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無駄を愛すこと

このツイートをみたときに、「理屈はわからないけど、わからんでもない」というのが正直な感想でした。引用RTやリプライを見ていても、肯定的な意見は多く、僕自身も、勝ち負けに限らずリアルなTCGにはデジタルなDCGにない「何か」があって、それが気持ちよさとかイライラに繋がっているとは常々感じていたことです。

でもそれが何なのかはわからない。例えばTCGとDCGの違いとして「換金可能か否か」は考えられる要素の一つだと思います。パックを向いてお金が儲かるかもしれないという状況は射幸心を煽るし、換金可能なデッキ=資産を持ち歩いて戦うというのも独特の高揚感がある。色々なカードショップを巡って、はじめて数万円がかかる理想のデッキを組みあげた時。そこに確かな達成感もあった。

「換金可能性」は要素の一つではある。かといってそれだけじゃないのも明らかです。もしTCGとDCGの違う要素が「換金可能」だけなのだとしたら今頃「cryptospells」は大流行とはいかないまでももうちょっとプレイされていてもよさそうじゃないですか。

だいたい、気持ちよいデジタルな体験もあればイライラするアナログな体験もある。そうした経験は僕ですらたくさんあって、容易に反証可能です。であれば、本当のところは何なのか。

答えの出ない問いを抱えたままセブンイレブンのカレーパンを食べていたときに、そういえば、と思い出した本がありました。

『ゲンロン戦記』。簡単に言うとくそ頭のいいおじさんが経営者として苦悩する10年を書き記した本です。その中にこういう一節があります。

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