マガジンのカバー画像

2023年     詩

400
2023年製作した詩 400を目指す
運営しているクリエイター

2023年11月の記事一覧

テーブル

テーブルの上に整列と並べられた
飾りにばかり目を取られ
テーブルの下も
テーブルの端にも目を向けず
整えられたところしか見ない

別の人はテーブルの下しか目を向けない
ある人はテーブルの端しか目を向けない

こたつ

こたつから出られなくなるからと
出さないで置くつもりが
父の独断でこたつは今年も
部屋の中央で鎮座している

父は座椅子のある特性の席で
今日も微睡んでいる

しかし私は知っている
家に誰もいない時は
父はそこにはいない
誰かがいるとに限ってそこにいるのだ

恥ずかしがり屋で寂しがり屋の
父らしい

大掃除

12月の頭には
少しづつ始めている筈の
大掃除は
今年も全く進んでおらず
二人で慌てて掃除をする

来年こそは早く済まそうと
思いつつも慌ただしく
二人で掃除をするのも
そんなに悪くないかもと思っているから
来年もきっとこのままなんだろう

今年

今年もいい年だと
振り返ってみたが
小さなことは嫌なことばかりで

君が隣にいたから
すべてがなんとなく
よく見えていたのだと
今年のうちに気がついたら

デジタル

無機物的に物を仕分ける
数値だけで物を仕分ける
そこに心がないと
アナログ的に分けてみても

デジタルのように
無機物的に分ける事しか出来ずに
言い訳のように
アナログという言葉を
使うだけ

下車

ふと思い立って
駅を降りていた
通勤途中、余裕はない

普段通っているはずなのに
見覚えはない
皆が駅に向かって歩いてくる

きょうはこのまま休もうと
思った時夢から醒めた

会社の一つ前の駅
降りるかどうか
少しの間考えてみよう

大元

憎むほどの相手を今日知って
出鱈目な嘘を撒かれて怒り
自分の意思ばかり発表しても

過去も今も憎む相手が
出した言葉を鵜呑みにして
目の前の理不尽ばかり怒る

嘘をつかない理由は
至極簡単で
嘘の行き着く先に
責任を持てないから

嘘が相手の真実になると
途端に喜んで
飛び回り
世の中に蔓延る

その先どうなるか
理解したら
極力嘘はつかないでいる

噂が重なって
真実になると
信じない君の事実は噂ばかりで
元を辿ってもあるのは霞

霞ばかり信じているから
君のすべてが軽くなり
薄く汚れていくのを
気がつきもしない

浅葱色

新選組に憧れて
揃いの服を集めても
見栄を切っても

形ばかりで実態を伴わない
色もよく見ると褪せて見えるように感じた

江戸紫

江戸は京都とは違って
濃いものを好む
色も味も濃くないとわからないのだろう

薄いものを感じるように
じっくりと味わう豊かさがないのだと
笑うところで
世には江戸紫が流行っていった

薄色

色と言えば紫
日の出と言えば初日の出
高貴な私達はそれだけで話は通じる

その考えが世に広まれば
少しはマシになるかと思ったが
言葉は広まるが平和は広まらなかった

藤色

藤色ばかり着るのは
自分が偉いと誤解しないためだと
笑う上品さは庶民とは一線を画していた

寧ろ同じ服を丁寧に着ているからこそ
すこし風合いを変えた服の色が
高貴さを増しているように思えた

照柿

旨いものは見た目でわかると
柿を食べたら渋柿で
自分の見識の浅さを知った

何色が柿をしめすのか変わるように
私も少しは常識をアップデートした方がいいだろう

一口食べた柿をそのまま捨てて
私は少しだけ情報をアップデートした