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神道に忠実な人たち (1)

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[登場人物]

・私 (都会で夫と二人暮らし)
・夫
・お義母さん(夫の母・お義父さんの急死により2023年秋から同居後、2024年2月に老人ホームに入居)

・お義父さん(夫の父・地方でお義母さん、弟と3人暮らしだったが2023年夏前に他界)
・弟(夫の弟・成人後職歴無し・お義父さんの死後、うつ病.統合失調症を発症し保護入院)

・叔父さん(3人兄弟のお義父さんの弟・妻と同地方で2人暮らし・子供なし)
・叔父さんの妻

・叔母さん(3人兄弟のお義父さんの妹)

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お義母さんはホームに入居、義理弟は入院、
叔父と叔母からの執拗だった連絡も途絶え始め、
ようやく生活が落ち着いてきた。

私と夫は、
あらためて夫の家族の、考え方の異様さを思い返していた。

夫の家族は代々信仰してきた神道があり、
毎日神様を崇め、その教えにそって生活していた。
実家周辺の地域の中にも、同じ神道を信仰する家が少なくなく、
その土地に昔から信仰している人が多く住む地域でもあった。

夫のお祖父さんにあたる人物がとくにその神道の身分の中でも、
周りより少し上の位にある人物だったようで、
(と言っても、上の位になるには定期的に高額なお布施をすればなれるものらしいが)
周辺の信者からも丁重に扱われており、「地元の名士」であったのを夫から聞いていた。
なので、普通の信者、というレベルよりもより忠実で、
その神道の教えにこだわりがあり、それにそって生きていくべきという考えが強い家族であった。

お祖父さんの考えや行いは息子であるお義父さんと叔父さんに引き継がれ、
二人も忠実に神道の道に沿って生活していた。
私も結婚する時にお義父さんから神道の話は少しされたが、
夫からはその前に
「特になにもしなくて良いから」
「神道なので普通とは少し違う部分はあるかもしれないが嫌だったらやらなくていいから」
と、少し不安がっていた私をなだめてくれていたので、
お義父さんからの話もそんなに重く受け止めていなかった。
私自身は、何かの集まり(お盆や正月など)で神道のやり方でやるべき時がくれば、その時はきちんとするけど、
普段は離れて暮らすことになるので、特に問題はないだろうと思っていた。

が、実際は少し違った。
結婚時は、私達は式も披露宴もあげなかったが、
お義父さんに分教にだけは行けと言われた。
私はとても嫌だったが、仕方なく夫と私達が住む街にある神道の分教に向かい、お祓いを受け、木の板のようなお札ももらった。

帰宅するとお義父さんからビデオ通話がかかってきて、
部屋のどこにそのお札を飾ったか、向きは、位置はどうかと
携帯ごしに写して見せろと言う。
夫は黙ってお義父さんの指示のとおりにお札を飾り、
画面に写したままで夫が待っていると携帯の向こうから柏手を打って拝む声が聞こえた。
その後、私にお義父さんは
毎朝やかんいっぱいにお湯を沸かして、それをお供えし、1日かけて飲むように。
毎朝、できれば日の出前に手を合わせるように。
お酒は控えるように。
など、言って聞かされたが、私は聞きながら夫の顔を見ると
かるくうなづきながら「受け流しておいて」というような顔をしていたので、私も適当に返事をして、これらを守ることはしなかった。

ここからは私個人の意見ではあるが、
正直、何を信じるかは家族であっても一人一人自由であると思う。
現に夫は神道に忠実な家族の考え方が嫌で、家から出たいと思うようになり
高校卒業とともに家を出ている。
結婚をしてこの家に入ったからと言って、
家のやり方や考えを全て受け入れて生きていかないといけない、というのは古(いにしえ)の考えでしかないと思う。
苗字を継がないといけない、仕事を継承しないといけない、
親の考えを守らないといけない、というのも同じく古でしかないと思う。
確かに昔は引き継ぐ、守る、という事に忠実であったように思うが、
現代を生きる私としては、「自分で選ぶ」ということの方が大事だと思う。
立場的にそうできない人達もいるとは思うが、
私の場合は、何を選ぶかは自分で決めたいと思うから、
神道の道は私は選ばないと決めた。

お義父さんからは度々、手を合わせているか、などの確認が入った程度だったが、
お義父さんが亡くなった後、叔父さんからの教えの押し付けの方が辛く、
神道に一番忠実なのはお義父さんではなく叔父さんだったことを思い知らされ、
私はより一層この神道が嫌いになっていった。
そして、夫の考えと夫の家族、親族の考えが真逆にあること、
そしてそれらが永遠に理解し合えない状態にあることを痛感していくことになった。



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