フォローしませんか?
シェア
天明福太郎
2023年9月24日 19:11
鶏がようやく卵を産めるようになった寒さのせいで何匹か死んでしまったがそれでも今年の冬はまだましな方だった始めて養鶏を始めたときには何匹も鶏が死んでいきその度に涙を流していた乳す姿が美しくて私はそこでもまた涙を流していたどうせならきれいな涙がいい
2023年9月24日 18:48
水が氷となっていよいよ寒く厳しい時期になった沢の水も触ると切り裂くように冷たく感じる腹のなかの暖かい気も外に出ると凍る堅くなった体と心も春が来れば自動的に溶けるのだろう
2023年9月24日 18:42
款が雪の合間から顔をのぞかせた雪の中にいたときもじっと伸びようとしていたからだろう冬を冬と過ごすのではなく冬でも伸び行くようになろうと自分に言い聞かせた華が咲く咲かないではくじっと咲けるように耐えて行こう
2023年9月24日 18:36
雉は鳴くことでその身を亡ぼす美しい声であるのに始めて声を聴いたとき聞き惚れていた雊と今日もどこかで鳴いているその声を聴きたいが聞きたくない
2023年9月24日 18:28
水は冷たくても暖かくてもその姿に違いを見出すことは難しい泉から湧き出る水が冷たく清い水と沼に停滞した腐った温い水の違いも分からない動いた分だけ違いは人にも出るはずだがそれを理解するのも難しい
2023年9月24日 18:24
芹は寒い中でも健気にまっすぐ伸びている乃公はその姿に嫉妬と憧れを抱く栄えているだけでなくどんなとこれでも伸び行くひとになりたい
2023年9月24日 18:19
雪が降ってきて私は不安そうに外を眺めるそれを見て母は心配ないと言うがいまいちその言葉を信じられない下には先月蒔いた種たちが眠っている私でさえ凍えているのに服も来ていない種たちはさぞかし寒いだろう出てきては死んでしまうのはヒトでも植物でも同じだ等しく悲しい無事なことを祈ろう
2023年9月24日 17:21
麋が村の周辺を徘徊しなくなったもうそんな時期なのだと友人と話していたら目の前に現れた角を落としたオスの麋だ私たちの姿を見るとさっと逃げて行った解らないと思っていたその行動もオスとして成熟し始めた私達にはなんとなくわかるようになってきた
2023年9月23日 18:57
乃東が生えていると気がついてそういえば幾分か暑くなってきたと気がついたら東から登ってくる太陽が北寄りから登ってくることにも気がつくことが出来た生まれて死ぬだけの人生でも小さな発見をするだけで少しはマシな人生と思えるようになった
2023年9月22日 09:04
鱖は自分の生まれた河に戻るそれが運命なのだろうどんなに困難な道でも無理をして戻っていく魚でも生まれ故郷に戻らずに自由闊達に泳ぎ回る魚もいる群れて泳ぐ魚もいる私は広い海を泳ぐ魚になりたいがどう頑張っても鱖である事は帰れないのだろう
2023年9月22日 08:51
熊が時期外れにあらわて村では一時騒然となった様々な案が出ては消えて何も有効な手は見つからない蟄居していれば何もなかっただろうに熊を駆除する計画が現れた神様のはずだったのに 穴に篭ってた熊を引っ張り出したその姿は弱々しく痩せ細っていたその姿は神の風格も災厄の畏れもなかった
2023年9月21日 09:14
閉じた襖が開かなくなり数ヶ月経った襖の奥で何が行われているか私には検討もつかない塞ぎ込んだような表情で家に帰ってきたと思ったら一言言葉を残して閉じこもったきりだった成人したもの同士だと思っていたのはほんの数日で今は後悔しかない冬になってきた異臭としなくなるだろう私はいつまでこの襖を開けれないのだろうか
2023年9月21日 09:03
橘は変わらないがこそ橘周りの景色が変わるのを悲しく感じて仕方がない始めてそこにきた時は橘の青々とした風景も建てたばかりの家となんともマッチをしていた黄ばみ始めた服のように建物にも劣化が出てきた今ではどちらも損をしているようにしか見えない
2023年9月21日 08:52
朔風が吹くのでコートをぐっと掴みその身を丸めてやり過ごした最近はめっきり冷えてきて昼でも風が冷たい風が吹くたびに涼しくなるとありがたがっていたあの頃が懐かしく感じる払っても払っても拭いきれない身にこびり付くような寒さに気持ちは益々沈んでいく葉も寒いのか私の周りで舞っている早くこの風が皆を喜ばす季節となればいいのだが