【楽園から現実へ滑降する】『The Name Chapter: FREEFALL』楽観的ニヒリズムな彼らに変化していく青年の物語。【TXT】
2023年10月13日、約9ヶ月の時を経て
"TOMORROW X TOGETHER"がカムバック。
今回は以前に続くストーリーで最後の避難所である「Neverland」から現実へ、地に足を着き向き合っていく瞬間の物語である。
『The Name Chapter: FREEFALL』
甘く誘惑に満ちた世界(Neverland)から降下した彼らが
現実の世界へ再び戻ってくる。
その瞬間を歌う「Growing Pain」、諦めずに進む気持ちを追い続ける「Chasing That Feeling」、また此処へと戻ってくるだろうと誘惑する「Back for more」、忘れていた夢と名前を取り戻す「Dreamer」、自分のアイデンティティを確立した「Deep Down」、おとぎ話のような永遠の幸せは続かないと悟る「Happily Ever After」、感情の混乱や辛抱を歌う「Skipping Stones」、凍えていた僕の世界にあたたかな春風を吹き込んでくれた「Blue Spring」、魔法のような瞬間を歌う「Do It Like That」、現実に直面した青年が苦悩しながらも夢に向かう途中に苦しい事ばかりではなく魔法にかかったような”瞬間”を見つける物語になっている。
1. Growing Pain
1曲目、サウンドから痛々しささえも感じられるこのGrowing Painは前回のアルバム「TEMPTATION」の「Farewell, Neverland」から続く、落下最中の曲です。
落下と言ってもこれはただの墜落ではありません。
天国のような楽園のNeverlandは太陽が沈まず、夜も来ない場所であり、青年がその場所に留まっているうちは成長が出来ないので星を見ることも、約束も果たすことが出来ません。
星の歌を歌っても夜が来ないので星を目覚めさせることも出来ません。そして、「運命の夜」も越えることが出来ないので何も出来ないまま没落していくだけです。
青年は楽園から去る決意を決め、地面に真っ逆さまに落下していきます。
どんなに辛くても宿命を受け入れ、現実と向き合う覚悟を決めた青年は成長の為に前に進みます。
そしてその気持ちを追い続けるのが次の曲「Chasing That Feeling」です。
2. Chasing That Feeling
80年代を彷彿させ疾走感溢れるスピード感のシンセサウンド、「Chasing That Feeling」は「Growing Pain」に続く、青年の「信じて前に進む気持ち」を追いかけている曲です。
青年はNeverlandに対し「Maybe I’ll miss it for good(もしかすると永遠に恋しいかもしれない)」と思いながらもNeverland(天国)へ背を向けて地球(現実)へ落ちていきます。
先程も書きましたが、Neverlandは青年にとって楽園であり、天国のような場所です。
ですが、前に進む=成長する過程においては楽しいことばかりではなく、成長に伴う"痛み"も受け止めなければいけません。
今まではうまくいかないことや嫌なことがあると魔法を使い幻想の中に逃げていたり、ゲームの世界に閉じこもってリセットボタンで繰り返し、車で遠くに逃げてみたりもしましたが、現実世界には魔法もリセットボタンもありません。
どれだけ遠くに逃げても避けては通れません。
その苦しみさえも宿命だと自分の宿命を受け入れます。
少年の頃はここに来るまで何度も何度も迷路のように迷い、マンホールのような暗闇で彷徨い続けました。
青年は成長の度に体に走る痛みが「生きていると実感する」と感じ、「Good Boy Gone Bad」の「壊れた僕」はもう捨てて、Neverlandでは味わえない痛みと感覚を追い求め進みます。
信じて前に進もうとしている僕に再び「誘惑」してくるのが次の曲「Back for More [TXT Ver.]」です。
3. Back For More (TXT Ver.)
ラテン・ポップの「Back for More [TXT Ver.]」は日常にも魔法のような奇跡の瞬間は存在し、自分にとっては「君」との再会がまさにそのような瞬間だろうと語っている曲です。
この曲をこの位置に入れてくる、いやらしいですね。
TXTver.なのでAnittaは居ません。
居ないからこそ"君"という存在が違って見えてきます。
前回のアルバムが誘惑なだけに一筋縄ではこの先進まなさそうな香りが漂っています。さすがHYBE。
私にはこれが"君"ではなく"悪魔"が「また僕の所に戻ってくるんだろう?」と問いかけている曲にしか聞こえません。
君が出ていったとしてもどうせ僕のところに戻ってくる。
君を満たせる者は僕しかいないと言っています。ですが歌詞を見れば見るほど悪魔側の歌なのではないかと。
「魔法のような”非日常”にいる」
「君を満たせるものは無くて戻ってくるはず」
どうですか?悪魔にしか思えないでしょう?
実際のところはどうなのか分かりませんが…
どちらとも取れる解釈ができるようにこのような位置にこの曲を入れたのではないかと思いました。
また悪魔と青年が「再会」するのではないか、私はそう思っております。
次は「HELL」にでも誘われるんじゃないでしょうか…
後々にMOAとのファンソング「Blue Spring」を紹介するのですが、その歌は僕に"寄り添っていてくれた"という言い方しています。
アルバムの流れを見ると歌詞に出てくる
"ドアを開け出ていった君"はNeverlandを去った青年であり、ここに出てくる"僕"は青年ではなく"悪魔"と解釈すると前回のNeverland側からの曲なのではないでしょうか?
そんな悪魔からの誘惑を受けながらも青年は前に進み続けていくうちに憧れていた夢を思い出します。
そこに続くのが次の曲「Dreamer」です。
4. Dreamer
まるで夢の中にいるようなスローなサウンド、Dreamerは自分は夢想家であり、夢を追いかける大人でも少年でもない青年だと語りかけている曲です。
子供の頃は将来の夢を持っていても大人になるにつれその夢からは段々と遠ざかり、しまいには忘れてしまっているなんて人は多いと思います。筆者も子供の頃の夢は何だったかも思い出せません。
夢を叶えて生きている大人は一体どのくらいいるのでしょうか?
この曲中では夢を「魔法みたいなもの」と歌っています。
子供の頃は夢を持ち瞳を輝かせ憧れを抱いていても、ある程度大人になっていくと目の前の壁にぶち当たり、受験や就職など気付けば夢が薄れていく人が多いと思います。
大人が夢を語ると鼻で笑われたり馬鹿にされたり、「夢なんか持ったって…」「叶わないから夢なんだ」など言う人もいます。結局は大勢の人が進む"安定"というレールの上を走り、大人は夢を持たないと言われるのではないでしょうか。
青年はなぜ自分をグレーだと言ったのか。
彼は"夢を追う青年"だからです。
大人と少年の間。そして夢を持ち、追い続けている彼はどちらにも属していないのです。
過去のTXTの楽曲の中に「Blue hour(5時53分の空で見つけた君と僕)」という楽曲があります。
この楽曲は"少年から大人に変わる境目を比喩的に表現した"曲であり、タイトルでもある「Blue hour」とは
曲中に出てくる歌詞に"犬と狼の時間"という言葉があります。
これはフランス語で黄昏時を表す言葉であり、日が落ちて空が薄暗くなり犬と狼の判別をしづらい時間帯を指しています。
この曲では"犬"と"日没前の時間"を「少年」、"狼"と"日没後の時間"を「大人」と比喩し、その間のもっとも輝かしい時間である"黄昏時"に留まっていたい、少年と大人の間である"青年のまま"でいたいという繊細で切ない気持ちを爽やかなメロディーにのせ歌っている楽曲です。
そして、今回のアルバムの中に数種類あるコンセプトの一つである「Melancholy」の中でメンバーがウルフドッグと写っている写真があります。
青年は「魔法よ、解けないで」と永遠に留まっていたかった犬と狼の時間を抜け出し、狼側である大人になるということを暗示しているように見えます。
そして少年期から青年期に移り変わり、逃げ続けていた現実に直面します。
その長い旅の終わりの途中に気付いた「答え」と、最初の不安や心の内を歌っているのが次の曲「Deep Down」です。
5. Deep Down
皆さんは覚えていますでしょうか?
2019 Debut Celebration Showでのストーリーを。
ある朝、少年は頭痛で目を覚ましました。すると自分の頭に角が生えていることに気付きます。
角はどんどん大きくなっていき、それを見た人達は少年に向かって「怪物だ」と口々に言います。
そして少年は自分に問いました。「僕は誰?」と。
帽子で角を隠し、誰もいない森の中へただひらすらに走ります。
するとそこに翼が生えた少年がやってきました。
その少年は「君の角、綺麗だね」と言い、微笑みました。
角を受け入れてくれる翼を持った少年に出会い、少年は僕だけじゃなく君も僕と同じ痛みを持っているのではないかと感じ、自分は一人じゃないと気付きます。
そのCROWNのアンサーソングになっているのがこのDeepDownです。
この曲は心の奥底にある想いを吐き出しています。
ある日突然生えた角が恥ずかしくなり、少年は部屋を飛び出し逃げ続けてきましたが、自分の思いに反してどんどん大きくなる角からは逃れることができませんでした。
少年は青年になっても自分の角は汚点であり醜いものだと思い「周りと自分は違う」と劣等感を抱えてずっと過ごしてきましたが、その角こそが"自分の個性"だと気付きました。
”欠点であって汚点では無い”
長い旅の果てに見つけた答えは"角は自分の個性であり、自分を輝かせてくれる王冠"なのだと。
今までの青年は自分だけが違うことに酷く悩んでいました。
コンプレックスに悩み、絶望の果てにいましたが…
答えが見つかった今は"君=角"を求め、苦しみから解放されたように思えます。
「もっと欲しい」と君の存在を頼りに進む青年ですが、現実はおとぎ話のようにうまくいくとは限りません。
この物語の着地点への混乱、そして自分が描くエンディングに向け歩き始めるのが次の曲「Happily Ever After」です。
6. Happily Ever After
「Oh my God」から始まる印象的な曲でTiktokではダンスチャレンジで人気になっていました。
「人生はおとぎ話のようにいかないけど自分の人生を愛する」というメッセージ性の強い曲です。
物語の終わりに近付いていく青年ですが、青年は自分を"おとぎ話の主人公"だと思い込み、困難を乗り越えた後には素敵なハッピーエンドが待っていると思っていました。
ですが、ここは現実世界であり決められた幸せな結末が待っているとは限りません。
自分の選択肢次第で事態はいくつも変化していき結末も変わります。
おとぎ話のように幸せが続くと思っていた自分が愚かだと感じ、現実に正解は無いのだとわかります。
少しの困難と決められたストーリー。そしてその先に幸せが待っていると思っていた青年は正解の無い現実の中で数えきれない選択肢の中にいて、どれを選ぶも進む道は彼次第。
青年はどう進むべきなのか、自分が待っていた"ハッピーエンド"に辿り着くにはどうしたらいいのかと頭を悩ませます。
人生は物語と違い、終わらずにずっと先まで続いていき、幸せのほかにも辛いことや悲しいこともたくさん訪れます。
そして彼は"人生は童話のように永遠の幸せは続かない"のだと気付きました。
現実は物語のように決まった選択肢や結末もありません。
"空っぽの余白の上"に自分の進みたい方へと未来を自ら選択し、人生という名の"物語を書き下ろし僕が作って行く"のです。
ここでの空っぽは"空白"の他に過去の自分、"空っぽだった僕"の事も含めて言っているのではないでしょうか。
とうとう開かれたエンディングに向けて歩き始めました。
今までの青年なら自分の日常を愛すことはできなかったでしょう。
逃げ続けていた彼が現実から逃げずに失敗をも受け止め愛せるようになっていっているのは大きな変化でありこのアルバムの重要なポイントだと思います。
何事にも否定的で虚無感を感じながら生きてきた彼が様々な経験を経て、「生きている意味がなかった」と感じていた過去も受け入れ、自由に生きようと楽観的虚無主義(=楽観的ニヒリズム)になっているのが見てとれます。
「永遠は限られている」と知った青年が、悟りの末に自分の感情と向き合うのが次の曲「물수제비」です。
7. 물수제비
荒々しさと時折穏やかさを感じるロックサウンド、물수제비は自分の中にある沢山の感情への混乱と辛い時を耐え凌ぐ時間を歌う曲です。
物語には無い自由な結末の頁へと進んだ青年にとってこれは不測の事態であり、たくさんの不安と同時に辛さも彼の心に入り込んでいきます。
その感情を水切り遊びに例え、表現しています。
水切り遊びが好きな僕達ですが、好きなのに苦しい、辛いと思うのは何故でしょうか?
この後の歌詞を見ると意味を理解できますが、ここでは川や後の歌詞に出てくる湖を"心"そして石を"感情"として比喩しているのではないでしょうか。
穏やかな心に次々と感情が押し寄せることを表しているのだと感じます。
"君"も"僕"も日常的に辛さや痛みを抱えていて、多くの感情で埋まりきる心をどんな思いで、どうやって耐え凌ぐのかを君に対して気にかけています。
石を投げた水面は水しぶきをあげ、何度もたくさんの石を投げ込めば荒々しく波紋を立て水面は揺れ動きます。
ですが時間が立てば波もおさまり、水面は静かになります。
いくつもの感情で荒んだ心も時間をおけば徐々に戻るように。
その時は心が小さく感情が受け止めきれずにいたとしても月日が経てば時間の経過と共に痛みも和らぎ、段々と向かい合って受け入れられるようになれる。
川は流れていくとやがて海に繋がるように、海のような"広い懐を持つようになれるから"と。
Thursday's Child Has Far To Goで言っていたように
"いつもそうしてきた"という歌詞から青年は辛さや痛みをじっと耐えてきたことが分かります。
そして一緒に水切りをしている"君"に対して「今は苦しくてもその痛みも辛さも時間が解決してくれるから、きっと大丈夫だよ」と優しく声をかけています。
"君"と"僕"の心は毎日様々な感情が押し寄せ、不安定になってしまう。
生きていると嫌なことや楽しいこと、色んな感情で心は揺れ動きます。
水の中に石を投げると底に沈み、どんどん蓄積していくように心の中は痛みで埋まっていきます。
時には辛く心が押し潰されそうになっても、それでも生きる為に息を吐き、前へと進みます。
ここで言う"息を吐く"は"溜息を吐く"と"呼吸をする"両方を比喩してるようにも取れます。
生きるための呼吸、そして溜まったストレスから自分を守る防衛本能としての溜息です。
自分の最終目標へと辿り着く為、生きることを諦めない選択をし、心の負担を和らげる為に息を吐き、次なる目標である海へと向かいます。
TEMPTATIONのコンセプトフォト(Farewell)やSugar Rush Rideでも最後は海に行っていましたよね。
先程も書きましたが川が大きな海に繋がるよう、自分達が海に着くことで"広い懐"を持つための"心の成長"であり次のステップなのではないでしょうか。
この歌詞を見ると、"僕"にとって"君"がとても大切な存在なんだと伝わってきます。
もし君が悲しみで胸がいっぱいになったとしても僕が君の痛みも辛さも一緒に受け止めてあげるよ。
そう思えるほど"君"のことを大事に思っているのがわかります。
ここに出てくる"波立つ水面"とはどちらのことなのでしょうか?
・君の胸がいっぱいになった心
・波を立てている海
そのあとに"震える両手を握ってあげる"という歌詞があるので前者かと思いますが、両方の意味でもとれるのでは無いだろうかとだと考えました。
"君"はまだ心が不安定で成長しきれていないけれど、"僕"はすでに海に辿り着き心の余裕ができ成長する事が出来たから"君の両手"を握ることが出来たのではないかと感じました。
青年が成長の後に次に辿り着いたのは、冬を越えた先に待っていた暖かな陽気に包まれた花が咲き誇る春でした。
君を受け入れたことで気付けた温かさと君への気持ちを歌うのが次の曲「Blue Spring」です。
8. Blue Spring
この曲は『ACT:SWEET MIRAGE』で初披露された、MOAへのファンソングで、TXTがデビュー前から今までの心境とファンへ感謝や約束を歌っている曲です。
細かい解説は不要かと思いますがざっくりと説明していこうと思います。
MOAの皆が僕達が嬉しい時や悲しい時、いつでもそばにいてくれて、元気が無ければ心配して励ましてくれて嬉しい時は一緒に喜んでくれた。
不安や心配でいっぱいの"Blue"な僕達が、"Spring"のような温もりを持つMOAと出会って僕達の"Blue Spring"(青春)になった。
そんな意味が込められているBlue Springですが、
MOAと顔を合わせられた初の有観客コンサート『ACT:LOVE SICK』で彼らの冬は本格的に終わったのではないかと私は感じています。
※2021年の『ACT:BOY』は無観客、ファンミーティングは無歓声の有観客でした
デビューを夢に長い間練習生として頑張ってきた5人、デビューまでの道のりは辛く、大変なものでした。
そしてやっと掴んだ夢。
2019年3月4日にBighitからデビューをした彼らはスタートから良い幕開けとは言えませんでした。
2019年から新型コロナウイルスが流行し、予定していたコンサートも無観客、オンライン配信のみでパンデミックの影響を受け、思うようにはいきませんでした。
それでも画面越しやWeverseLIVEなどを通じてMOAと交流を取っていました。
MOA Diaryで言っていた"また僕らが輝けるまで"という言葉。
華々しくデビューした彼らでしたが、ウイルスが蔓延してしまったせいもあり春だった彼らにまた冬が訪れ輝きを失ってしまった。
"また僕ら集まろう"と言っていましたが、ようやく通常に戻りまた集まることが出来たあの時が長い冬の終わりであり"また僕らが輝きだした"時なのだと思います。
初めて制約無しで行われたコンサートは2022年に行われた『ACT:LOVE SICK』です。デビューから3年目でようやく通常のコンサートをすることが出来ました。
そこでやっとMOAとTXTの夢が叶い、長く苦しい時間から解放されたようでした。
"一緒にいようという僕達の約束"
これはTXTのコンセプトでもある「明日も一緒に」という言葉のことを指しています。
春のような温かさをくれるMOAが、どんな時も傍にいて僕達といつも共にしてくれていたように
"僕達もいつだってMOAと一緒にいるよ。"
これがTXTとMOAの約束であり、TXTがMOAと一緒なら"人生でもっとも美しい瞬間である青春"になると。
TXT達の青春の1ページに名を刻められるなんて、こんなに誇らしいことはありません。
そして私達と一緒に居ることがTXTにとって"青春"だと感じてもらえることがとても嬉しく思います。
現実の話での解釈をするとMOAへのファンソングですが、物語においてのこの曲の解釈としては、青年は今まで角のせいで憂鬱な日々を送っていたけれど、いつも自分の傍にいた君(角)を受け入れたら見える景色が変わって、角は自分にとってかけがえのない存在だと気付き、凍りついた心が溶けだしてじんわりと温かな心を持てるようになったと解釈するのがしっくりくると思います。
そんな青年が角を受け入れた先に見つけるのは、現実世界で見つけた"まるで魔法にかかったかのように思える瞬間"でした。
その驚きを歌うのが次の曲「Do It Like That」です。
9. Do It Like That
Jonas Brothersとのコラボ曲「Do It Like That」です。
恋に落ちた恍惚とした瞬間を歌う爽やかな夏のダンスナンバーです。
冬が終わり春が訪れ、夏が来る…
このアルバムの最後にピッタリな曲です。
恋に落ちた瞬間を歌う曲ですが、何故この位置にこの曲を入れたのか?そして今回はこの曲をアルバムでの物語・TXT・Jonas Brothers、様々な視点から解釈してみました。
色んな解釈の仕方がありとても面白いものでした。
青年は角のせいで何度も出会いと別れを繰り返し、答えに辿り着くまでに随分と時間がかかっていました。
ですが「その回り道も楽しんでいたんだから否定はできない」と言っています。
この"それを楽しんでいたよね"という言葉には何通りかの解釈が出来ます。
まずは1つ目はJonas Brothers。
2005年から2013年まで活動をしますが、グループの方向性の違いから兄弟仲が拗れて解散してしまいます。
そして2019年にまた再結成をし活動を再開します。
解散したけど、また集まるってことは俺達は音楽が好きで一緒にやりたいんだよね。
だから否定はできないでしょ?という解釈が出来ます。
2つ目はMOA。
一定数いる物語で苦しんでいるTXTが好きだったり、TXTの世界観が好きだったり考察などを楽しんでいたMOA達について。
3つ目は角。
いつも傍で見ていたのに答えを教えずに、時には悪夢を見させたり、僕自身を何度も回り道をさせていた角そのものについて。
4つ目は過去の自分自身。
"Can’t We Just Leave The Monster Alive?"ではこのように歌っています。
このように過去の自分自身も
"この瞬間をもっと楽しみたい"と言っています。
"また戻ってくる"と分かっていて
自分もMOAも、そして角も今の過程が回り道なんだと気付いていて楽しんでいる。
だから皆楽しんでいたんだから「否定できないよね?」と言っているように見えます。
こちらも2通りの解釈ができ、Jonas Brothersからの視点だと
一度解散したけれど再結成しようと声をかけてくれたケヴィンに向けての言葉だと思います。
ジェットパックを持って現れた君はケヴィンのことであり、当初は再結成した時の心境をニックがこう語っています。
「ケヴィンがジョーとぼくを驚かせたよ。すごくビッグな話だった」
「すごく意欲があって、飛行機に乗って新しい章へ向かう必要があったようだった」
ケヴィンの言葉で再結成し、シングルをリリースしますが見事初登場1位。
新しい章へ向かい、勢いに乗っていることを表しているのだと思います。
TXTや物語からの視点だと、答えに辿り着いたことで暗闇にいた人生から明るく光が指す人生に変えてくれた。
MOAがいた事でブルーだった人生から抜け出すことができて、僕達は今空を飛んでいる気分だよということを伝えたかったのではないでしょうか?
この部分も2通りの解釈が出来ます。
まずはJonas Brothersから。
君=TXTであり、君といると昔の僕達みたいだと。
僕達が17歳の頃に戻ったかのように昔を思い出すよ。
次にTXT。
君=MOAであり、MOAと一緒にいるとまるで学生の時のように青春をしているみたい。
今になってまた青春できるなんて過去に戻ったみたいだよ。
どちらも昔に戻ったように、Jonas Brothersは過去に活動していた自分たちを、TXTは青春。17歳と言えばもっとも青春に近い歳でBlueSpringでMOAと一緒に居ることが青春だと言っていたように青春時代に戻ったみたいだと伝えたいのではないかと私は感じました。
物語も同様、角と共にすることで色々な世界を見せてくれる、出会いと別れを何度も繰り返し青年の心が昔に戻ったように過去のドキドキや悲しみを思い出させる、そんな意味が含まれてるような感じがします。
TXT・Jonas Brothers両者にとって"君"が一体どんな手を使って僕達をタイムマシンに乗ったみたいに、空を飛んでいる気分にさせることが出来たのかわからないと感心している様子です。
彼らにとってこれがまるで現実世界には無い「魔法」を使ったかのように信じられないよと歌っています。
この部分はTEMPTATIONを彷彿させるフレーズですね。
「Happy Fools」では"やることはたくさんあるのにやる気はない"といっていた彼らを思い出します。
君は飲み物を飲んでしばらく留まるといのはTEMPTATIONで過ごした時のことでしょう。
そんな日々も抜け出して、TXTもJonas Brothersも次なる高みへ向かい、青年も成長の為に前へ進み、彼らは次の新たな目標に向けて歩き出します。
今回のアルバムは楽園から現実に直面した青年が今まで味わったことない感覚、痛みや感情の整理、人の温かさ、自分がやらなければいけないことに気付くことが出来た物語でした。
少しずつですが、成長していってる青年。
「生きることの意味」を見失っていた青年が意味をみ見出せないながらも、今ある人生を楽しんでいこうと考え、自由を求め歩いていっています。
また一段階成長し楽観的になれた彼らが垣間見れた、そんなアルバムでした。
The Dream Chapter: ETERNITY時にはまだ少年だった彼らはガラスドームの屋根に守られていますが、今回のThe Name Chapter: FREEFALLではガラスドームでは無く屋外で屋根の外にいます。
屋根が無くなった=守ってくれるものが無くなり大人になったことを暗示をしているのだと考えます。
青年期から成人期に入る彼らが結末に向かいどんな物語を見せてくれるのか、これからも楽しみですね。
※カムバからかなり時間が立ってからのレビューになってしまい申し訳ありません。
見ていただきありがとうございます。