選択理論を応用したマネジメントのこと

組織をマネジメントする手法はいくつか論じられていますが、トップの関わり方としてボスとして関わるかリーダーとして関わるかと言うものがあります。

その違いと、普段どんなことを意識して実践したら組織が効果的に機能するのか、そんなことを考えてみました。


選択理論心理学は、脳の仕組み、行動のメカニズムを説明した理論です。

その理論をベースにしたマネジメント手法がリードマネジメントです。

リードマネジメントとは違うアプローチにボスマネジメントがあります。

ボスマネジメントは、フレデリック・ラルー氏の「ティール組織」の中に出てくるもので言うとレッドからオレンジの組織に顕著にみられるものだと思います。

さて会社でもNPOでもなんでもいいのですが、組織を預かると責任感が所有感とすり替わってしまい、ふと気がつくとボスの関わり方をしているかもしれません。

ボスとリーダーの違いについて、古くはイギリスの名門百貨店創業者、セルフリッジ氏の言葉(1914)に始まるいくつかの対比がありますが、選択理論の提唱者、W.グラッサー博士はクオリティスクールという書籍のなかで「ボスは駆り立て、リーダーは導く」「ボスは私と言い、リーダーは私たちと言う。」などの対比をあげていらっしゃいました。

これを読んだ時、自分はリーダーのつもりでいても気を抜くとボスとしての振る舞いをしているかも、と背筋がひやっとしたのを覚えています。

ただ、逆を言えば自分がどんな言葉を発するか、何をするかはコントロールできる。行為と思考はコントロールできるのであれば、リーダーのしていることを常に意識すれば、自分の価値観や思考パターンがそれになってくるといえるので、常に意識し続けることが大事だとつくづく思うようになりました。例えば「私」と言う主語を「私たち」に変えるよう意識するとか。

以下にボスとリーダーの違いを論じたものの引用を載せます。

● ボスマネジャーは生徒を動機づけることに心を配り、リードマネジャーは、動機づけの障害を取り除く。
● ボスマネジャーは誰が悪かったかを探し、リードマネジャーは何が悪かったかを探す。
● ボスマネジャーは欠陥の責任を取らせ、リードマネジャーは欠陥を防ぐ方法を調べる。
● ボスマネジャーは生産性に全員の注目を向けさせ、リードマネジャーは「上質」に全員の注目を向けさせる。
● ボスマネジャーは個人の達成を協調し、それに報奨を与え、リードマネジャーはグループの達成を強調し、その達成を認める。
● ボスマネジャーは「勉強しなさい」と指示を与え、リードマネジャーは「勉強をしやすくなる」方法を確立する。

(D.K.クロフォード他 1993)

● ボスは部下を駆り立てるが、リーダーは部下を指導する。
● ボスは権威を切望するが、リーダーは好意を期待する。
● ボスは恐怖をかきたてるが、リーダーは情熱を生み出す。
● ボスは『私』と言うが、リーダーは『私たち』と言う。
● ボスは時間通りに来いという、リーダーはみずから時間前にやってくる。
● ボスは失敗の責任を追及するが、リーダーは失敗の後始末をする。
● ボスはやり方を知っているが、リーダーはやり方を教える。
● ボスは仕事を苦役に変えるが、リーダーはそれをゲームに変える。
● ボスは『やれ』と命じるが、リーダーは『さあやろう』と言う。
Harry Gordon Selfridge “The customer is always right”1914

グラッサー博士の「クオリティスクール」に出てくるリードマネージャーについてはまた別の機会に。



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