ショーペンハウアー協会の関東地区大会というのに出てみた

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先日、ショーペンハウアー協会の関東地区大会というのに参加してみた。前半は、論文の発表があって、それも面白かったのだが、後半は読書会だった。ショーペンハウアーの『意志と表象としての世界』の翻訳のある個所を読んでそれについて検討する、というもの。
 その議論がなかなか面白かった。ショーペンハウアーは言う。人生が短いことを、喜ばないヤツなんていないぜ、と。人生は短いからいいんだ、と。
 どんな楽天家でも、ひどい状況、たとえば衛生状態の悪い病院、監獄、拷問部屋、奴隷小屋を目の当たりにしたら、人生ってこういうふうに悲惨だということに気づくのでは。違うっていうなら、逆に、天国を想像してみれば?できなくない?できたとしても、陳腐じゃない?お花畑とか、白い服着た人がいるとか。酒池肉林状態を、天国っていわないだろう。天国のイメージ乏しくない?なんで私たちは天国を豊かに想像できないの?それはね。私たちが生きている現実が、ほんとのところは、先にあげた、監獄や拷問部屋みたいなもんだからさ。地獄のイメージのほうが想像するの楽だろ。つまり、人生の現実は、真っ暗で悲惨なわけ。だから、早いとこ死んだ方がいい。だけどね、なかなか死ねない。「意志」があるからね。でね、その死ねないところが、苦しいんだ、と。
 ショーペンハウアーって、面白いこと言うよな、と。人生って、リアルに見ると、幸せに満ち満ちてる?ホント?ちがう、と。じゃ、苦しみに満ち満ちてる?これもちがう、と。じゃ質問するぜ、幸せに満ち満ちてるとの、苦しみに満ち満ちてるのとどっちがイメージしやすい?後者だよね。苦しみのほう。それはなぜかというと、人生の実相は──普段は、そんなことには気がつかないけど──、苦しみに満ち満ちてるからさ。なかなか説得的である。


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