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もっと合理的な新しい暦の提案

生活に大きく関わっている暦は、時代の流れと共にその合理性を追い求め、定義を変遷させてきました。
現在、世界的に利用されているグレゴリオ暦に、僕としてはかなり疑問があるのです。今回はそんなグレゴリオ暦に代わるもっと合理的な新しい暦を考えてみましょう。

※この記事の目的は算数・数学に親しみ、日常的に数学的な見方考え方を用いることの楽しさを伝えることにあります。
※記念日や宗教等に由来する価値観について、この記事では無視して扱いますが、他意はありません。

*グレゴリオ暦の弱点

当たり前過ぎて、見逃しているかもしれませんが、普段から使っているこの暦(グレゴリオ暦)には色々な問題が潜んでいます。まずはそれを明らかにしていきましょう。

① 2025年8月30日は何曜日ですか?
この質問はかなり難しいものだと思います。
休日や平日など曜日ごとに決定していることと、記念日や給料日などの日付で決定していることが両方存在し、曜日の情報と日付の情報がどちらも欲しくても、年毎に曜日は変わっていくため、その両方を知るためには複雑な計算をしなくてはなりませんし、カレンダーも毎年別のものを使わなくてはなりません。

② 1月20日から4月10日までは何日間ですか?
こちらもすぐには計算できませんね。
また、2月29日(閏日)があるかないかで異なるという問題もありますが、それよりも月の日数が28,29,30,31日のパターンが複雑に絡まってできていることが問題です。

③ 1年の半分は?1/4は?
春夏秋冬の四季があったり、前後期制などの制度があるのにも関わらず、365=5×73なので、1年の分割は5分割もしくは73分割しかできません。

これらは特に生活の中で重要になってくることを挙げました。グレゴリオ暦は地球の公転周期(約365.2422日)を正確に反映させることに重きを置きながら、月の満ち欠けや創世記に由来する、月や週などの本来公転とは無関係である色々な要素を入れ過ぎていることで、日常的には使いにくいものになっていると感じます。
僕たちは数日ずれるくらいであれば地球の位置を正確に反映できていなくても構わないでしょう。しかし先人達が見出してくれた、この正確な公転周期への配慮は参考にしたいものです。それを踏まえて次の問題を解決するような暦を考えてみましょう。

① 曜日一致性
② 測定容易性
③ 分割可能性

*閏週が可能な週とは

最も重要な①の問題を解決するためには、一年の日数が曜日の日数の倍数になれば良く、それだけでは公転周期が狂うので、何かしらの規則によって閏週(特別に挿入された1週間)を設ければ良いだろうと考えられます。

ところで、グレゴリオ暦の閏日の正確な制定の仕方を知っていますか?
1.4の倍数の年には閏日がある
2.ただし、100の倍数の年は除く
3.ただし、400の倍数の年には閏日がある
というものです。2と3の条件は100年に一度しか意味がないので、なかなか意識していないかもしれませんが、要するに、365日を1年として400年のうちに97回の閏日をできるだけ均等に設けなさい。ということです。
※より細かく調節するために閏秒というものもありますが、これは1秒間なので、あってもなくても、生活にはそこまで支障ありません。そのため、今まで通り採用していきたいと思います。

400年が(365×400+97=)146097日となり、これを一つの塊として、元に戻る暦なら良いことになります。ここでこの146097を素因数分解すると、3×3×3×7×773とわかるので、曜日の日数である7で割り切れることがわかります。
365になるべく近い7の倍数は364ですので、1年を364日とした場合、閏週は400年に何度設定したら良いかというと(497÷7=)71回です。
均等な配置なら、5の倍数の年に閏週を設けて、40の倍数の年ならば特別に設けない、ただし400の倍数ならば設けるのような感じですかね。

こんな比較的小さな変更でカレンダーが毎年変わる事態は免れましたが、1週7日で1年52週つまり、7日×2×2×13となった1年にはどんな計算をするにしても、7の倍数や13の倍数が付きまとい、計算が複雑になります。これでは②の問題は達成できそうにありません。

そこで、1週間の日数を変更してみましょう。
146097=3×3×3×7×773の約数なら構わないので、大き過ぎず小さ過ぎない7の次に有用そうな数は9でしょうか。曜日の命名には惑星の名前を使っていますが、大昔から発見されている惑星以外に天王星と海王星の2つが見つかったので、曜日を9に増やす妥当性もありますし、9の倍数の計算は比較的易しいですからね。

365に近い9の倍数は360と369が挙げられますが、360はとても約数が多い数なので是非とも暦に採用させたい数です。しかし誤差5日はあまりにも大きいので、360日2回の間に1週間を挟み、729日を新しく「1年」として定めてみるのはどうでしょう。つまり、今でいう2年の期間を新しい1年とし、前後半という形で季節の1周を扱うのです。

1年365日での2年は730日ですが、この暦での1年は729日となり、1日しか誤差はありません。1週7日制で364日を1年として、毎年1日ずれるよりは、2年で1日なので誤差も小さいものでしょう。
この記事ではこの暦をクリハロ暦と呼んでいきます。

*クリハロ暦のすがた

まず大きな変更点として、曜日が9つになりましたので、曜日の名前をつけます。月は衛星ですし地動説も確かなものになったので、月曜日の代わりに地曜日、また新しく発見された惑星から、天曜日と海曜日を設け、並び順も分かりやすく太陽から近い順に並べましょう。
「日、水、金、地、火、木、土、天、海」
と曜日が決まりました。
また、できれば数字だけでの表記もしたいので、これには日曜日から順に、数字で1〜9の番号を振ることにします。

1週9日になり、季節の一周である半年は360日になりました。
つまり40週で半年が構成されます。これはとても4分割しやすいので、10週間ずつ
「春期、夏期、秋期、冬期」
と呼ぶことにしましょう。これがしっかり、その名の季節を表すようにするためには、年始をグレゴリオ暦の3月1日くらいにすると良いですが、春分、夏至、秋分、冬至が、その期の初日に来るようにグレゴリオ暦の3月21日からクリハロ暦の初日を開始したとしても問題ありません。少し感覚的には後ろに傾きますが、客観的な事実から決定する方が定義として良いと思うので、こちらを採用しましょう。

また、クリハロ暦の1年には、前半年360日と後半年360日、そしてその間に1週間があり、その間の週は「中週」と呼ぶことにします。つまり
「前春期、前夏期、前秋期、前冬期、中週、後春期、後夏期、後秋期、後冬期」
の9つの「期」(中週のみ1週間で他は10週間)が存在します。この期にも1〜9までの数字を当てましょう。
また、それぞれの何週目なのかも0〜9の数字を振ることにしましょう。(中週は0週目のみで終わり)
10週間あるので、1桁で表すために0週から始まるのに注意してください。

そして、グレゴリオ暦でいう400年、146097日の構成です。
729日を1年としていくと、200年は145800日となり、297日つまり33週間足りません。
そこで、閏週を33週入れる必要があり、6.06…年ごとに入れれば良いことになります。
そこで、6年を「1回り」(グレゴリオ暦の12年に相当するため)と呼んで、1回りの初めに閏週を置くことにしましょう。しかし、これでは198年で33回の閏週を使い切ってしまうので、200年周期になりません。ここで少し複雑ですが、11回りしたら1年平常年を設けることとしましょう。この挿入する平常年を「閏年」と呼ぶことにして、200年を「完全一回転」とします。

1回り
「閏週→平常年×6」
完全一回転
「11回り→閏年→11回り→閏年→11回り」

という形です。これで丁度、完全一回転の200年が146097日となりました。閏年がいつ来るのかが11回りって分かりにくいのでは?と思うかもしれませんが、11回りはグレゴリオ暦の約132年であり、一生に一度経験するかしないかというような大変稀な1年ですし、中身はいつもの一年と変わらないので、そこまで気にする必要はないでしょう。
また、閏週の期の番号は0として、中週と同じく週は0週のみとします。

これが全ての規則となります。
クリハロ暦の表し方は、言葉で表す方法と数字で表す方法のどちらも分かりやすくなっています。
「○○年◇◇期△週◎曜日」または
「○○-◇△◎」(◇と◎は該当番号)
と表せば良いです。
例えば「1013年後秋期4週海曜日」というような感じです。こちらを数字のみで表すなら「1013-849」となります。
「1013年中週木曜日」であれば「1013-506」
「1013年閏週日曜日」であれば「1013-001」
ですね。

ちなみに閏週がある年は、200で割った余りが

1,7,13,19,25,31,37,43,49,55,61/68,74,
80,86,92,98,104,110,116,122,128/135,
141,147,153,159,165,171,177,183,189,195

のいずれかである年です。67年と134年が閏年であるため、少し複雑ですが、67年より前では6の倍数+1、67年から134年の間では6の倍数+2、134年より後では6の倍数+3になっていれば、閏週があります。

少し練習です。次の年に閏週はあるでしょうか
・450年
200で割った余りは50
50は67以下なので6の倍数+1のときに閏週
50=6×8+2で6の倍数+2なので閏週はない。
・983年
200で割った余りは183
183は134以上なので6の倍数+3のときに閏週
183=6×30+3で6の倍数+3なので閏週がある。

と、完全一回転の200年があるのでそこまで複雑ではないですね。この世界では67と134という数が今よりかなり見かける数なのかもしれません。

さて、このようにクリハロ暦を設定しましたが、これで問題の①②③はクリアできるでしょうか。

① 曜日一致性
これは言うまでもなく、曜日によって日付を与えるようになったので、完全に一致しています。

② 測定容易性
これもかなり易しくなりました。例えば「1013-248」は「1013-134」の何日後でしょうか。1期は10週、1週は9日ですから、中週を挟まなければ(グレゴリオ暦でいう同じ年くらいの条件であれば)期と週の数字は、そのまま2桁の数字と捉えて引き算して求められます。この場合11週と4日あるので103日とすぐに分かります。

③ 分割可能性
生活ではほとんど半年を一区切りとして使うことになるでしょう。その半年は360日ですので、2,3,4,5,6,8,9,10,12,15,18,20,30,36,40,45,60,72,90,120,180分割可能と素晴らしいです。

と、全ての問題を解決することができました。

クリハロ暦、いかがでしたでしょうか?
もっと合理的で分かりやすい新しい暦を考えられたという人は是非教えてください。
当たり前にあるものを疑ってみて、観察・考察することは思考力や想像力を鍛えることになります。
クリハロ暦を採用したら、世界はどんな風に変わるのでしょう?1週間が9日もあるので、週休3日制が主流になるかもしれません。また特別な週である中週はゴールデンウィークのようになったり、閏週がある新年には大きな行事が開かれることがあるかもしれませんね。
色々なことを想像しながら、数学的な目で日常を観察してみてください。きっと面白いことが潜んでいるはずです。

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