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諦めなければ願いは叶う

タイトルからだとさも妊娠したかのように思えるが、期待させてしまった方すみません。
実は昨日人工授精2サイクル目に突入した。

不思議と次の人工授精の準備のためにやらなければならないことが目まぐるしく、悲しみに浸る時間はなかった。
生理が来たのでクリニックに連絡し、再び処方されたレトロゾールを買い、毎日仕事に行き、また次の排卵日を待つ。
1回目はあんなに長かった1分1秒がとても短く感じる。

1回目の人工授精で失ったお金は大きい。速達で送ってもらったドナー精子のお金と人工授精の諸費用はざっと計算したら給料2ヶ月分だった。
でもこの世のあらゆることは全て必然で起きている。
私にはまだきっと妊娠するまでに経験するべきことが足りていなかったのだと思う。

早速始めた仕事も、予想よりはるかに忙しく、不妊治療のメンタルでなかなか慣れることも楽しむこともできず、入って早々もう辞めてしまおうかと自暴自棄になっていたが、2サイクル目に突入したことでいやがおうにも経済的に辞められなくなった。

私を裏切って出て行った元パートナーに、これまで怒りのメッセージしか送って来なかったが、生理が来てすぐ彼の誕生日になった。彼が長年私を支えてくれたことは事実なので、私が怒りの感情と決別し、選択的シングルマザーになるきっかけをくれた彼に感謝を伝えないと赤ちゃんは私のもとに来てくれないのかもしれないとふと思い、いろんな感情で溢れる涙を拭きながら、彼にありがとうの手紙を書いた。
人工授精を失敗しなければ、ここまでの気持ちには到達できなかったと思う。

何よりも、このことによって、不妊治療がうまく行かない方達の気持ちが本気でわかるようになった。
この経験で得た気持ちによって、本音で必ず誰かの心に寄り添える自分に変わることができた。
それはもうここにはいない、頑張ってくれた卵子と精子のおかげである。

私の精子ドナーのプロフィール情報の中に彼へのインタビュー音声があったので、聞いてみた。彼は
「なぜあなたはこの精子提供プログラムに参加しようと思いましたか?」という精子バンクスタッフであるインタビュアーの問いに対して、誰かの役に立ちたい、子供を持てない方々の助けになりたい、自分の遺伝子を地球上に残したい、とかそういうありきたりな答えではなく、
「どんな人も、挑戦できなかったことを、後悔するようなことがあってはならないと思うから。だからこのプログラムに参加しました。」と言っていた。その言葉は、彼の精子を受精させることができなかった私のような人をも救う世界一優しい言葉だった。

諦めれば諦めたことを必ずどこかで後悔する。
諦めなければ、諦めなかったという自分で居続けられる。
諦めなかったことは、私の意地であり、生き甲斐であり、愛だ。

その道のりがどんなに苦しくとも、願い続ければ必ず叶う。
赤ちゃんは、その先で私を待っていてくれる。


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