SKYWAR 第2話 拡散

とある民家のリビングー朝ー
 遠くからサイレンやヘリの音が繰り返される
 和真達の学校から離れた民家。スーツのズボン、上はインナーを来た眠たげな男が電話をしている。

男A だから!大丈夫だよ。どこも割れてないよ。
母A ほんとに?あんたあの学校近いじゃない!窓が大丈夫でも車とか壊れてんじゃないの?
男A だから言ったでしょ、深夜3時まで仕事したよ結局
母A え?なにそれ
男A あの上司が家が大変だっつって。俺より遠いとこなのに…
 男A、窓を開けてベランダに出る。煙臭い匂いに鼻をしかめる
男A うん、うん…(銃を拾い、見つめる)
 男A、銃の引き金に切れた指が引っかかっているのを発見
母A _でね、なんかロシアで製造された銃がいっぱい置いてあったらしくて_
男A うわああ!!(銃を落とす)
母A え?!どうしたの!
男A なんか、なんか人の指がついてた…
母A え?ゆび?!
 突如、銃声と女性の叫び声が響く
 男A、驚きベランダから身を乗り出して音の出どころを探す
母A え!何今の音!ゆうじくん?!
 男A、壁に血を付けながら逃げるように歩く女性を発見、複数人の青年の笑い声を聞く
男A …え?
 女性が見切れると同時に青年たちが現れる。銃をもって真っすぐ腕を前に伸ばしている。そして3発ほど銃を撃つ
女A ぎっ
 まもなく、様々な方向から銃声や叫び声が聞こえる
母A もしもし!もしもし!
男A (電話を耳に強く当てて)なんだ…いったいこの町で…何が起きてるんだ…?!!
 前日ー夜8時ー
 和真、暗闇の中、煙の臭いと叫び合う人々の声をくぐもらせて聞く。そして目をゆっくり開け、七分月と星空と少しの雲、そして炎でオレンジに照った煙が登ってゆくのを見る
和  …ああ……なんだ…?…生きてる…のか…?
 和真、辺りを見る
和  (ああ、警察の人が来てくれてる…助かる…!…増田はいなくなったの…?あとあの眼鏡…)
 和真、自分の足を見る。アンテナが刺さっており、瓦礫も乗っている
和  ひっ…!うわあ!いたい!いたああいい!!
 救護の数人気づく
和  誰か!!助けて!あああ!!はあ、はあ…(男4と目が合う)
 男4、サブマシンガンを怯えた目で人目を気にしながら拾っている。和真と目が合った瞬間驚き、すばやくブレザーの下に隠し、走り出す
救  君!動くな!(走りながら)力のあるやつ!手え空いてたら手伝ってくれ!
和  はああ!!いたいよお~、うっ、うっ…(いたい、痛すぎる!!だれか、早く助けて!苦しい!)
救  (遠くへ)チェンソーとペンチ持ってこい!君、あんまり動かない方がいい。落ち着くんだ
和  あああ!死ぬ!死ぬんだあ!
救  死なない。俺の目を見てごらん。ほら、向くんだ。そうだ。完璧だ。ほら見てて…
 和真、嗚咽を漏らしながら必死に救の目を見る
 援助の隊員が来て、解体作業に入る
救  足の方先に!左!そうその茶色のとこ!大丈夫だよ。ずっとここにいるからな。ちょっと痛いかも!
 チェーンソーで鉄を切り始める。振動が伝わる
和  いっ_!ふうー、っつ__!
救  おお、よく頑張ったね。すごいよ君。
 最後切りにくく、乱暴に鉄棒がぐりぐりと足の中で動く
和  ああいたあああ__!!!!
救  ごめんねーちょっとびっくりしたねー。よしこれで切れた。
 まどろみながらマスが目覚める。銃器の合間からわずかに月が見える
マス (……あー…いてえ…かあさん…とうさん…)
 マスの両親がフラッシュバックする。母は優しそうな表情。幼いマスを膝に座らせ、ぬいぐるみ同士を戦わせている。父はタキシードの男たちに囲まれて、野性的な表情をしている。背中には鬼族会と書かれている
マス (俺は…生きてるのか…月が綺麗…)
救  おい!この子で最後だ!撤収だ!おいそこ!慌てるな!人が乗ってるんだぞ!!
マス (なんだ…?おーい…俺がいるぞ…まだここに…)…俺が…いr_(気を失う)
 翌朝、屋上の反対側ー日昇ー
 警察が現場保存に勤しんでいる。警察が刑事に状況報告をしている
警4 昨日13:30頃、1年4組の生徒皆が、雷の落ちたような轟音と地響きのような揺れを感じ、雷が落ちたと考え、その跡を見ようと大勢で屋上に移動しました。そこには、120cmほどの高さの木箱が多数並べられていて、中には山のように銃や爆弾が積まれていたそうです。武器はすべて黒。数名の生徒が本物だと疑わずに武器を手に持ち、ふざけ合って打ち合いをしていると、梶尾東二君がリロードをしてから撃ったことをきっかけに、山崎亘君が重傷を負い、その場の全員がそれらの武器が本物だと認識したそうです。一同の生徒はパニックになり、互いに押し合って階段や出口がつまり、その間に複数の生徒が混乱して銃を乱射し、その恐怖で動けなくなった生徒も多かったようです。
刑1 一人の浅慮が不幸を生み、その不幸から戦争が生み出された…ってことか
警4 …そして一人の生徒がいたずらに、ロケットランチャーを発射し、入り口が破壊され、あそこのアルド商店も被弾、多数の生徒が負傷…
刑1 ん?!名前は何てえんだ?!
警4 はっ…!その子は増田幸宏で、現在遺体は見つかっておりません…到着した救助によって半分ほどの生徒が校庭に避難したそうですが、ケガ人や瓦礫によって屋上の階段はふさがれていたそうです。
刑1 なんてことだ…
警4 校庭には人くらい大きな銃が落ちてきたそうです。
 刑1が地上で輸送される機関銃をみて
刑1 …あれか。最初屋上で見てた生徒、軽傷で済んだ生徒から情報をすべて聞き出せ
警4 武器は自衛隊と米軍に生産地を解析させてますが、不可解なことにどの武器も記録にない構造で、ロシアの新兵器ではないかと噂されてます…
刑1 ?!…軍事戦略ってか?!
警4 いえ、まだ実情は何も…アメリカはもうメキシコのとある密輸組織に目を付けているそうですが、調査にはまだ時間が…それに、不可解な点が多いんです。武器を積んだ木箱が短時間で36個ほど敷き詰められていた。階段かヘリか、そんな作業をしたら授業中の教師や生徒が気づかないはずが…こんな穴しかない今は、本当にそんな大量の銃刀類があったのかさえも信じがたいですが…続々と署に、「落ちていた」とされる武器類が届けだされていることをみると、本当であると考えて…
 刑事、資料に目を通す。すると、「武器の外傷一切なし」と記されているのを発見し、不気味に思う。
刑1 どうなってるんだ日本は?!
 病院ー朝8時ごろー
 救急隊、医師、看護師がせわしなく働いている
 生徒の家族の泣き声が多数こだまする。四肢のいずれかを失ったもの。頭が割れたもの。おぞましい光景が続く。
 和真の病室。喧噪で目覚める
A子 うう…いた多…
B子 お母さーん、お母さーん
C男 ああ、やっと起きた?
D男 やべえ、左足感覚ねえ。。。
 刑1と刑事数名が入ってくる
刑1 はいおはようー。あーみなさん、この度は、えー未来ある子供たちの命が、いたずらに奪われてしまったことを、大変残念に思います。君たちも、突然の事態にショックだろう。…えー我々警察は現状を調べている。そしてこの事件…事故なのか、それとも誰かの故意によって引き起こされたのか!!…まずそこを調べなきゃいけない。
刑2 じゃあ順番に聞いてくから、あまり緊張せず、リラックスして答えてねー。
 刑事4人ほど、分散して事情聴衆を始める。その中、ある男子が窓の外を見ると、病院の入り口にロケットランチャーを持つ男が立っている。白衣の二人がその男に駆け寄る。男はランチャーを構え、その男子の部屋の窓へ向かって放つ。部屋が大破される。
 女1の膝の上に、男のちぎれた上半身が乗っている。女1は茫然とした顔をしている。刑1驚愕
女1 い…いやあああ!!!!!
刑1 …っくぅ!!(走り出す)
 刑1、病院を駆け降りる。何人かとぶつかりつつ、病院の窓から出て、塀を乗り越え道路を走る。
刑1 はあ、はあ、…うん…?
 角を曲がると、中学生くらいが拳銃を持ち、涙目でそわそわしている。そばの側溝にはもう一人の中学生が突っ込んでいる。
刑1 はあ、はあ……はあああ!!!!
 刑1、その中学生を抑え込む
刑1 こちら瀬谷4-7-2、52番、子供が拳銃殺人をした!繰り返す子供が拳銃殺人した!応答せよ!もしも…
 連絡中、血を出しながら逃げる中年男性が十字路を通り過ぎる。すぐ後にヤンキー風貌のマシンガン持ちが追いかけている。
刑1 こちら……はあ、待てっ__!!
 ヤンキー1、刑事に気づき、銃口を向ける。刑事1,とっさに中学生に覆いかぶる。
ヤンキー1、中年に脚を撃たれる
ヤンキー1 ああああいたあ!
中年1 ひい!ひい!
 中年、後ろだけを見ながら走っていくと、交差点で爆速のトラックに轢かれる。
 刑事たち、唖然
刑事3 おい!救急車!!
刑事2 は、はい!
ヤ4 おいおーい、人ひいちゃったよ…、うん?
刑事3 おい!お前、銃を捨てろ!!
ヤ1 じゃあっもう、、惜しいけどあんたらもぼ…
 刑事3、ヤ1のふとももを撃つ 
刑事2 ?!久保さん!!!
刑事3 もう発報許可なんて待ってられねえ。これ以上野放しにしていたら(リロード)、この町が、アメリカのスラムみたいに人を殺し合う場所になっちまう!!安田!送迎の応援を…
 言いかけたところでトランシーバが鳴る。立て続けな銃発射報告・応援要請連絡、
 報告をしようとするも、押し寄せる通信にとても言いにくい。
刑事2 か、、至急応援!至急応援!こちら705番地の十字路で銃を持つ逃走犯3名を確保!連行応援をようせいする。こちらななひゃ…
 交番(警察控室)、誰もいない。机に置かれたトランシーバーから粗雑な色んな人の声が漏れ出る。銃の発砲音、救急車の音、泣き叫ぶ音、全て絶え間なく続く…

#創作大賞2023


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