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【バトグラ計算機】そのミニオン、何%で引けますか?

■この記事について

 この記事では、ハースストーン バトルグラウンドにおいて、特定ミニオンが酒場に出現する確率を計算します。

 Googleスプレッドシートで確率を計算可能なワークシートへのリンクも公開しますので、各種条件さえ入力すれば、様々なケースでのミニオン出現確率を計算することも可能です。

 記事は、バトルグラウンドにおけるミニオンプールに関する仕様をある程度理解している前提で記載していますので、よろしければ前回の記事もあわせてごらんください(露骨な宣伝)

※2020/11/04追記
本記事は、ゲームバージョン11.4(エレメンタル導入直後)を対象とした記載となっています。
バトグラ計算機については、11.4.2(ホッピング・ホッパー/渦巻く狂風の削除、献身の英雄/横死の胞子のグレード変更)に対応したアップデートを行いましたが、ジャンディス+ホッパーの確率計算などは、最新バージョンではそもそも発生しない条件であること、その他の部分のみ数字を修正するのは逆に混乱を招くことなどの理由から、記事本文については修正していません。
よって、記事と同じ条件で計算しても、最新の計算機では本記事に記載の確率とは異なる数字が出ます。ご了承ください。

■最初に

 本題に入る前に、あらためて、関連する仕様を確認しておきます。
 バトルグラウンドでは、ゲーム内に存在する全ミニオンの総数は原則として固定で、BANされる種族が決まった瞬間に確定します。種族ごとにミニオン数も異なりますし、グレードごとに存在するミニオンの数も異なるため、BANされる種族により、プールに若干の影響が出ることに注意が必要です。種族ごとのミニオンの種類数、およびグレードごとに存在するミニオンの数は、以下の表1、表2に示します。

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 例えば、マーロックは全種族通して最小の合計10種類しかおらず、グレード6には存在しません。また、獣は、全種族で唯一グレード6ミニオンが3種類います。
 表.1では、赤のナディーナ憤怒の織屋などの、ミニオンとしての種族は無所属でも、種族BANの影響を受けるミニオンも、表の中では各種族ミニオンとしてカウントされていることに注意しましょう。

 なお、この記事では、このゲーム中のミニオンの総数と種類は、ゲーム中変化しないものとして扱います。プールを変化させる可能性のある各種効果(変身者ゼラスの変身によるプールの変化、大悪党ラファームのヒーローパワーによるプール限界を超えるミニオンの入手など)は考慮しません。

 さて、ここからが本題ですが、「ゲームに含まれるミニオン」のうち、酒場に出現する可能性があるミニオンは、以下の条件で決まります。
 ① 自分の酒場グレード以下であること
 ② その瞬間「プール」に残っていること
 「プールに残っている」とは、各プレーヤーに雇用されているミニオン(手札にある or 盤面にいる)、酒場に残っている(マイエヴ・シャドウソングのヒーローパワーによる休眠状態のものも含む)ミニオンが除かれたものと考えてOKです。

 出現しうるミニオンすべてが袋(プール)の中に入っており、そこから酒場グレードに応じた回数分、くじ引きをする、とイメージするとわかりやすいと思います。
※厳密にいうと、雇用フェイズに先に入ったプレイヤーがミニオンをピックし、リロールすることで、後発プレイヤーのミニオン出現に影響を及ぼす可能性はありますが、ここでは考慮しません。

■計算式

 さて、では、実際に酒場に特定ミニオンが出現する確率がどのくらいなのか、計算式を考えてみます。

 まずは、どんな要素が上記確率を計算するのに影響するのかを考えます。
 ・プールに含まれる「その瞬間酒場に出現しうる」ミニオンの総数:N
 ・欲しいミニオンがプールにどれだけ含まれているか:n
 ・酒場に並ぶミニオンの数:m

 くじ引きの例でいえば、全部でN枚のくじの中にn枚の当たりくじが含まれるとき、m回のくじ引きで当たりが1回でも引ける確率は?ということになります。
 これは、以下の式で計算できます(m回分、すべてハズレとなる確率を1から引く、 という計算になっています)。

1 - { (N - n) / N } * { (N - 1 - n) / (N - 1) }* … * { (N - (m - 1) - n) / (N - (m - 1)) }

 正直いって、数式だけ見ても全くピンとこないと思いますが、重要なのは、N, n, mという3つの変数さえ決まれば、欲しいミニオンが酒場に出現する確率が計算できるということです。

 3つの変数のうち、mは自分の今の酒場グレードで決まり、グレ1:3体、グレ2-3:4体、グレ4-5:5体、グレ6:6体、となります(※アランナ・スターシーカーのヒーローパワーはここでは考慮しません)
 nは欲しいミニオンがどれだけ存在するか、ですので、自分で設定できます(※各ミニオンがゲーム内に含まれる数は、冒頭に掲載した表2を参照ください。もし自分も含めたプレイヤー誰かが持っている(≒雇用している、酒場で凍結/休眠している)ことを考慮するなら、その分を減らします。複数種類のミニオンのうちどれかが欲しい場合、すべての数を合計してOKです)
 Nは、自分の酒場グレード以下でゲームに含まれる総ミニオン数(BANを考慮した数)から、プールから除外されているミニオン数(誰かが雇用している、酒場でフリーズ/休眠状態にある)を引いた値となります。

 つまり、
  ・今の自分の酒場グレード
  ・ほしいミニオンがプールに含まれる数
  ・プールから除外されているミニオンの数
  ・BAN種族
の4つがわかれば、「一度の酒場リロールでほしいミニオンが出現する確率」を計算できます。

 と、いうことでこれを計算するスプレッドシート「バトグラ計算機Ver.1.1」を作りました。B2~B6の青色で網掛けしたセルに各種数値を入力すれば、B30のセルに計算結果が出力されます。そのままいじれるようにもなってますが、共有設定になっており、複数人で編集すると意図しない変更がかかってしまうので、いろいろ触ってみたい方は、ご自分で別ファイルにコピーしてご活用ください(Excel形式でダウンロードしてもそのまま使えます)
※そんなたいしたことするようなファイルではないですが、このファイルをDL/利用することで生じるいかなる損害も私は責任を負いません

 ここまでで、この記事で書きたかったことは終わりなのですが、せっかくなので、いくつかのケースでの実際の確率を計算してみようと思います。

■Case study No.1: ジャンディス・バロフが5コイン目の最初の酒場でホッピング・ホッパーを入手できる確率は?

 ジャンディス・バロフが序盤にホッパーを入手するのは、現環境で最も強いムーブの一つだと思います。
 特に5コイン目の最初の酒場(通常グレード2になった直後)でホッパーを入手できた場合、ヒーローパワーを使ってホッパーを何度もとりながらグレードを上げていくだけで、中盤ほとんど負けない盤面ができあがり、そのまま100/100超えまで育ったホッパーが相手を蹂躙し続けることもあります。
 では、その「最強ムーブ」ができる確率をバトグラ計算機で計算してみます。

 前提:
 ・自分含めた全プレイヤーが、3コイン目でグレード1ミニオン1体を雇用
 ・全プレイヤー4コイン目でグレード上げをし、酒場をフリーズしない
 ・その状態で5コイン目を迎える
 ・BAN種族は、マーロックと海賊、と想定。

 入力が必要な各種データは以下の通り
 ・今の自分のグレード ⇒ 2
 ・ほしいミニオンがプールに含まれる数 ⇒ 15
 ・プールから除外されているミニオンの数 ⇒ 8
   (全員1体のミニオンを3コイン目で雇用している状態なので)
 ・BAN種族 ⇒ マーロック、海賊

 これをバトグラ計算機に入力すると、計算結果は、「0.126」となりました。つまり、「5コイン目の最初の酒場にホッパーが1体以上出現する確率」は、約13%、ということになります。
 5コイン目に当たった敵ジャンディスが、雄たけびでバフされた状態のホッパーを持っていた場合、「この13%野郎が!」と思っておきましょう。
※ちなみに、3コイン目で甲板磨き入替異常体をとり、追加で1回リロールができる場合、上記、12.6%の試行を2回チャレンジできるため、確率は
 1 - (1 - 0.126) ^ 2 = 0.2361
 で、約24%まで上昇します。
 現環境での最強ヒーローが、わかりやすく強いムーブができる確率なので、(他にいいミニオンがいない場合)これらのミニオンをとってホッパー確率を上げるのも考慮にいれてもいいのかもしれません。自分は、メカがBANでない場合のジャンディスの初手は、グレ1エレメンタルや甲板磨きはトークンと同価値として優先的にピックしています。また、5コイン目では売り+2体雇用の流れよりも、2リロールを優先してかなり積極的にホッパーを探すようにしています。このへんは何が最適かわかりませんが、5コイン目で2リロールできる場合、そのターン中にホッパーが現れる確率はおおよそ33%、甲板磨きなどで追加で一回リロールできれば40%強になります(ここまでやると、6コイン目の最初の酒場も含めると50%以上の確率でホッパーに出会えます)。この確率を高いとみるかどうか、盤面拡張を優先してリロールせずに2体購入を優先するかどうかは人によると思います。

■Case study No.2:グレード6まで上げたけど、10リロールしても欲しいミニオン出ないんですけど・・・

 ゲーム終盤、タイマンになるくらいまで生き残っていると、(構成にもよりますが)欲しいミニオンはトリプルできるミニオンか、特定の一部グレード6のミニオンくらいになることがあります。さて、その場合、どのくらいの確率で酒場に出現するのでしょうか?

前提:
・BANは海賊とマーロック
・生存しているプレイヤーは自分を含めて2人のみ
・自分はグレード6に上げており、ほしいミニオンはグレ6の2種類  
 (例えば、アマルガドン赤のナディーナ
・自分がアマルガドンを1体、相手もアマルガドンを1体保有
・自分と相手の盤面は埋まっており、それぞれ2種類ずつゴールデンミニオンを保有。
・自分と相手で、それぞれ1体ずつマジウザ・オ・モジュールが盤面のミニオンに超電磁している。

 少し詳細な条件を付与してみたかったため、かなり前提条件が細かいですが、実際に計算してみましょう。

 入力が必要な各種データは以下の通りです。
 ・今の自分のグレード ⇒ 6
 ・ほしいミニオンがプールに含まれる数 ⇒ 12(アマルガドン5, ナディーナ7)
 ・プールから除外されているミニオンの数 ⇒ 24
  (両プレイヤーが、ノーマルミニオン5, ゴールデンミニオン2、モジュール1を雇用しており、12体分×2人分のミニオンがプールから減っている)
 ・BAN種族 ⇒ 海賊、悪魔

 これをバトグラ計算機に入力してみましょう。

 結果は、0.064、つまり、1リロールで出現する確率は約6.4%となりました。
 そのターンの最後に購入する場合、8リロールまで可能なので、1ラウンド中に購入可能な範囲でこのミニオンが出現する確率は
  1 - (1 - 0.064) ^ 8 = 0.411
 で、約41%となります。

※リロールの際、厳密に計算するなら、「相手の酒場に存在しているミニオン(相手もグレード6なら6体)」をプールから取り除く必要がありますが、相手の酒場にほしいミニオンが含まれているケースなどを考慮すると計算が複雑化するため、ここでは考慮しません

 ちなみに、これが1体利用済みのグレード6ミニオン1種類(ほしいミニオン数=6体)という条件に変わると、1リロールで出現する確率は約3.3%、8リロールだと約23.5%になります。

 引けると信じてリロールするか、途中で出現した各種バフミニオンや献身の英雄、といった「最高ではないが、盤面の強化/戦線維持には役立つミニオン」を雇用して妥協するか、あなたならどうしますか?
※自分は、よく「最高ではないが盤面を(一応は)強化できるミニオン」を妥協でとってしまい、結果勝ちにつながらない、ということをやってしまいます。反省・・・。

■終わりに

 みなさま、バトグラ楽しんでますでしょうか?私は多分これまでで一番高いペースでゲーム回してます。勝てているかは別ですが・・・。

 前回、ミニオンのプールに関する仕様解説の記事を投稿させていただきました。多くの方に読んでいただき、いいねやリツイートしていただいて非常にうれしく思っています。この場を借りてお礼申し上げます(投稿後、半日くらいで30を超えるいいねをいただき、内心震えておりました)。

 今回は、すこし踏み込んだ話題として、「ミニオンが酒場に出現する確率」を計算してみました。うまいことスプレッドシートで計算機にできたので、興味がある方がいれば、Case Studyに上げたケース以外にも、「ダブルしたミニオンの3体目が出る確率は?」とかも、前提条件さえ埋められれば計算できるはずです。(蛇足ですが・・・、この記事は、半月ほど前には、アプデ前の仕様でほぼ完成しており、推敲を進めている段階でレートリセット情報が来たので公開せずにいましたが、エレメンタルのせいで計算機と記事内容の大幅な修正を余儀なくされました。計算機のバージョンが1.1なのはそれが原因です。正直泣きそうになりましたが、一番書きたかったジャンディスホッパー算がほぼそのままの形で生き残ったので良しとします)
 一応、確率計算は手で検算もして、ある程度自信がある状態にしてありますが、もし計算式など、ミスっているところがあったら遠慮なくご指摘いただければ幸いです(一部、リロール時に他プレイヤーの酒場を考慮していない点など、計算の簡略化のため、あえて無視しているところもありますが、その点はご了承ください)

 今回記事化してみて強く感じたのは、バトグラのゲーム性の秀逸さです。今回Case Studyで挙げた例もそうですが、あるシチュエーションを考えたときに、「うまくいく確率」を計算すると、おおむね10%~50%くらいの間に落ち着いていて、このあたりの確率は、「引けるときはさっくり引けるが、引けないときは一生引けない(と感じるくらいには引けない)」あたりとなっており、絶妙なゲームバランスを実現していると思いました。このへんのじれったさ、理不尽さがバトグラの楽しさ(そしてうまくいかないときのフラストレーション)につながっているような気がします。

 最後に、もう一つ宣伝させてください。
 バトグラプレイヤーが集まり、雑談や対戦募集ができるDiscordサーバを開設しています(左記のリンク先はDiscordサーバのへ招待リンクになっています)。特に細かいルールはなく、誰でも参加OKですので、よろしければぜひご参加ください。自分も時間があるときは一緒にBGで遊んでくださる方を募集したりもしてます。ランカーの方も参加してくださるケースも多いですし、チャットしながらバトグラを回すだけでもすごく楽しいですよ!

 今回の記事も、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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