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きぬた歯科さんの看板広告に見られる最適解のデザイン

こんにちは、ちょっと株式会社の久保田です。

職業柄いつも広告ウォッチングしているんですが、そんな中で10年以上も見続けている屋外広告があります。
それはテレビなどでも取り上げらる有名な「きぬた歯科」さんの看板広告
都心近郊、特に八王子に近い西側にお住まいの方なら一度は目にしたことがあるのでは?

今回ブログ記事にしてみようと思ったキッカケがフェラーリ5台分!と紹介していた日経ビジネスの記事。

ただ単に広告費をかけて大量投下されているのではなく、そのデザインや展開には綿密な計算があり、そして大きなチャレンジだったことに驚かされます。
そして改めて見慣れたあの看板を見返してみると多くの発見がありました。


圧倒的なインプレッション!

とにかく色んなところで見掛けます。

週末に家族でドライブをすることが多いのですが、ほぼ毎回エンカウントしていると思えるくらいに見掛けます。
我が家の長時間ドライブでは「きぬた院長を10回見たら今日はラッキー」なんてゲームをやって盛り上がります。
わざわざ看板がある場所(もう記憶している)へ遠回りすることがあるくらい。

こんなゲームが成立するほどの圧倒的な物量!です。
東京の西側に馴染みがある方は分かってくれるはず・・・。

これってデジタル広告で言うところのインプレッションなんだと思います。
WEB広告ではないので数値を比較することはできませんが、屋外広告としては「頻繁に見掛ける」ってことは莫大なインプレッション数があるということ。

広告効果のベースにあるのはインプレッション数。
なので物量で攻めることは正攻法。これはデジタルもアナログも同じだと思います。


短時間に情報を刷り込ませるデザイン

駅前などの人が多いエリアで見掛けることも稀にありますが、設置場所の大半は大きな車道の脇。
それも多数の看板が並ぶところではなくて、ポツンと1つだけ掲示されていることが多いように感じます。

これは競合する看板が無い場所や視覚に入りやすそうな場所を慎重に吟味し、そこでピンポイント爆撃する戦略になっているはずです。

安全のため脇見運転はやめましょう!

駅前看板などは例外として、ターゲットの大半は車で高速移動していると考えられ、看板を見る時間(広告への接触時間)は長くて数秒間、同乗者ではなくドライバーであればチラ見のコンマ秒程度です。

そんな短時間での情報伝達を考慮して、看板に記載されている情報は必要最小限に整理されています。

  1. 名前:きぬた歯科

  2. 取り扱い商材:インプラント

  3. 場所:JR西八王子駅前

  4. 連絡先:電話番号

大体がこの4つ。
電話番号を外して3つに絞っているパターンも多いです。

例外的に他の要素が掲載されているパターンもありますが、全てしっかりプライオリティ付けしてデザインされています。

カラーリングはマゼンタ&黒&ブルー。
文字は太めのゴシック書体が基本となっていて、文字もフチ&シャドウを使って可読性を担保しています。

最近はイエローベースの新デザインパターンが主流になっている気がしますが、やはりマゼンタ・ブルー・イエロー(パーフェクトなトライアド配色!)の旧バージョンの方がインパクトが強いですね。

そして無視しちゃいけないのが院長の顔写真。
何も意識していない通行人がターゲットになる屋外広告ではアイキャッチが最重要ポイントになります。
そんなコア要素を院長が身を挺して役目を果たしています。

意図は全く違いますが前述の日経ビジネスの記事内にて顔出しされた理由が語られていました。めちゃくちゃ納得できる理由でした。

強いインパクトと高い可読性。そして厳選された情報量。
ついつい「ダセェ・・・」って思っちゃうかもしれないビジュアルかもしれませんが、見れば見るほど“最適解“だなって唸ってしまうデザインです。
言わば屋外広告の看板デザインとしては計算され尽くした完成形。


唯一無二の看板広告

接触ポイントを増やすための物量展開。
ただのバラ撒きではなく設置場所を厳選。
短時間で情報を伝達させるデザイン。

「高いインプレッション数 × 計算されたデザイン」

そして時々話題としてメディアに取り上げられる副次的効果も大きいはず。数的指標が出しにくいアナログ広告なのでCVRやCPA、ROASなどを計測することは難しいでしょうが、流入導線として大きな広告効果を発揮しているでしょう。

近年、広告のメインストリームが紙媒体やマス媒体からWEB媒体に移行し尽くした感がありますが、だからこそアナログな広告媒体が光り輝く隙間ができているようにも感じています。

色んな角度から考えてみると、きぬた歯科さんの看板広告はデジタル時代が産んだモンスター広告と言っても過言ではないはずです。

プロモーションの在り方、それに適したデザインなどを深く考えさせてくれるロールモデルなのかもしれません。
決して真似できないレベルですが。

日常で何気なく視界に入ってくるモノにも、その製作者の意図や計算が潜んでいます。
そこに思いを馳せ、推理や仮説を立てたりすることは本当に楽しいです。

それでは。

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