名古屋深夜徘徊 8/5
長野でバンド練習を終えたあと、電車の都合で早めに帰らせてもらった。
メンバーに最近楽しそうだねって言ってもらえたのがすごく嬉しかった。
今日は長野市で1番大きな夏祭りがあるらしく、駅までの道は車でごった返していた。
結局間に合わなさそうだったので、信号待ちの車から飛び出して行った。
出発3分前に間に合い一息ついていたが、10分立っても電車が出発しない。
どうやら雨の影響で出発できないらしい。
本当にこういうことが多いし、我ながらもっていると思う。
取り敢えず明日の狩猟免許の勉強をしていたのだが、1時間立っても出発の気配すらない。
やっと見通しが立ったとの車内アナウンスだが、22時発予定とのこと。
終電なくて名古屋から帰れないパターンね…
係員に今後の予定を聞きにホームへ向かうと、浴衣や垢抜けてない服装の若者でごった返していた。
せっかくの夏祭りなのにね…
ただ、もし恋人同士できていたら、一緒にいる時間が増えて、むしろ喜ばしいハプニングになるんだろうなと思った。
そんなことがあり22時頃予定通り出発した。
明日の勉強をしなきゃいけない切迫感と疲れであまり覚えていないけど、寝たり勉強したりしていたと思う。
そして名古屋駅に着いたのはなんと深夜2時。
刈谷のホテルはキャンセルし、名古屋で宿泊施設を探さないといけない。
もう時間もないしネカフェにしよう!と意気込んで行ったが、3店舗回って1件も空き部屋がなかった。
初めのうちは都会でゲームの主人公になったしているような気分だったけれど、もうへとへとだ。
名古屋ってこんな厳しい街だっけ?と思いつつ、個性的な人が多い夜道を一人で歩いていた。
大きめのスネアドラムのバッグ、リュック、手提げカバンの大荷物を持った僕が1番怪しかったかもしれない。
ラブホテルも空室なし、ホテルも予約した人しか入れない。
カラオケにも電話をするが満席。
2店舗目でやっと空室が!
でも1時間半しか入れないらしい。
もう藁にもすがる思いだったので、即決で入って行った。
スマホの充電と最低限の睡眠時間の確保を目指したが、館内の有線が中まで入ってくる。
それでも睡眠なしを覚悟していたので、ありがたい気持ちで一杯だった。
30分くらい寝て、名古屋駅へ向かった。
名古屋駅の周りは、始発を待つ人とホームレスが半々くらいで思ったよりも賑わっていた。
途中ホームレスの人の前を通り過ぎた時、「おーいそこのにいちゃん」と声をかけられたが、そのまま歩いてやり過ごした。
この時間はひと気がなさ過ぎて何かあった時が怖いし、ドラム用品取られても困るし。
荷物が多いからお金をたくさん持っていると思われたのかもしれない。
振り向きたかったけど、純粋無垢な笑顔でこっち見られても良心が痛む。
走ったら逆に追っかけてきそうだし。
話してみたい気はあったので、晴れた日にでも話そうぜと背中で訴えながら、半分追ってこないか耳をそば立てていた。
結局追ってこなかったから多分いい人だ。
名古屋駅では居場所もなかったので、トイレみたいな建物と建物の隙間にじっと座り、スネアドラムの上で狩猟免許の勉強をしていた。
鼻の奥にこびりつくような生ぬるい変な匂いを感じ集中力が続かなかった。
ホームレスの人はこれに耐えて生きていると思うと尊敬の念が出てくる。
1メートル先にいるフライドチキンを食べ中のゴキちゃんも全く逃げない。
なんだかこの空間に溶け込めているような気がした。
日の出を見ながら勉強していると、もう隣のゴキちゃんはいなくなっていた。
ちょっと寂しい気持ちで賑わってきた駅構内へと向かった。