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愛しきもの、いちごと生クリーム

「好きな果物は?」
と聞かれれば、
「桃と梨」
と答えるわたしですが、それは生でそのまま食べる場合のこと。

手を加えた果物でダントツに好きなのは、ひょっとしていちごなのでは。
と最近になって自覚しました。


いちごと生クリームの組み合わせが、死ぬほど好きです。


いちごと生クリームの相性のよさに思いを馳せて気がついたのですが、そもそもこの2つが合うのって、おかしくないですか。

いちごは、今はものすごく甘い品種が多くありますが、そもそも酸味と甘味の食べ物です。
そして、酸味の代表、レモン等などの柑橘系と乳製品の相性は、あまりよくありません。
酸味の成分によって、脂肪と水分に分離してしまうからです。
そうでなくても、舌を刺すような酸味と、舌の上に膜を張るような乳脂肪は、なんとなく反りが合わないように思います。

そして、いちごは瑞々しさが命。
水分をたっぷり含んだ果物で、水分量は90%。
なんと、スイカと同レベルの水分含有量を誇ります。
スイカは独特のシャリ感がありますし、そこにクリームをかけて食べるなど、考えただけでもゾッとします。
水と油、といって仲の悪いことを表しますが、水分と脂肪分は相入れないのです。


それなのに。
それなのに。


いちごと生クリームは、もう神がそう創りたもうたとしか思えないほど、相性が抜群なのです。
いちごの酸味も、水分も、乳製品に嫌われる要素しかないのに、乳製品にぴったりとマッチするのです。

この奇跡はまるでロミオとジュリエット。
いがみ合う2つの家(酸味&水分と脂肪分)の子どもたちが、司祭(砂糖)の手によって結ばれるのです。
しかもこの司祭(砂糖)は仕事ができるので、愛し合う2人がうっかりすれ違って死んでしまうこともありません。

ブラボー!

こんなすばらしい組み合わせ、好きにならずにどうしろというのでしょうか。


さて、見事結ばれたスイーツ界のロミオとジュリエットは、いろいろな形で、様々な場面で、世界に幸せを運んでいます。


先日食べたのは、フルーツサンドでした。
フルーツサンドって、懐かしいというか90年代を感じるおやつですが、見かけると無性に食べたくなってしまいます。
真白な食パンの間に、これまた真白な生クリームが詰められていて、そのまんなかにあざやかな果物の断面が見えています。
白と赤の組み合わせは、最高の色彩です。
パンで挟んだだけなのに、その姿はまるで宝石箱のよう。
同じ紅白でも、ヨーグルトといちごソースとは、一線を画した佇まいです。

そんな食べられる宝石箱の並んだショーケースの前を、うっかり通りかかったのが運の尽き。
無視することなどできずに、気づいたらお買い上げしていました。

有楽町のイトーシアにある、IMANO FRUIT FACTORYというお店です。
ミックスフルーツも気になって買ってしまいましたが、なんといってもいちごですよ。

食パンは薄くてふわふわ。
生クリームの量は意外と控えめで、いちごの味を邪魔しないように薄めに塗られています。
さすが果物屋さんのフルーツサンドですね。
そしていちごですが、わたしが選んだのはあまおうのサンド。
大きないちごの美しい断面が、整然と並んでいます。
そしてすばらしいことに、外からはわからないサンドイッチの三角の中心部。
ここにもちゃんと、いちごが埋められていました。

そうそうこれ!
この隠れた部分を日和るお店もある中で、細部にまで手を抜かないその心意気。
さすが老舗の果物屋さんです。
(今回はじめてしったお店ですけど。)

朝から大変幸せな気持ちになりました。
大好きです、ありがとうございます。


また別の、なかなか食べられないけれど大好きないちごと生クリームの組み合わせは、パブロヴァです。

わたしはこのデザートを イギリスで初めて食べたので、てっきりイギリスものだと思っていたのですが、調べたところオーストラリア説とニュージーランド説があるようです。
名前はロシアのバレリーナから取られているのだとか。
またひとつ賢くなってしまいました。

生クリームといちごを焼いたメレンゲで挟んこのだデザートは、見た目の可愛らしさからして100点満点です。
まっしろなメレンゲとクリームに挟まれた真っ赤ないちごの佇まいは、まさにプリマドンナ。
色味としてはフルーツサンドと同じですが、いちごの赤い外見が引き立つので、宝石箱というよりは、きれいに着飾った可憐なお嬢さんのようです。
意味がわかりませんね。
わたしもよくわかりません。

そしてこのデザートは、見た目だけではなく口当たりも最高なのです。
フォークを立てて、ぐっとメレンゲに突き立てて砕き、間に挟まれたいちごをクリームごとすくいます。
口に入れて咀嚼すると、メレンゲのザクザクした食感と、いちごのジュワッとした甘味が口内にあふれ、それが滑らかな生クリームと混ざり合って、すばらしいハーモニーを奏でます。
飲み込むころには、メレンゲもシュワっと溶けているので喉越しもつるりとしていて、すぐに次の一口を食べたくなります。
鼻に抜けるいちごの爽やかな香りと、生クリームの甘い香りがたまりません。
永遠に食べていられそうです。

わたしが特に好きなのは、ロンドンのメゾン・バトーというカフェのものなのですが、それを食べに往復15万とかかけられませんので……。
日本ではなかなか食べられない、夢のデザートとなっております。
まだ試していませんが、もしかしたらルパンコティディアンで春だけ出すかもしれません。

どこか東京で最高のパブロヴァを出すお店があれば、ぜひ教えてください。


ほかにもまだまだ、大好きないちごと生クリームの組み合わせはありますが、今日のところはこのくらいにいたしましょう。

春はこれから。
いちごの旬もこれから。

おいしいいちご生クリーム案件があれば、ぜひ教えてくださいね。


放っておいても好きなものを紹介しますが、サポートしていただけるともっと喜んで好きなものを推させていただきます。 ぜひわたしのことも推してください!