調剤室の雑談 vol.2
調剤室 一 は薬学生のつくるクラフトコーラ専門店。
調剤室の雑談では、各メンバーの「話したいことを、話したい時に、話したいだけ」会話形式でお届けします。
今回はそもそもどのような思いから調剤室が始まったのか。ここまで2年どんなふうに進めてきたのか。その0→1の物語を、立ち上げに関わった3人を迎えて話していきます。
調剤室のはじまり
そもそも、どういうきっかけで「調剤室 一 」は始まったのですか?
水谷朋加(以下、朋加) :
最初は、医療に拘らない薬学生の第3のコミュニティを作りたいみたいなところから始めたんだよね。
学内で学ぶ学術的なことはもちろん大事なんだけど、資格というものを取っ払った時に、社会人として異業種と対等に渡り合える人間でありたいし、同世代の薬学生にもそうであってほしい。
そうなったら薬剤師ってもっと幅が広がっておもろくなっていくんじゃないかと漠然と感じてた。
大瀬 海羽(以下、海羽):
竜誠さんのインタビューでも出た「資格という枠組みではなくて、自分という枠組みで生きる」とも繋がりますね。薬剤師という肩書きを取っ払った時の自分には何があるのか。私自身、ここに参加するようになってから自問自答する時間が増えました。
朋加:
そうそう。
だから、現状を自発的に問い、実践して、うまくいかない辛さを心身で感じながら、仲間と助け合ってまたトライするみたいな場をつくりたくて。
それが私の思う、資格を取っ払った時に残る人間力、いわゆるポータブルスキルを養うプロセスだったんだよね。
それで自分が参加できそうなところを探していたんだけど、「試験前1ヶ月はほんと厳しくて」とか、「実験の終わる時間が分からなくて」みたいなのを他学部の学生に伝えるのって、少し心理的ハードルが高い部分があって。
一方で、医療系学生の団体は"医療"に関する活動内容が多い。
私、薬学部に来ておいて、医療にそんなに興味関心が強くなかったから、なんかどこもしっくりこなかったんです。
でも、私みたいな人絶対他にもいると思って。
・医療系学部だけど、医療関係の学外活動をやるほどのモチベはない人
・なにかしてみたいけど、なにをしたいとかはなくて、結局何もせず6年終わってしまいそうな人
・"意識高い系"に見られて、学内コミュニティから一線引かれるのがこわい人
そういう層に共感ができるからこそ、一緒になにかやりたいなと思いました。
この厚い中間層と個別アクティブの出る杭層の壁をゆらがせることも目的の1つになってます。
岡本 凜(以下、凜):
大学祭の実行委員してた時に、他の学部の子達に「薬学部って絶対頭いいじゃん」と一線引かれたり、テストで遅くまで残れなくて。たしかに心理的ハードルはあったな。そんな中で、調剤室 一 は欲しかった場所だなとしみじみ。
朋加 :
こんなことを話していたら、カフェ×薬局に関心のあった玲那ちゃんが乗ってくれて、歯車の最初が動き始めたって感じだね。
水谷 玲那(以下、玲那):
もともと、カフェ併設の薬局にすごい憧れがあって。もしカフェ経営っぽいことに参加できるのなら、学生のうちに、あと2年しかないけどと思ってて。
起業は少しハードル高いけどなんか行動はしたいなというところで朋加ちゃんと出会ったんだよね。
海羽:
私は「健康な人と薬局の関わり方」に興味があって、カフェを始めとする併設型の薬局にすごく惹かれます。
玲那さんがカフェにこだわる理由はありますか?
玲那:
カフェ巡りが好きで、お客さんがご友人同士でなんの壁も感じずに話しているのを見て。
薬局って処方箋を持ってないと入りにくい、相談しにくい状況があるから、カフェでくつろぎながら、世間話から出てくる疾患への不安に対する会話から健康や薬のアプローチがしたいなと思った。
凜:
調剤室 一 を通して、何か気持ちの変化があれば聞きたいな。
玲那:
当初は自分で経営したい、販売したい、っていう気持ちがあったけど、
メンバーが集ううちに、コンセプトやデザインは私以外の人がやった方が絶対良い、自分は隙間埋めというか裏方作業の方が合ってるかもって気づいた。
「参加者みんなで」よりよいものを作るにはどうすればいいのか、ひとりひとりが達成感持ってやれたって思うにはどうサポートすればいいかを考えるようになったな。
朋加:
玲那ちゃんは富山からの参加だったから、拠点が愛知にある調剤室との関わり方も当初は悩んでいたよね。
玲那:
オンライン上でしか活動できないもどかしさは感じてたな。
今は、アジェンダや議事録を作成したりミーティングを回してみたり…って位置に落ち着いたけど、その理由は、
1回目の出店が終わった時に、
もっと効率よく、進めれるんじゃないかなーって思ったから。
薬学生は忙しいから他のことがなんもできないのは間違いだと思ってるけど、時間の有効利用はしたかった。
だから、文章書いたりまとめたりすることは苦手ではなかったし、その立ち位置でいこうって思った。
そこがオンライン上でもできるし得意なことも活かせるし、ハマったなと自分では感じてる。
朋加:
やっぱり自己分析って机に向かってやるより、自分で動きながら他者と関わる中で自然と気づいていくものなんじゃないかって思うんだよねー。
既存の枠組みに人を配置するやり方ではなくて、こうやって実践的に自己分析しながら、自分の役割は自分でつくるということにも重きを置いています。
海羽:
私も最初にここに参加する時は、広報やりたい!って気持ちで突撃しましたね。
自己分析が趣味みたいなところもあったので、役割を自分で作っていくのはすごく楽しい部分でもあります。
朋加:
ただ、関わり方のグラデーションや波を受け入れながら、その時いるメンバーのやりたいことや得意なことを組み合わせて、店やコミュニティの機能を保っていく難しさはすごく感じています。
自分のコントロール範囲内で組み過ぎず、余白を残して背中を預けていくというのを、私自身も調剤室 一 を通して学んでいます。
次回、「調剤室 一 」という店名の由来を解き明かします。
次の調剤室の雑談でまたお会いできること、心より楽しみにしております。
水谷 朋加 X(旧Twitter) : https://x.com/nona_pharmacy?s=20
水谷 玲那 X(旧Twitter) : https://x.com/mina_pharm07?s=20
岡本 凜 X(旧Twitter) : https://x.com/LIN1466695?s=20
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