大豆田とわ子、エヴァの話題や、くるりの新譜など。みんなの「書きたい音楽」を探る【2021年4月】
Chooning Trends
音楽SNS「Chooning」は、楽曲に関する様々な投稿が集まるプラットフォームです。毎日200件を超える投稿の内容は、アーティストの意図を考察した批評、その音楽を聴くと思い出す私的なエピソード、日々の雑感を音楽に託した日記など、多岐に渡ります。
ここでは、そんな投稿の数々を集計し「Chooning Trends(チューニング・トレンド)」として発表します。ORICONやBillboardのランキング、YouTubeやストリーミングの視聴数では「聴かれている音楽」が明らかになります。『ミュージック・マガジン』や『ROCKIN'ON JAPAN』の誌面からは「聴くべき音楽」が浮かび上がってくるでしょう。私たちの持つデータからは「書きたい音楽とは何か?」というテーマに迫ることができます。
個人が自らの言葉で言及し、記録しておきたいと思う音楽は何なのか。人気の音楽や評判高い音楽とは違った作品が挙がるかもしれません。Chooning編集部では、こうしたデータを用いて「音楽と人間の関係性」を探っていきます。どうぞ、みなさんも一緒に考えてみてください。
Chooning Trends -2021/4
「投稿の多かった楽曲」
3位 A_o「BLUE SOULS」
4月9日に公開されたポカリスエットの新CMのテーマソングに起用されたのは、A_oこと、アイナ・ジ・エンドとROTH BART BARONという異色の組み合わせでした。Chooningに寄せられたコメントの多くは、ポカリCMへの言及となっています。過去にMr.Childrenが起用された時のことを思い出しているユーザーも。毎回強烈な印象を残すポカリスエットのCMですが、今回も多くの人の記憶に残ったようです。
2位 宇多田ヒカル「One Last Kiss」
最初のアニメシリーズから25年を経て幕を下ろした『シン・エヴァンゲリオン』の話題は4月になっても尽きず、主題歌のOne Last Kissが2番目にシェアされた楽曲に(3月の集計では1位)。他のSNS同様、上映内容に言及する投稿には「ネタバレ配慮」がされていることも特徴的でした。
1位 STUTS & 松たか子 with 3exes「Presence I feat.KID FRESINO」
4月に最も投稿された楽曲は、坂元裕二が脚本を務める新作ドラマシリーズ『大豆田とわ子と三人の元夫』の主題歌でした。ドラマ自体の話題性は当然ながら、女優・松たか子がHIP-HOPアーティストであるSTUTSやKID FRESINOとコラボしたことも注目を集めました。この座組を組んだプロデューサー・藤井健太郎は、自ら音楽イベントを開催するほどのマニア。ドラマに東京事変の浮雲(長岡亮介)がキャスティングされるなど含めて、音楽ファンが「思わず反応してしまう」ような名プロデュースでした。
Chooning Trends -2021/4
「投稿の多かったアーティスト」
3位 くるり
4月28日、2年半ぶり13枚目のオリジナルアルバム『天才の愛』をリリースしたくるりがランクイン。しかしChooningでは、投稿の半分以上が過去の作品でした。「春風」をピックして「春だから聞きたくなった」というコメントや、「琥珀色の街、上海蟹の朝」から「引っ越した街を思い出して」など、4月という新生活の季節に思い出されるアーティストとして、くるりの存在があったようです。
2位 Vaundy
2番目に投稿されていたアーティストは、気鋭の新人Vaundyでした。今年3月にはAimerとのコラボソング「地球儀」を、4月には医療系専門学校とのタイアップソング「しあわせ」をリリースして、コンスタントに世間に話題を提供しています。これまでのインタビューでは「自覚的に”ウケる曲”を作っている」ことを隠さず、新たな才能が花開いていくのをリアルタイムで眺めているような感覚があります。
1位 宇多田ヒカル
楽曲別で1位だった宇多田ヒカルが、アーティスト別ランキングでもトップに(なお、投稿の半数以上は「One Last Kiss」でした)。実はChooningがサービスを開始してからこれまでの集計においても、宇多田ヒカルがトップアーティストです。『First Album』から今までの22年のキャリアの中で、ずっと記憶に残るような新鮮な感動を与え続けている稀有なアーティストであることが伺えます。
総合考察
4月もたくさんのニューリリースがありました。Chooningで投稿される楽曲は、CMや映画やドラマなどの映像コンテンツに結びついていることが多いようです。一方で、今月はランクインした全てが国内のアーティストでしたが、アーティスト別では4位にビートルズ、8位にスティービー・ワンダーと、往年のレジェンドの投稿も多く見られました。
つまり、Chooningはヒットチャートと似た傾向があるものの、世間の流行に従うばかりでもないようです。日常的な音楽体験では、刺激的な新曲を求めてディグっていくこともあれば、思い出の曲を懐かしみながら聴くこともあります。そうした音楽とのふれあいの中で「書きたい」という琴線に触れた楽曲がChooningに記録されていくのでしょう。
Chooning 編集部
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