見出し画像

「知的障害学級」が急増ってあり得る?

知的障害学級急増の真相

ここのところ、「支援学級」の在り方についての文科省からの通知を受けて、支援学級界隈では、今後どうなるんだ~っとちょっとした騒ぎになってます。
詳しくは、「障害のある子の学びの場②」をお読みください。

そこで、「知的障害学級」の急増ってあり得るのか?という疑問を少し書いてみようと思います。


知的障害ってなに?

そもそも、「知的障害」ってなんでしょう?

知的障害(ちてきしょうがい、英語: Intellectual Disability)とは、

  1. 知的機能に制約があること

  2. 適応行動に制約を伴う状態であること

  3. 発達期に生じる障害であること

の3点で定義される[1]が、一般的には金銭管理・読み書き計算など、日常生活や学校生活の上で頭脳を使う知的行動に支障があることを指す

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

と、こんな風に書かれてあります。

しかし、

法令上、一般的な知的障害の定義は存在しない。保護者から言い聞かされた思い込みの制約を持って育つ事であり生まれつきのIQに大きな違いは生じない[要出典]。教育機関や医療機関が心理検査知能検査を推奨し検査を受ける場合があるが、どの問題に対しどんな回答をしたから結果に繋がったのかを定める基準詳細は明らかにされていない[要出典]。福祉施策の対象者としての知的障害者について定義する法令は存在するが、個々の法令において、その目的に応じた定義がなされている。客観的な基準を示さず、支援の必要性の有無・程度をもって知的障害者が定義されることもある。

客観的基準を示す法令にあっては、発達期(おおむね18歳未満)において遅滞が生じること、遅滞が明らかであること、遅滞により適応行動が困難であることの3つを要件とするものが多い。遅滞が明らかか否かの判断に際して「標準化された知能検査(田中ビネーやWISCやK-ABCなど)で知能指数が70ないし75未満(以下)のもの」といった定義がなされることもある。どちらも教育機関で習う問題を記憶されているかが大きな基準とされる。学校の勉強は単にやみくもに机に向かったからといって、確実に成果が表れるというものではなく費やした時間がまったくの無駄になってしまうこともあれば、倍の価値になって返ってくる結果もある為、覚え方の違いにより差が表れる。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


学校現場では、「知的障害」があるかないかでかなり対応がかわってきたりするのですが、実は法令上の定義がなく、「療育手帳」も法律で定められたものでなく、各自治体が出しているので、その程度の基準や内容とかも違ってたりします。

精神障害者保健福祉手帳は法で定められている

よく、「療育手帳」が更新できなかったので、「精神障害者保健福祉手帳」を取りました、と保護者の方から聞くことがあります。知的障害の支援学校に行くには「療育手帳」がいるので、「療育手帳」の方がいろいろ使えるのかと思っていましたが、実は「精神障害者保健福祉手帳」は厚労省からも認められてて、国の判断基準があります。

知的障害って意外と曖昧な基準?

なぜ、精神障害者保健福祉手帳には国の基準があって療育手帳にはないのかっていうのは、以前からの疑問です。
また、この件については今後勉強していきたいと思っています。

国の基準がないので、療育手帳の判断は各自治体っていうことになっているのですが、私の住んでいる自治体では、療育手帳Aが重度で、B1が中度、B2が軽度っていうことになってます。

最近読んだ「知的障害は治りますか?」という本では、

知的障害 とは 認知 発達 に 遅れ が ある 状態 とさ れ ます。   では 認知 発達 とは 何 でしょ う?   一言 で 言う と、 認知 発達 とは、「 文字 や 言葉 を 使っ て 生きる 力」 です。

愛甲修子. 知的障害は治りますか? (p.11). 花風社. Kindle 版.

こんな風に書かれています。

まとめると、

ウィキペディア
⇒ 「一般的には金銭管理・読み書き計算など、日常生活や学校生活の上で頭脳を使う知的行動に支障があることを指す」

愛甲さんの本では
⇒ 「 文字 や 言葉 を 使っ て 生きる 力」

これって、結構違うなと感じます。ウィキペディアの意味では、学校の勉強がゆっくりな「学習障害」の子をイメージしてしまうことも可能ですが、愛甲さんの定義では、「ことばのやり取りの難しさ」をまず考えるというイメージです。

そして、学校現場で一番基準としている、「障害のある子供の教育支援の手引~子供たち一人一人の教育的ニーズを踏まえた学びの充実に向けて~

では、「知的障害とは,一般に,同年齢の子供と比べて,「認知や言語などにかかわる知的機能」 の発達に遅れが認められ,「他人との意思の交換,日常生活や社会生活,安全,仕事,余 暇利用などについての適応能力」も不十分であり,特別な支援や配慮が必要な状態とされ ている。また,その状態は,環境的・社会的条件で変わり得る可能性があると言われてい る。」となっています。

文科省の定義はどちらかというと愛甲さんの定義に近く、「言葉を使っての意思の疎通」の難しさがある状態なのかと思います。

小学校に入ってからわかる知的障害ってあるの?

よく、現場で「この子は九九がなかなか覚えられないので、知的障害じゃないかと思います。」という先生がいますが、「その子はお話はどうですか?」と聞くと、「しゃべってたら普通なんやけど、勉強は全然できない。」ということがほとんどです。それって、「知的障害」なんでしょうか?

最近の傾向として、自治体にもよると思いますが、障害児の「早期発見、早期療育」がうたわれるようになって、1歳半検診、3歳児検診、就学前検診などいろいろな検診があり、保育所や幼稚園からも保護者に療育を勧めるケースがたくさんあります。小学校にも、保健センターや各保育所、幼稚園から気になる子の情報が入ってきます。

その中には挙げられず、小学校に入ってから「知的障害」が発見されるケースってあるのかなと疑問に思います。

なので、各検診を「問題なし」で通過して通常の学級に入学した子は、基本的に入学後に「知的障害」になることは、非常に稀というか、基本的にはないと思います。

知的障害学級が急増ってありえる?

何が言いたいかというと、支援学級の「知的障害学級」に小学校入学してから途中入級するとかは、基本的にあり得ないんじゃないかと感じています。
ただ、いろんな統計を見ていると、知的障害学級は毎年どんどん増えていて、その中には途中入級の子も相当数いるんですが、それって、どういう子が入級しているのかなと思います。
本当に「知的障害」があるお子さんは、程度にもよりますけど、就学前のどこかの段階で必ず誰かが気付いていると思うし、支援学校か地元の小学校か迷って地元の支援学級にしたというパターンが多いと思います。

途中から「知的障害学級」に入ってくる子のほとんどは、「知的障害」ではないのに、学習の停滞で入ってくる子が多いのではないかと感じています。


確かに、言葉を自由に話せなくて意思の疎通の難しいお子さんは私の勤務先でも複数人数いますが、全員が療育手帳を取得しているし、就学前からその状態ははっきりと表れていました。

そこに、学習の停滞している言葉でのやり取りには全く問題のない子を「知的障害」として入級させると、非常に違和感があるし、知的障害の子に対する学習指導とはまた違う方法での指導を同時にするのって、なかなか難しいなと感じます。

支援学級は8名で1クラスという基準があるので、知的障害学級が3クラスという学校は、学校に20人くらいそういうお子さんがいるということで、私は、そんな学校を見たことがないし、きっと、知的障害ではないお子さんたちでクラス数を増やしているんだろうなと思っています。

先日、校区内の中学の先生に「中学の支援学級で療育手帳を持ってるお子さんは何人くらいですか?」と聞くと、「2クラスあるけど、3人かな」といっていました。
では、それ以外の子は何で知的障害学級に入っているのかなと思います。

きっと、個別学習の場として入っているんだと思いますが、それがそもそも「支援学級の適切な運用」ではないと今言われていることなんだと思います。

本当に「適切な運用」をしようと思ったら、紙面での報告だけでなく、実態調査をしないとどうしようもないなと思っています。
今回も、いろいろ「適切な運用」に向けての時間数の調査とか来てますけど、結局は紙面上の調査だと、問題ない数を書いて終わりって感じになってます。

知的障害学級が急増ってあり得ないということがわかって実態調査をしないと、今後も急増は続くと思われます。
でも、それって本人にとっても保護者にとってもメリットあるのかなと感じています。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?