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「上へ、上へと舞う桜」、「下から吹き上げる雪」…私が作品の中で出会いたいモノ

上へ、上へと、激しく舞い上がる桜を見たことがある。母とお花見に出かけ、あまりの寒さにカフェに入った時のこと。14階にあるその場所から桜あふれる公園を見下ろすつもりだった。桜を見下ろしながらお茶でも飲もうと…。


でも、私がそこで見たモノは、上へ、上へと、激しく舞い上がる桜の花びらだった。窓際の席でお茶を飲む私たちの目前へ…。春一番だったのか?春二番だったのか?とにかく春の嵐による巡合。見渡すかぎりのピンクに、私は言葉を失った。



想像と違う



別の日、私は一人で下から吹き上げる雪を見た。やっぱり、これもビルの13階か14階あたりからの景色だった。ひどく寒い日で、シンシンと雪が降っていた。たまたま立ち寄った展望スペースからは、雪に降り込められるビル街が見えるはずだった。



でも、私がそこで見たモノは…下から吹き上げる雪だった。偶然に起こったビル風による巡合。見渡すかぎり、翻弄されるように舞い上がる綿雪。あまりの美しさに、何か思うより先に涙が出た。



想像と違う



この2つのシーンは、映像として自分の中にハッキリ残っていて、いつでも取り出せる。上から下へ、散ったり降ったりするはずのモノが、下から上へ舞い上がる。



想像と逆だ



もしかしたら、私はこういうシーンに出会いたくて本を読んだり、人と会ったり、映画を観たり、音楽を聴いたり、人生を生きたりしているのかもしれない。

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