた人とも気さくに交流していて、
心理的距離が近いというか余裕があるというか。

一方日本って、
もちろんお店や人にもよりますが、
事務的で最低限のやりとりしかしない場合が多く、
ロボットに置き換わっても問題ないと言える接客だったりすることも。

世界の他のどの国よりも清潔で治安も良く、
収入と費用のバランスにもかなり恵まれているはずの
日本人の幸福度が欧米と比べて低いのはなぜなんでしょう。

幸福度が低いだけではなく、
GAFAやOpenAI、Teslaなど、欧米が起こすワクワクするようなイノベーションの渦中に日本は入れておらず、
少子高齢化や今の円安も伴って「衰退国家」とか言われているし、
(自分もそうでしたが)自分のやりたいことが自分でも分からず、
インフルエンサーに意見を求めたり、
他人のリア充っぷりをSNSで目にしては劣等感に苛まれたり。
こういう悩みって、外国人からは聞いたことがないです。

いったい海外と日本では何が違うのか?
どうすれば日本を変えられるのか?
と考えていて気づいたことがあるので、書いてみたいと思います。


自分軸の外国人と他人軸の日本人

海外で現地人と交流を持つたびに感じるのは、
外国人はどの国の人も自分軸をしっかり持っていて、
「他人にどう思われるか」「どう見られるか」よりも
「自分はどうしたいか」の方が重要で、
それが当たり前だと思っていること。
逆に自分は、
「(無意識ながら)周りからの評価や印象がどうかが常に頭にあり、
周りが期待すること・求められていることを優先(自分がしたいことは後回し)する生活」
をしていること。
皆さんも(意外と)そうではないですか?

欧米はもちろん、中国や香港、東南アジアでも、
程度の差はあれど「自分軸」で動く人が多数な中で、
日本は逆に「他人軸」で動く人が大半という、
非常に珍しい国であると感じます。

ここまでは結構多くの人が同じように感じていて、
下記の記事を始め、「他人軸は幸福を感じにくい、自分軸を持とう」という意味の記事は多いです。

ただ、僕はこの「他人軸優先主義」にも良さがあると思っていて、
他人軸の良さを再認識した上で、自分軸の考えを取り入れるのがベストだと思っています。
なので、次は「他人軸」についてもう少し深掘りしたいと思います。


他人軸で生きることのメリットとデメリット

僕は、日本人の大半が「他人軸優先主義」だと思っています。
その理由としては、下記に当てはまる人が多いと思うからです。

  • 自分が本当にやりたいことが自分でも分からないまま、(学歴や体裁を気にして)有名大学や有名企業に就職しようとする。

  • 学生時代から、空気を読んで周りに合わせるということがとても大事で、自分の意見や考えを主張する機会・経験がほぼない。

  • (プライベートの予定があったとしても)納期が迫っていれば残業してでも納期に間に合わせるべき、と思っている。

  • (講演会などで)誰かの意見や考えを聞くと、共感はできても、それについての異見(異なる異見)や質問が出てこない。

日本人にとってはどれも普通の事柄に見えますが、
外国人にとっては理解に苦しむ、特異な国民に映りそうです。


では、「他人軸で生きる」ことのメリットとは何でしょうか。
僕が思う他人軸のメリットとしては、

  • 相手を思いやる気遣い、心遣いが養われ、相手の言葉の裏に隠された繊細な感覚や感情を掬いとることができる(コミュニケーションがより円滑に行えるようになる)

  • 世間の常識に沿って行動し、約束したこと以上のものを相手に与えることで、周りから印象が良くなったり感謝されることが増える(嫌われることが減る)

  • 街の清潔さや治安の良さに繋がる

これらは、外国人から見れば「思いやり」「おもてなし」に代表される
非常にユニークな日本文化の特徴で、
これからの日本には非常に重要なインバウンドにおいては強い武器になるものと思います。

一方、デメリットとして考えられるものは下記です。

  • 自分の中の価値基準が揺らぎやすく、周囲の目や他者の意見を気にして常に比較をしてしまうため、劣等感が生じやすくなる。

  • 「人から嫌われないようにすること」が最優先事項となり、自分を犠牲にしてでも周りの人全員に良い顔をしようとしてしまう。これが続くと自分が辛くなる。

  • 「自分はどうしたいのか」よりも「他人にどう思われるか」に意識が向きがちになるため、自分のやりたいことが分からなくなり、目標や夢について語ることも減る。自分の気持ちを言語化することも減り、結果として周りから応援されることも減るという悪循環に。

  • 空気を読む力を鍛えた反面、言語化能力が衰退。(せっかくの武器である日本文化を世界にPRできるプレゼン力が弱い、商品力で勝負できる家電やゲーム機などでは日本製品は強いが、説明が必要な商品では滅法弱い)

訪日外国人が増えているということは、
日本人がプレゼンしなくとも日本の良さが外国人に伝わっているのだと思います(漫画やアニメのおかげでしょうか)が、
訪日外国人観光客にとっていくら魅力的だったとしても、
当の僕ら日本人が幸せじゃないなら、考え方を変えたほうが良さそうです。


他人軸で生きる日本人が多い要因

では、日本人が他人軸思考となる原因は何でしょうか。
「他人軸思考」になることの根底にある要因は、僕は
余裕のない(忙しすぎる)大人と、戦後から変わらない学校教育が原因じゃないかと思っています。

今の日本の学校教育については様々な問題があると感じますが、
中でも問題だと思うのは、
⑴戦後の貧しい時代に作られた古いルール(髪型や髪色、服装についての細かい規定があり、異端を許さない風土)が未だにたくさん残っていること、
また
⑵そういった校則や先生の言うことに子供たちが疑問を持ち、
異見(違った意見)を出しても、
忙しい先生や大人にとっては都度都度相手をしているような余裕がないこと
だと思います。

子供たちがせっかく自分で考えた意見が、先生や大人から
「昔からそういうルールなんだから、文句を言わず従いなさい」
と相手にしてもらえないどころか、
場合によっては評価まで下げられることも。
これが続くと、多くの子供は「異見を持つこと」よりも、
周りやルールに合わせて「周りに面倒をかけないこと」が大事だ思ってしまい、それ以上思考することをやめてしまいます。
多くの日本人が他人軸思考になる要因はここにあるんじゃないでしょうか。

日本人は、小中高の12年間かけ、
「協調性」「空気を読むこと」を鍛え、
「自分の意見を言うことよりも周りに合わせることの大事さ」を学び、
逆に自分の気持ちを言葉にしたり異見を出すことにはほぼ何のトレーニングも積まずに社会に出ることになります。

現状維持(既存の商品を改良しながら大量生産)で成長できた時代は、
「異見を言うこと」よりも「協調性」が重要だったのでうまく回っていましたが、
改革(新商品や新マーケット開拓、イノベーション)を起こさなければならなくなった現代では、
協調性に長けているだけでは生き残れません。

今の日本の教育を受けて卒業した学生は、若手のうちは
「言わなくても気づく=気が利く能力」が上司から評価される一方で、
年を重ね立場が上にいくに従い
「自分の想いを語る(リーダーシップ)」必要が出てくると、
途端にどうすれば良いか分からなくなる。

隣で北朝鮮がバンバンミサイルを撃っていても、
香港が中国化されても、
台湾が侵攻の危機にあっても、
それについて意見を持つ人が少ない。欧米人には信じがたい他人事です。

そろそろ、
「意見を言うことで周りがどう思うかを気にして黙っていること」
よりも、
「みんなで意見を出し合って最適解を見つけ出し対応していくこと」
が必要で大事だと思いませんか?
自分のやりたいことがわからない人が多いのも、
やりたいことはあるけれどそれをうまく言語化して周りを巻き込んでいけるリーダーが欧米に比べて圧倒的に少ないのも、
日本の他人軸教育が要因にあるんじゃないでしょうか。

教育については、大きく変革しつつあることを最近知りました。
広島で平川理恵教育長が実現された学校教育の変革が、
もっと全国に広まっていくことを強く望みます。


「生きる」ということ

学校のクラスメイトや、会社の同僚、近所のママ友など、
「長い付き合いとなる人たちとの関係を良く保つこと」は
生きていく上でもちろん必要で大事なことですが、
自分を犠牲にしないと良い関係を続けられないのだとしたら。
少しの我慢で済むならまだいいですが、
長年かけて鍛え習慣づけられてきた「他人軸思考」が邪魔すると、
少しの我慢で済まなくなっても「自分を犠牲にするのを止める」という決断ができず、
いつかメンタルを壊すことにも。

せっかく自由が保障された日本に生まれたのだから、
僕らはもっと自分のしたいように、自由に生きて良いはず。
「いい子」を演じる必要はもうない。
僕らはもっと自分の本音に、欲に、素直になっていい。
それが「生きる」ということなんだと思います。

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