みかん
母が差し入れてくれた、この冬初めてのみかんを食べた。
ビタミンCたっぷりで風邪にいいよって言われた。
随分長い間、私はみかんがあんまり好きじゃなかったので、そうやって一言添えるのが癖になっているらしい。
みかんは、口の中にカスが残る感じがイヤだった。
でも味は好きだから、オレンジジュースはよく飲んでいた。
みかんと和解したのは、ここ十年くらいの話だ。
今時期の、ちょっと酸味が勝っているようなフレッシュなみかんが好きだ。
年が明けてしまうと、甘みが強くなって酸味が消えてしまう。
あんなに距離を置いていたのに、今は皮まで愛している。
皮をむく前のみかんを軽くあらって汚れを落としておいて、実を食べ終わった後で、皮をハーブティーみたいにして飲むのだ。
ティーポットに皮を入れて、熱湯を注ぐだけ。
本当は干したほうがいいのかもしれないけれど、私は横着なのでそんなめんどくさい事はしない。
こんな雑な作り方でもカップに注ぐと、みかんの香りがふわっと立って優雅な気分になれる。
紅茶のパックと一緒にポットに入れてもいいかもしれないけれど、私は家系的に石ができやすいので、ミルクティー以外の紅茶をあまり飲まないんだな。
みかんを食べたら、もう冬が来たなと思う。
みんな元気に過ごせたらいいな、と思う。