移住先候補オランダへプチ移住

教育移住先を決めるための旅、本命のオランダへ行ったすぐあとのブログで、2015年に書いた記事のリライトです。

8月は、一ヶ月オランダへ行っていました。

ユニセフ実施の、世界の子どもたちの幸せ度調査で一位になったオランダ。

イエナプラン教育の視察ツアーも兼ねて、思い切って一ヶ月。宿は友達宅とAirbnb、食事は自炊と普通のオランダ人と同じような生活をしてみることにして、ホテルには泊まりませんでした。

結果、この選択は大正解でした。やはり生活をしてみないとその土地はわかりませんね。

結果から言うと、オランダは(国中をまわったわけではないので、アムステルダムは、という方が当たっていますね。ロッテルダムなどはまた違った文化を持つ街のようです)予想以上に良いところだった!ということ。

正直、数値化されたリサーチ結果は確かにいいかもしれないが、本当かな?と半信半疑でした。

だから毎日公園やスーパーのお菓子売り場やレジ待ちの長い行列で必死にリサーチをしました。

(本当に子どもは幸せそうか?)

ってそればっかり考えて真剣な眼差しで始終キョロキョロしていたのでちょっと傍目には怖かったかも・・・笑。そんなアジア人、嫌ですね。笑

でも、驚愕だったのは、確かにアムステルダムで会った子どもたちはギャン泣きをしない。中にはきっとしている子もいるんでしょうが、少なくとも私は見ませんでした。

日本では、子どものギャン泣きは日常茶飯事です。うちの子どもたちも何かって言うとギャンギャン怒り泣きます。

アムステルダムの公園で子ども同士がおもちゃを取りっ子しても、順番ね、とか大人が一言言うとすぐ諦めて他のおもちゃで遊び始めます。

一度など、うちの次男が何かの理由でギャン泣きしていた時には、公園中の大人子どもみんなが心配そうに私を見ていました。そして、一人のおじいさんが歩いてきて私にこう言いました。

彼はすごく泣いているね、これはどうしてだろうね、そうだね怒っているんだね。僕は、十年ほど前にこの子と同じように泣く男の子を見たことがあるんだ。その子はその後ちゃんと成長したから大丈夫。彼はきっと、とてもGIfted`Childなんだよ、と慰めてくれました。

私が一日に3回は聞く次男のギャン泣きは、この地では十年に一度見るか見ないかの珍物なのか?

もう情けないやらびっくりするやらでしたが、とにかく子どもがギャン泣きしないこの国の親は、私たちよりずっと精神的に余裕があるに違いない、と思いました。子どもに外でギャン泣きされるのストレスは、言わずもがな。

一ヶ月間、ほとんど毎日レンタルした自転車で地元の公園で遊び、スーパーで買い物をして帰るという東京となんら変わらない生活をしながら一ヶ月リサーチした結果、わかったことがあります。

それは、

「誰より幸せそうなのは、この国の大人だ」

ってことでした。

行われたのが「子どもの幸せ度調査」だからその数値が独り歩きしているだけで、周りの大人が幸せだから、子どもも幸せなんだ、という図式が見えました。

そりゃそうだろう、という感じですが、実感として理解するまでには私は気付けませんでした。これは私が日本の「自分のやりたいことはとりあえず我慢して、子ども中心の生活に甘んじる」文化に慣れすぎてしまっていたからだと思います。

オランダでは、母親が子どものために我慢する、という概念が存在していないのです。育児の犠牲になるなどとんでもない。子どもは子ども、大人は大人。その境界線がきっちり分かれていて、公園でも大人たちはベンチでグラスワインを飲んだり、仕事から帰ったお父さんたちが四時半からビールを片手に友だちと笑いあったりしている横で、子どもたちは勝手に砂場で遊んでいます。

日本みたいに、大人が子どもと一緒になって砂場で穴をほったりしている姿はほとんどありませんでした。

ある意味、言葉は悪いけれど放置じゃないか?と思うくらい。

お母さんたちは、体の線がはっきり出る派手な色のワンピースなどを着て、隣接したカフェのコーヒーをちゃんとしたカップで飲みながら、砂場のベンチで雑誌を読んでいたりします。

私が「今日もどうせ一日公園だからジーンズでいいや。あ、穴開きそうだけどまいっか、あ、スニーカー、汚いけどまいっか、公園だから」なんて言い訳して髪の毛もボサボサで公園で息子と砂を掘っているのとは違いすぎて驚きでした。

東京の公園では、ついつい自分の子が砂場で他の子のおもちゃを取らないか、滑り台を反対から登らないか、ブランコで順番抜かしをしないか・・・もういつも我が子の行動に粗相がないように目を光らせているような気がします。

そして、それってすごく疲れることなんだなあ、ってオランダの公園に来て実感しました。

オランダの公園で、長男が筒状の滑り台の上を登りはじめたとき、ああまたあんなことして危ない、止めなきゃと思い、いつもの「ほらダメだよ」と言おうとしたら、拍手が聞こえました。びっくりして見ると、大人たちが拍手をしています。

は?と思ったら、そのお父さん、お母さんたちが息子を指差して「Very Original!」だと。つまり、「面白いこと考えるね!」って褒めているわけです。息子はとても喜んで、その後もずっと嬉しそうでした。

人と違うことをすると叱られる経験と、人と違うことを考えて褒められる経験。

その先にあるものはきっと大きく変わってくると思います。

(危ないことは確かに止めなきゃいけない。でも、それが他の人にどう思われるかとか、一般常識的にダメだからとか、私がちゃんとした母親であるために、とかそういうつまらないことで彼の創造性やオリジナリティに蓋をするのはもうやめよう。止める時もまず、すごく面白い考えだけど、という一文を追加することにしよう)

と誓いながら帰宅しました。

これはとても大きな学びになりました。

でも結局は、私達はオランダでの子育てを選択しませんでした。

後半に続きます!

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