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活性酸素について

 活性酸素は、近年、美容や健康関連の文脈でよく取り上げられるキーワードとして登場しています。
 一部の製品やサービスでは、「活性酸素を除去」というフレーズが前面に出てきていますが、この活性酸素とは何なのでしょうか?  まず、酸素原子の構造を見てみましょう。ご存じの通り、原子は中心の原子核とその周囲に存在する電子によって構成されています。
 酸素原子は原子核の周りに8個の電子を持っています。

※ 原子の周りを電子が回っているという表現がありますが、実際には回っているわけではありません。

 気体の場合、2つの原子がペアになり分子として存在していて、酸素は酸素分子(O2)となっています。

 この

酸素分子が、一番外側の電子を一つ失うと、非常に不安定な状態になり、スーパーオキシドアニオンラジカルという活性酸素に変化します。
 では、私たちヒトの体のどこで活性酸素が生じるのでしょうか。  私たちの体は、呼吸を通じて取り込んだ酸素を使用してブドウ糖(C6H12O6)を分解し、エネルギーとして必要なATPを合成します。
 具体的には、細胞質内の解糖系という過程で2モルのATPが合成され、さらにミトコンドリア内の電子伝達系において酸素利用することで多量のATPが生産されます。
 この一連の化学反応はカスケード式に進行し、各段階でスーパーオキシドアニオンラジカル、過酸化水素、ヒドロキシラジカルといった活性酸素が発生します。
 活性酸素は、人を含む多くの哺乳類の体内で、吸収した酸素の一部として1~3%ほど生じ、年間にして2~3キログラムも生成されると言われています。
 活性酸素は体内で生体防御の役割を果たすこともある一方、過剰になると細胞にダメージを与え、老化や様々な病気の原因となる恐れがあります。
 この毒性の強い活性酸素ですが、私たちの体はそれを迅速に分解し、その悪影響を最小限に抑えるための「抗酸化防御機構」を持っています。
 この機構には、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどの内因性の抗酸化酵素が含まれるほか、ビタミンCやビタミンE、カロテノイド類、カテキン類などの外因性の抗酸化物質も含まれています。
 実際のところ、生体内での活性酸素の産生と、これらの抗酸化防御機構は複雑に相互作用しています。

カスケードのイメージ(小樽 奥沢水源地)

  [参 考]
・『活性酸素の話』(講談社)
・『活性酸素の本当の姿』(ナップ)
・『厚生労働省 e-ヘルスネット』(https://e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html…)


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