合唱練習のフィジカルディスタンスの幾何学的考察

発端

6月23日に東京都合唱連盟から「新型コロナウイルス感染症影響下での合唱練習再開ガイドライン」が公開されたので読んでみました。
構成と内容については、よく整理されていて合唱練習を再開するにおいてのチェックリストとしての活用もできそうだとの印象をうけましたが・・・
そのガイドライン中に、

(1)練習会場
 ②参加団員数に応じた面積の確保
 ③身体的距離(できるかぎり2m、最低1m)の確保

との記述があり、さらには、表形式で実施事項をまとめた資料のなかに、「合唱団員数に応じた面積を確保できる会場の選定」という欄に、
団員1名あたり1㎡以上を確保」って記述がされていました。
これを部分について、読んだ第一印象では、
  身体的距離 の最低1m って狭すぎない?
 「団員1名あたり1㎡以上」 って狭すぎない?
という感じだったことから、「本来はどのぐらいの面積が必要なの?」ってのを読後直後にゴニョゴニョとパワポで作図しながら計算し、無謀にも合唱連盟のTweetに対して、反証レスを入れるってな暴挙(笑)に至ってしまったので、このあたりの計算履歴、その後にさらに計算した結果含めて整理しておこうかと。(それだけのために noteにも サインアップww)

なので、今回公開されたガイドラインの妥当性がどうだとか、実際に合唱練習で飛沫がどれぐらい飛ぶとか、エアロゾルの伝搬はどのようにってなことは一切関係なく、「どれだけの間隔を空けるにはどれだけの面積が必要」という幾何計算結果だけの情報です。
(間隔距離の定義をきめるところには、私の主観が混じっていますし、幾何といっても、中学で習うピタゴラスの定理以外利用以外は、小学校の算数レベルです。)

まずは従来の練習スペースは?

若い人の多い合唱団などでは、椅子もなくずっと立ったままで練習ってのもあるかもしれないですが、シニアメンバーを含む合唱練習では椅子は必須。おそらく座面60cm四方の椅子を横に並べて、列の間隔は座った人の前を通れるくらいのレイアウトが通常かと。
立って歌う人もいれば、座って歌う人もって考えると、だいたい下図のような並びで、一人あたりのスペースは、0.6mx1.4m => 0.84㎡/人 ぐらいが専有面積かな?

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椅子を横にピッタリくっつけると窮屈って事で、10cm近く椅子の間隔を空けると、あっという間にこれだけで、1.0㎡/人の専有面積達成って感じです。

画像2

間隔を空けるとは??

ところで、「身体的距離最低1m」の1mって、ドコとドコの距離なんでしょうか?
人の横幅については、オケ付き合唱の本番ステージでは長椅子に詰めて座ってもらう時は、一間(180cm)あたり3.5人ぐらいで計算してますが、これは大きな男性、小さな女性の平均値だし、練習時よりもかなり狭いエリアで我慢してもらっているので、やはりパイプ椅子の横幅60cmってのを基準に考えるのが妥当かと。楽譜持って肘張ったりしますしね。
で、この「1m」の距離ってどこを測るのでしょう?
「それぞれの中心の距離?」それとも「椅子と椅子の間の隙間の長さ?」

画像3

「それぞれの中心の距離?」だと、椅子と椅子の隙間は40cmになるので、これだと、離れてるって感じでは無いですよねぇ・・・
なので、ChorusMania 的には、椅子と椅子との間の隙間を1m空けることが、距離を1m空けるのだと解釈してて、今後の幾何学計算をしてくことにします。

1mの距離をとると、一人あたりの専有面積は?

椅子と椅子の隙間を1m空けるってことは、上図の下の並べ方になりますが、複数列ある時は、後列の人の真ん前に、椅子を置く場合には、かなり距離をとって並べる必要があるので、後列の椅子の中間位置の前に並べる方式を取るって想定にすると。並べ方は下図のようになります。
合唱メンバーは立って歌う人、座ったままの人が混在する可能性を想定しているので、後列で立った人から前列で座っている人までの距離が1mにって想定での作図です。

画像4

この場合、1人あたりの専有域は、
  横1.6m(椅子幅0.6m+間隔1m) 
  縦1.6m(椅子奥行0.6m+人間起立時奥行 0.4m+ 間隔0.6m)
で2.56㎡/人の専有域が必要って計算になりました。

2mの距離をとると、一人あたりの専有面積は?


同じように椅子と椅子の隙間を2m空けるとって考えたのが下図となります。
この場合、1人あたりの専有域は、
  横2.6m(椅子幅0.6m+間隔2m) 
  縦2.52m(椅子奥行0.6m+人間起立時奥行 0.4m+ 間隔1.52m)
で6.55㎡/人の専有域が必要って計算になりますね。

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まとめ と お断わり

最初にも書いたように、あくまでも幾何学的に1㎡は現実的ではないだろうってだけで、2.56㎡なら大丈夫とかって言っているわけでは無いので、誤解なきようにお願いしますね。
「前に立つ指揮者とのスペースどうする?」とか、「ピアニストは?」とか「物理的な透明な衝立を立てたらどうなの?」ってのは、今回はまったくの考慮外ですし。

追記

「東京都合唱連盟のガイドライン」公開された後に、以下の付記がされています。

付表の「団員1名あたりの専有面積として最低1㎡以上を確保」は、合唱団員同士が最低でも前後左右1m以上の間隔を確保するのに必要な面積を示したもので、練習会場全体の面積を規定するものではありません。
本文2. (1) ④にあるように、合唱団員の占める面積の他に指揮者、ピアニスト等の配置を考慮して全体の面積を確保する必要があります。会場の形状にも配慮が必要です。(2020.6.24 追記)

この部分にだけは、まだ完全納得は出来ていませんけど、面積の数字の1㎡って数字だけを独り歩きさせないでくださいね!って意味だと思います。

いずれにしても、このガイドラインが出たってことは大切です。
少々性善説的な傾向にはありますが、数字がどうこうっていうよりも、「皆で安全に練習を再開することを真剣に考えていこう!」ってときに、それぞれの合唱団の規模・事情で考えるための材料として、こんなことも考えないといけないよ!ってことの道しるべとして活用していきましょうね!

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