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朗読劇『胡蝶ノ、ユメ』感想

※朗読劇『胡蝶ノ、ユメ』のネタバレを含む感想です。ご注意ください!
※朗読劇『胡蝶ノ、ユメ』のネタバレを含む感想です。ご注意ください!
また、感想としていますが、振り返りながら、自分の思ったこと、考えたことをTwitterばりに書き留めているので、何か嫌だなと思ったらブラウザバック推奨!センシティブかつデリケートな内容も含まれます!

総括を知りたい人、観劇してる人は、はじめに読んだら10章まで飛んで良いと思うよ・・・


はじめに

自分がなぜこの朗読劇に行ったか。
答えは単純明快、推しである声優の幸村恵理さんが出演するから。しかも今回が朗読劇の初舞台!これは行くしかない!
ただそれだけだった・・・・・・

2023年8月18日(金)
公演が平日のお昼の13時~ということもあったので、推しの朗読劇出演が決まった直後に休暇申請済み(笑)
仕事も片付け、前日の睡眠もばっちり。
友人達と軽くお昼を食べていざ会場に。
入場し、パンフレットと台本を購入。お手洗いもすませて着席。
作品の情報は事前に一切いれていなかったので、どんな作品なのか、どんな役をやるのか、想像もしていなかった。

会場は薄暗く、波の音がしていた。
舞台上には割りと高さのあるヤグラのような砦のようなセットが組まれている。
目薬をさすために上を向いたら、天井は高く、さながら聖堂みたいだった。
スマホの電源を切り、開演を待つ・・・時計の音が徐々に大きくなり、朗読劇が始まった・・・

開幕、1章

キャストが自分から向かって左手より入場してくる、白いワンピースを着た推しだ!今日も美しい!髪型もポニーテールで最高か!

男性がタイトルコールと全10章と告げる。
そして「2011年」6月と現代劇がはじまるのを理解するとともに、2011年という単語が何かを呼び起こす。
推しの第一声は大人の女性の声だった、どうやら主人公?の母親らしい。

辰朗(主人公)の学校の様子、凌(友人)らとの邂逅、そして嫌がらせ(やっかみ)で発せられた「フクシマ」から辰朗が来た事実に心がざわつく。

傷心した辰朗とちとせの出会い。
推しから可愛い女の子の声がする、なるほど、複数の役をやるのか!ヒロインになるのかな?などと考えている。サバサバした感じもあるが、ミステリアスな感じもする。

2章

救いの手を差し伸べてくれるちとせ、田舎の青春って感じがする。
ちとせも3歳で親が離婚、7歳でこの島に来た同じよそもの、島に来て半年で親が再婚したこと、辰朗のお父さんのこと(震災で女の子を助けて亡くなる)が、明かされる。※台本と違うんですねぇ・・・アドリブか変更になったか・・・
お父さんの形見(お守り)の折りたたみナイフが辰朗のユメを叶えてくれるとちとせは言う。
※このあたりまでは失礼ながら推しを観にきた感は否めなかったが、徐々に引き込まれていって、自然とセリフを読む人に目がいくようになっていた。

3章

辰朗へのからかいと嫌がらせ、こういうのあるよなとか思う、折りたたみナイフを握った時は少しドキっとした・・・

補習の辰朗を待つちとせ、さらに自宅で映画を観ないかと誘うちとせ。
10代の時に、いや、今でもこんな自分に気があるようなことされたら、意識しちゃうじゃん。。。
服装は目のやりばに困るし、いい匂いもする、拷問だ!と辰朗が心の中で叫ぶ。激しく同意。よく耐えた・・・、耐えられなかったらどうなっていたのだろうかとも考えてしまう・・・
きわめつけは手作りのミサンガ、いやもう好きでしょ・・・
あー青春だなぁなんて思ったと同時に、蝶と花のユメの話しは少し官能的でもあった。

4章

2020年
急に時代が進む、辰朗はパン屋をやっている、9年後な声質になってる!声優さんすげー!
そして、奥さんがいる。でも話し方、声がちとせではない?心がざわつく。
しかも3歳の娘がいる。
記者の東雲賢世から発せられる「大蔵館」、「ちとせ」で何かが動きだす・・・
辰朗の動揺をあらわす、心臓のSEなど心臓に悪かった・・・

5章

2011年の7月に戻る。
バイトを始めた辰朗、配達でちとせに会いに行く。イチャイチャしやがって・・・
しかもちとせから夏祭りに誘われるだと???

辰朗が耳にする近所の人の噂話、母親とそのも夜な夜な客をとってるという、ちとせの民宿が景気がいいやっかみにしては、胸糞が悪くなる噂だ。

そして、誘ってきたちとせから満室で家を手伝うから、お祭りに行けなくなったと言われる、辰朗。
少しくらいならなんとかなるのでは?何かあるの?観てるこっちの心が落ち着かない。

お祭りでちとせを見かけた嬉しさと、直後に他の男といる絶望というか、意味がわからない。
凌は噂も含めて知っているからこそ、辰朗を止めた、でもこれがなかったら何か変わっていたのかな、変わって欲しいと願ってしまう。
ここの「何度も交わしてきたような、熱い、すっかり慣れた雰囲気のキスだった」という表現が本当にエグいし、信じたくないし、わけがわからなくなる。

そして、そのちとせといた男が遺体でみつかる・・・

6章

ちとせから違和感のある事故の告白。
でも好きな女の子に頼られたら・・・自分の将来なんか考えずに、正義感だろうか自己満足だろうか、助けたくなる気もわかる。10代の時って自信もって出来る何かなんて自分もなかったし、だからこそ頼られたりしたら嬉しいもんだよなぁと思うなど。
凌の機転、こいつ良いヤツじゃん・・・

少し時代が現代に戻り、死んだ大学生が東雲賢世の弟だったことが明かされる。。。

7章

東雲賢世の弟からその宿で別料金のオプションがあったこと、それを楽しみにしてる事がわかる。
この時点でも心のどこかでそんなことないよな・・・と信じたくない自分がいた。

ただ、その期待はすぐに裏切られた。
東雲賢世の手を握り、「あたたかくて、大きいんですね」というちとせのセリフ。
きっと文字では伝わらないと思う、艶めかしく、官能的で、これだけで、そのオプションがあり、弟を亡くして、何かを探しに来ている東雲賢世までも墜ちてしまう程の色気。
事実、東雲賢世は何度も通うようになった。

胡蝶ノユメというアカウントで呟かれている内容が語られていく・・・
いくつかの投稿でこのアカウントの主がちとせであることは察しがつく。
「二人には頭があがらない」この投稿が自分勝手で、都合の良い女だなぁといっそう嫌になる。

8章

ツイートが遡られ、お客さんの部屋で男に抱かれる事実が出てくる。
いや、察してはいたけど、人間って都合の悪い事って、事実をつきつけられるまで信じたくないんだなぁって思った・・・
それでも嘘だと信じたい辰朗と大人はそうしてるという凌・・・

それは東雲賢世も同じで見たくないものから目をそらし、事実から逃げてちとせを抱く。ピロートークがまた何とも言えない・・・
それこそ辰朗は知らないここを自分は知ってしまう何ともいえない嫌悪感があった・・・

そして核心へ・・・
その前に東雲賢世の「震災の痛みもすっかり過去のものとして水に流そうとしている。本当に忘れる事は可能なのでしょうか?」という問いが妙に、刺さった。

9章

凌の留学と彼の「好き」
個人的には一瞬BLキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!とか思ったけど、あくまでLIKEかなと思った。そして、またしても留学していなかったら何か変わったんだろうか。

急に母親が17歳も年下の男を連れてきて結婚、しかも赤ちゃんまでいる。それに対する気持ちは全て辰朗が言ってくれた。辰朗の叫びとその本心の演じわけすごかった・・・

10章

2011年12月23日
ちとせ 中学になって携帯を手に入れてSOSを発信しつづけた・・・ということはその前から・・・?考えたくもないことがよぎる。

お互いの近況を話す辰朗とちとせ
島から出たい、遠くへ行きたいというちとせ
義父から暴力をふるわれた話しに、
「僕が連れてってあげる」という辰朗
辰朗と一緒ならどこでもいいというちとせ
「すぐに行こう」という辰朗
わずかな希望、映画とかで見るような逃避行、そんな明かり、小さな光が見えた気がした・・・


ちとせ「お金あるの?」
辰朗「貯金、全部おろしてきた。三万円ぐらいある」
ちとせ「そう・・・」

この感想を書いていて、自分でも何が言いたいのか、まとめたかったのか分からなかったんですが、ここに来て、このたった一言、
ちとせの「そう・・・」
このすごさを残したいんだなと思いました。
希望なんてない、絶望が漏れ出る表情、仕草、そして声・・・こんな演技が、表現が存在するんだと震えました。

純粋に外に出たい、誰かに助けて欲しいというのは紛れもなく本心だと思う。だからこそ辰朗に期待をしたのも本当だったと思う。
でも現実は厳しくて3万円しかない。
おそらく男に抱かれて、いくらか(といっても辰朗のバイトの何倍)は貰っていただろうし、へそくり的に100万単位で貯めていたと思う。なんなら3万円くらい1日で稼いでいたのかもしれない。
ちとせは聡い子であり、仕事の関係上、大人や世間のことも良く知っている。お金だけではどうにもならないこと、ましてや子供ではどうしようもできない。
藁にでもすがる思いですがったら、辰朗から現実が見えてない子供のユメと理想が返ってきたときの落胆たるや・・・
そしてこの後のやりとり、見せ場とも言えるちとせの感情が爆発するセリフ(ここも本当にすごかった)に繋がるわけで、観てるこっちは本当に苦しくって、悲しいとか泣きたいとかでもなく、怒りでもなく、何もできない、大人として何も言えない自分の感情がグシャグシャになる感じで、すごかったです・・・


そして・・・
ユメと現実のはざま
「わたしもう、楽になりたい」
こんな言葉聴きたくないし、そんな世界は間違ってる、
そんな気持ちと相反するニブイ刺す音・・・
効果音の時は、ここでもまだ信じたくない自分がいた。


東雲賢世の質問に「ちとせを愛していた」と答える辰朗

エピローグ

蝶が旋回するタイミングと台本を閉じて後ろを向く幸村さんのタイミング!!(限界を迎える)

終わり

エピローグが終わり、鳴り止まぬ拍手、一度、退場したキャストが再入場してきて、挨拶があり、今一度おおきな拍手。

終演のアナウンスがあったがどうして良いかよくわからず、ただ、通路側にいたので自分が動かなきゃ邪魔になるので退場。
出て少ししたらフォロワーさんが来て、
自分の第一声が「ヤ・・・ヤバイ(震え声で涙声)」

その後に何人かで喫茶店でお茶をしながら、感想会をするが、色んな意見、視点、気づき、確認、整理も出来てすごくありがたかった。
あたり前のように、キャストの皆さんが複数の役を瞬時に切り替えて、しかもノンストップでお芝居は続き、あっという間の公演でした。
しかも音効や照明もすごく、どこか、ユメと現実の狭間にいるような感じまでしてすごかったです。

まとめ

もし、ここまで読んでくれた奇特な人がいたらありがとうございます。
声優さんの朗読劇、行ったことがない人はぜひ行って欲しい。生の演技のすごさは文章にはできないです。

ここからは少し個人的な話も。
不純な理由からですが、すごい作品に出会えたこと、色々と考えさせられたこと、自分が何を観て、何を感じたのかを残したいと思ったから筆をとりました。
実は「売春島」のレポを読んだ経験もあったりで、日本でも世界でも売春って実在してて、売春とかに限らず、人は見たくないもの、忘れたいことって都合のいいようにしちゃうよなぁと改めて思ったりしました。
フィクションではあるけど、リアリティがすごくあって、震災とかこのパンデミックについても忘れることはできない、忘れちゃいけないんだよってメッセージもあったのかななんて個人的には思ってます。
これを受けて自分がこれから何をしていくのか、わからないですけど、自分の今後に何らかの影響はあると思います。

そして、今回の朗読劇を少しでも忘れたくないと思えたから、この文章を書いているのだと思う。

P.S.
アーカイブとか映像がないからこそ、目に耳に心に焼き付けようと、みなさんの演技に集中できたし、書くきっかけになったのはいいけど、やっぱりアーカイブ欲しいw
関係者の方が見てたら受注生産とか、DL販売とかで良いのでご検討ください。
作品に携わられたみなさん、改めましてありがとうございました。


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