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世界を変えた材料とワクチン

材料の話

世界史を変えた新素材』という本を読んだ。著者があとがきで書いているように、タイトルが「材料」ではなく「素材」という言葉になっているのは、一般になじみ深いからということらしい。また、この本は「Webでも考える人」で連載したものを加筆修正してまとめた本らしい(今は読めない…?)。

端的に言うと、めっちゃ面白かった(語彙)。話はそれるが、私は小さい頃から読書感想文が苦手で、夏休みの宿題はほとんど最初に終わらせるのに、読書感想文だけはギリギリだった。あまい先生の時は提出しなかった(得意なものは早く終わらせ、苦手なものは全然終わらないのは今も成長していない…)。なのであまり期待しないで読んで欲しい。っていうかすぐ終わる。

この本で紹介されている材料は、金、陶磁器、コラーゲン、鉄、紙(セルロース)、炭酸カルシウム、絹(フィブロイン)、ゴム(ポリイソプレン)、磁石、アルミニウム、プラスチック、シリコンである。最終章ではマテリアルズインフォマティクスの話も出てくる。

「磁石が好きだから」という理由で磁石の章だけを読むのも良いが、ぜひ全章読んでほしい。今では身の回りに溢れている材料がどのように発見・開発されたのか、知らなかったことばかりでとても興味深い。タイトルにあるように世界史とも密接に関係していて、文系の方にもお勧めである(あまり文系・理系という分け方は好きじゃないが)。また、今どのように使われているかも、知らないことが多くてためになった。

特に印象に残っているのが絹!と炭酸カルシウムとプラスチック。

絹は、ご存じの通り蚕が作った繭から作られるのだが、蚕にたくさん糸を出してもらうための交配によって、自力で木の幹につかまれず、成虫は飛べなくなったらしい。ひぇ~…さらに2016年、中国の清華大学のグループがカーボンナノチューブやグラフェンを蚕に食べさせると、できた糸は強い強度を示し、加熱すると電気を通すようになったらしい(論文)!本当だったらすごいけど、ちょっと恐ろしいと思うのは私だけ…?

炭酸カルシウムの章で出てきたものの1つが真珠なんだけど、これを取れる(海に潜れる)原住民のたどった運命が悲惨だった…その頃に養殖が成功していればと思ってしまった。ついでに後に成功したのは日本人で、その辺の話も面白い。

プラスチックは、本当に化学者の腕の見せ所と言うか、工夫すればいかようにも改良できそうで、夢のある材料だなぁと思った(化学者じゃないけど)。

その他にも、セレンディピティの話や、発見から事業化までのギャップの話など、現代にも通じる勉強になる話が多かった。失敗物(または副反応物)の有用性を考えてみるのも大事だね。

あとがきには室温超伝導体の話もちょっと出てきたりして、この本の中の話のように室温超伝導体が発見されて世界が変わるの面白そうだな~、材料面白いな~と改めて思うのであった。

ワクチンの話

上記は世界史を変えた材料の話。それで思い出したのが、最近聞いた、今現在世界を変えているワクチンの話(ビジネスウォーズの『コロナワクチン開発戦争』)である。これはポッドキャストアプリでも聞けるので、Interaxion(物理系ポッドキャスト)のようにいつでもどこでも聞ける。

これは、世界史好き、新しいもの好き、材料好き、か否かにかかわらず、今地球上にいる全人類に聞いて欲しい。って思うくらいお勧めです。

また話はそれるけど、去年、私は株を始めた。きっかけは簡単に言うとコロナだけど、その1つはモデルナとバイオンテックを知ったことだ。詳しくは分からないがワクチンが期待されているということでその2社を買い、それから他の株も買ったりして、多いときは30銘柄くらい持っていた(今は9銘柄(そしてトータルでマイナス…))。当時は株価に一喜一憂しているだけで、実際に何が起こっているのかは詳しくは知らなかった(本当はこれではだめ…)。これを聞いて、当時何が起こっていたのか分かった。

この話で何より面白いのは、ワクチンがいかにして開発されたかということ。25年前の一人の女性の決断によって、今たくさんの命が救われている…!

あとはワクチンが開発された後の各国の取引なども、知らなかったことばかりで面白かった。各国が我先にと争う中、日本はどういう取引をしたんだろうなぁ。

mRNAのワクチンが当たり前になっている世界が、来るのかもしれないねぇ。



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