Hearthstone Battleground: 仕様の話をしよう(ミニオンプール編)

■この記事について

 この記事は、Hearthstone バトルグラウンドにおいて、ミニオンが酒場などに出現する際に確率を決めている「プール/pool」について、ゲーム内の仕様を解説します。
 先に断っておきますが、この記事は、戦術的な指南や、実践的なテクニックを解説するものではありません。ですが、つねに悩ましい選択を迫られるバトルグラウンドにおいて、仕様を理解しておくことはきっと正しい選択に近づく一歩になるのではないかと思います。

 なお、この記事は、性質上、ゲーム内では公開されていない情報を扱っています。公開されていない仕様を扱っている以上、今後のアップデートなどで仕様が変更になる可能性もある他、情報ソースが開発者のTwitter、というケースも多く、場合によっては最新バージョンでは仕様が異なる、などのケースもあるかもしれません。そういった性質の記事であることはご承知おきください。

■自分(chox #11208 )について

 レート8000~9000あたりをうろちょろしているプレイヤーです(瞬間最大9500くらい)。Twitchなどの配信を見て入った(多分)後発組のプレイヤーで、一戦30分ほどで終わり、(ヒーローピックの選択肢以外)課金による有利不利のないゲーム性が非常に気に入っています。
 もともと、ゲームの非公開の仕様を想像したり、検証したりするのが好きで、今回プールに関する仕様を調べていたところ、なかなか興味深い新しい気づきもあったので、記事化に至りました。解釈がおかしいところや、疑問などがありましたらコメントやTwitterでのDMなどをいただければと思います。(HSゲーム内でのフレンド申請も歓迎です!Twitterはこちら

■「プール」に関する基礎知識

 バトルグラウンドに出現するすべてのミニオンは、全プレイヤーで共有されており、特定のミニオンが大量に雇用されると、同種のミニオンは酒場に出現しにくくなります。この、全ミニオンが一元管理されている場所を「プール」と呼びます(下記、バトルグラウンド開始時のTipsに出ている通りです)

画像2

 このプールにおいては、各ミニオンがゲーム全体で何体まで存在するか、下記表に示す通り、酒場グレードごとに決まっています。(※HSのゲームデザイナー puffin氏のTweetより)

画像1

 酒場に出現するミニオンは、プールに残っているミニオンの中からランダムに選ばれますが、その際、同種でも複数いるミニオンは別のミニオンとして扱われるため、酒場グレードの高いミニオンは、低いグレードのミニオンに比べてそもそも出現する可能性が低いということがわかります。

 また、ボブの酒場に出現したミニオンはプールから消え、雇用フェイズが終わった時点で、凍結されていないミニオンはプールに戻ります。プレイヤーに雇用された状態のミニオンはプールから消えたままですが、解雇(売却)された時点でプールに戻ります。
 グレード6のミニオンは、全部で7体しかいないため、(まれなケースではありますが)ゲーム内で同一ミニオン7体すべてが利用されている場合、どんなに酒場をリロールしても出現することはなくなります。蛇足ですが、種族としてのドラゴンが導入されたパッチで、このテーブルは若干調整されたようです(グレード1:-2体、グレード6:+1体)

■プール関連の基本的な仕様

トリプルしたミニオン(ゴールデンミニオン)は、プールからは同種のミニオンが3体分減っている状態となる
(ゴールデンミニオンを解雇した場合、3体分がプールに戻る)
プレイヤーが敗退した場合、そのプレイヤーが雇用していたミニオンはプールに戻る
(ケルスザードとしてプレイヤーと対戦することがあったとしても)

 上記の二つは、普通にプレイしていても感覚的に理解されている方が多いのではないでしょうか(ゲーム内のTipsでも関連する説明がありますね)
 また、関連する仕様として、以下もあります。

超電磁により他のメカミニオンと合体した状態の自己増殖型メナスマジウザ・オ・モジュールは、ベースとなっているミニオンが解雇されない限りプールから減っている状態となる
HSのゲームデザイナーpuffin氏のTweetより

■プールに関する、直感的にわかりにくい仕様

 上述したように、ゲーム中、ミニオンが出現する際には、全プレイヤーで共有のプールを参照し、プールに残ったミニオンの中からランダムでどのミニオンが出現するかが選ばれます。
 では、この「出現」の範囲はどこまでなのでしょうか?酒場に出現するときはもちろんとして、それ以外の方法でミニオンが入手される場合、また、トリプル発見の際の候補選定の際には、プールは影響しているのでしょうか?
 結論から言うと、ミニオンは、ほとんどのケースでこの「プール」をもとに出現することがわかっています。具体的には以下のようなものがあります。

トリプル報酬などの効果で「発見」されるミニオンもプールを参照する。
HSの開発者mdonais氏のredditへの書き込みより

 これは、他プレイヤーに使われているミニオンは、発見時に選択肢として出現する可能性が微妙に低い、ということを示しています。
 また、原始フィンの見張り番で発見できるマーロックについても、グレードが低いマーロックや、他プレイヤーに使われていないマーロックのほうがより出現しやすいといえます。

ムロゾンドによる入手や、大悪党ラファームのヒーローパワーもプールに影響する
HSのゲームデザイナーCelestalon氏のTweetより

 ここでの「プールに影響する」には二つの意味があります。ひとつは、入手時の確率に関する意味で、ムロゾンドで入手できるミニオンは最大7種類から選ばれますが、他プレイヤーが雇用しているミニオンは入手確率が低くなる、ということ(ラファームは入手するミニオンは確定なのでこの仕様は影響しません)。もう一つは、これらの手段でミニオンが入手された際、プールに残るミニオンが1体減る、という意味です。

 なお、関連する興味深い仕様として、「確定で入手できるミニオンがプールに残っていない場合には、『プールの枠そのものを1枠増やしたうえで入手する』」というものがあります(※明確に提示された公式に近いソースが見つけられませんでした)。このケースで雇用されたミニオンが解雇された場合、ゲームに存在するミニオンの数が、他のものより1多い状態でゲームが続行することになります。

 上記、ラファームのヒロパに関する仕様を使い、盤面全体をゴールデンの金ピカつかみ取リャーで埋め尽くす、という盤面を作った猛者がいます。

画像3

redditのcocobahias氏の投稿より

 フレンドと参戦し、タイマンになった状態からひたすら金ピカつかみ取リャーを渡しつつ毒ミニオンの配置調整での引き分けを繰り返したようですが、ゴールデンが7体なので、この盤面だけで合計21体分の金ピカつかみ取リャーが存在することになります。

 また、盤面をムロゾンドのみにして、相手のラファームに渡し、ムロゾンドからの入手候補をムロゾンドのみにすることで無限ムロゾンド(つまり無限雄たけびなので、魔力のアスペクト・カレクゴス花形選手のバフが・・・)を試した猛者もいますが、こちらは数回のループでミニオンが入手できなくなる事象も確認されています(※redditのu/chess246氏の投稿より。リンク先に動画もあります)。仕様だけを考えると無限ループできそうですが、カレクや花形が無限バフできたり、プールの偏りがやばいことになりそうなので、何らかのストッパーがかかっているのかもしれません。

 その他、多くの「ミニオンを入手する」場合には、名言されていなくともほとんどがミニオンプールを参照しているようです。明確なソースを発見できませんでしたが、おそらく恐竜使いブラン菌術師フラァグルテス・グレイメインなどのヒーローパワーによるミニオンの出現も例外ではないと思われます(これらは対象が限定されてはいますが、酒場への出現ですし)

 数少ない例外ケースとしては、以下があります。

レノ・ジャクソンのヒーローパワーでミニオンがゴールデンになっても、トリプルした場合と違い、プールから減っている数は1体分のみ(ゴールデン化したから3体分、という状態にはならない)よって、このゴールデンミニオンは解雇してもミニオンプールには1体分しか戻らない
HSのゲームデザイナーCelestalonのTweetより

 その他、非常に面白い仕様で動作するミニオンとして、変身者ゼラスがあります。このミニオンは、手札にある際、毎ターン別のランダムなミニオンに変身する、という能力ですが、「盤面に出した瞬間、変身先ミニオンに実体化する」という特徴を持ちます。「ゼラスの変身後のミニオンでトリプルするには、盤面に出すことが必要」なのはこの仕様によるものだと思われますが、他にも非常に興味深い特徴として、「変身したゼラスは、解雇(売却)されてもゼラスには戻らない」という仕様があり、これはつまり、変身した瞬間から、ゲーム中の「ゼラス」の数が1体減り、代わりに変身後のミニオンが1体増えることを意味しています。例えば、序盤でゼラスが変身したタイド・レイザー号は、中盤以降解雇すると本来のグレード6に含まれるタイド・レイザー号とあわせ、合計8体のタイド・レイザー号が出現しうることになります。なお、ゼラスが手札で変身候補になる可能性は、すべてのミニオンで等確率であり、グレードによる差やプールに残るミニオンの数に影響を受けないようです。

■さいごに

 バトルグラウンドは、非常に楽しいですね。
 今回解説したミニオンプールの仕様は、普通にゲームをやるうえでは、あまり参考になるような知識ではないかもしれません。
 ですが、ヒーローピックからボブのご機嫌に至るまで、多くの部分を運に支配されていながら、限られた選択肢の中から不自由な選択を繰り返して、よりベターな構成を目指す過程において、少しでも確率を高める(どうしてもトリプルしたいときには、他の人が使ってそうなミニオンよりも、比較的不人気なダブルを残す、など)行為は、無駄ではないと信じています。
 また、今回いろいろ調べて勉強になったのが、発見など酒場以外でもミニオン出現時にはプールの残数を参照する、ということ。例えば、ブランマロ構成の際にアマルガドンが欲しいとき、原始フィンを普通に出してトリプルを経由してアマルガドンを探すのか、グレ6まで上げて、原子フィンの発見対象としてアマルガドンを含めるのか、どっちのほうが確率が高いか?みたいな検証もできるような気がします。(他者も含めて使われているミニオンの数に大きく影響を受けるので、確定的なことは言えないですが。気が向いたら、これらの確率を検証する記事なども書いてみたいと思います)

 ほとんど個人の興味を満たす自己満足のための雑文ですが、ここまで読んでいただいてありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?