見出し画像

1, 翻訳家 Michelle Herman

ある批評家は氷山に喩えて、カーヴァーの文体とヘミングウェイの文体とを比較し、「ヘミングウェイの洗練された文体は語られない氷山の八分の七が水面下にあることを暗示しているのに対し、カーヴァーの文体は、水面下に氷山の八分の七が存在しないのではないかと、もしくは確かめることができないのではないかと感じさせる」という趣旨のことを述べている。

レイモンド・カーヴァーに学ぶ  その59

経済的に困った家庭に育ったわけでもなく、学歴がないわけでもない。そんな主人公を描く村上春樹が好きなレイモンドカーヴァー 。彼の描く主人公は、春樹のそれとは違い、憂鬱な雰囲気がある。それに、彼の初期の翻訳本を読んだ時、話がぶつ切りで終了して、「なにこれ?」。
意味が分からない本だな、と思ったし、なんか不気味だった。

「体感するけど、言葉も欲しいな」というのが、私の感想だった。それに、即断的、ましては、短絡的とも思える主人公の行動に唖然とした。
レイ(レイモンドカーヴァー )のバイオグラフィーによると、編集者の意向で、書いたものをガンガン削っていったらしい。なかには50%も削らねばならなかったものもあったらしい(パン屋と息子を亡くした両親の話)。

それを知り、今、手に取ったのは、この本。
20 Under 30-Best Stories by American New Young Writers (1986)
レイモンドカーヴァー の子供達。
これを読み終えたら、レイのオリジナルのビギナーを読んでみよう。

翻訳家は、これでもかっていう位、問題が起こる。他人の問題に巻き込まれる。そういえば、そうだったかもしれない。私も。。カオスだった。私の言葉に、不機嫌になる彼。女友だちは、彼の気持ちを確かめるために、私に嘘をついて欲しいと言う。「もう!イヤ!」って言いたくなっちゃう。叫びたくなっちゃう。こんな事を思い出した。

追記
ぶつ切り小説について。
何故?というプロセスがないと、怖いのだ。理解できない行動を取る主人公はただ怖い。理由が分からないだけで、ホラーになる。