沿海州の亡霊・第七章~転生したら膝枕だった件

11.シュブール暴走

ニィナ「これは・・・どういうことですの?」
シュブール「なぜ、あなたは膝めがけて帰ってくるんですか?!それも、そんな格好で!」
俺「は?」

どうやら俺は死んではいないらしい、
そして頭の下に柔らかい何かが・・・

ニィナ「仕方ありませんわねぇ、今夜はこの方と楽しませてもらいますかしらねw」
シュブール「え?!」
ジェノ「お嬢様!」
ニィナ「あぁシュブールさん、この方があなたがあちらの世界から召喚なさったという膝枕の方ですか、
確かに素敵な膝をお持ちの方ですわね、
それにこのピチピチのショートパンツ。
中にどんな子が隠れているのかしら?
気になってしまいますわね」
ジェノ「お嬢様!はしたない事を・・・」
ニィナ「相変わらず揶揄いがいのある人ねあなたは・・・冗談よ」

さっきからニィナの手が俺の体を触ってくるから
過敏に反応してしまうところがあるのは仕方ないだろ!若いんだぞ!

シュブール「ヒサムさん、目が覚めたのなら服を着替えて、早く話を聞かせてください!」
ニィナ「あら、あなたもよね、シーツで体を隠してはいるけれど、レディがいつまでもそんな格好ではあなたの想い人も興が醒めるというものですわよ」
シュブール「な?!」
俺「レ、レディ?」

ニィナ「あら、ご存知なかったの?
私すぐに気がつきましたけど?」

俺「・・・マジ?」
シュブール「それは・・・いずれお話ししますから」
ニィナ「気が付かない方がおかしいですわよ、
シーツで胸を隠してらっしゃるのですから」
俺「あ・・・」

祭りの夜のことを思い出して『あーやっぱりあの出っ張りはそうだったんだなー』と思ったんだが俺の微妙な顔で全てを察したシュブールが完全におこな訳で・・・

シュブール「悪かったですね!どーせ私は貧乳ですよ!」

シュブールは半べそになりながら叫んでいた。
シュブールすまん、シーツで胸を隠してるのは気がついていたんだが、まさか自爆してくるとは・・・

ニィナ「心配しなくていいわよ、好きな方に触ってもらったら大きくなるって言いますし」
シュブール「え?」

シュブールは菫色の瞳をネコの目のようにして、俺の方を睨みつけて・・・

シュブール「ヒサムさん!今すぐ私の胸を触ってください!せめてCカップ、いや、DでもEでも構いません!肩が凝って仕方ないような胸にしてください!飛んだり跳ねたりしたら反対方向にユッサユッサ揺れるような胸にしてください!さぁ!あなたの命を助けてあげた私の願いを叶えてください!さぁ」

なんか知らんがシュブールがやたら積極的に攻めてくるんだが?
確かにニィナのはかなりたわわなモノをお持ちのようでそれに刺激されたのか対抗意識燃やしているのか非常におかしくなっている。

俺「て言うか、ニィナが言ってたろ?好きな相手に触ってもらえって!
・・・へ?
シュブール?お前、まさか・・・俺のこ・・・」

シュブール「問答無用ーーーーッ!!」

シュブールは俺に覆い被さり、そして俺の手を取って自分の胸に、触らせようとする・・・
『バレたなら仕方ねぇ!お前らやっちまいな!』みたいな開き直りしてんじゃねーよ!バカか!

シュブール「なにチェリーボーイみたいに狼狽えてるんですか全部わかってるんですよ?
さっきから・・・ニィナさんの・・・そのご立派なデカメロンをいやらしそうな眼でじーーーーーーーーーーーーーーーーーっと覗いてましたよね?
やっぱりヒサムさんもナイスバディがお好きなんですよね?・・・
どーせあの夜だって私が無理やり抱きついたから『仕方ねーなー、ちょっと抱いときゃ泣いて喜ぶだろこのちっぱい!』とか考えながら抱いてたんですよね?
そんなお気遣いも要らなくなりますよあなたがちょっと触ったらボンキュッボーンのシュブールちゃんの出来上がりですよ!さぁ!触るでしょ?触りたいですよね?!触りなさいよ!さぁさぁさぁ!」

いやwデカメロンてそもそもメロンじゃねーだろwww
それよりこの世界でデカメロンて言葉知ってる事が驚きだわ!
しかも目が血走ってかなりヤバい!
やはりおかしい、いつものシュブールではないぞ

ニィナ「これは、少々煽りすぎましたかしら」

そう言ってニィナはシュブールに何かを顔に近づけた

シュブールは悪酔いでもしたか?のようにフラフラしながら俺に倒れかかった。

ニィナ「やっぱり子猫ちゃんですわねぇ、まさかホントにマタタビが効くなんて」

・・・確かに、胸が当たって改めて『あー、そうですよねー』と察した。

俺は両腕でシュブールを抱きしめていた

今考えてみれば俺がシュブールを意識し始めたのはこの時かもしれない。

12.シュブール

ニィナ「シュブールさんは間違いなく人間の女性です。ただひとつだけ特異なところがあります。」

俺はシュブールの頭を膝に乗せながらニィナの話を聞いている。
シュブールは可愛い寝息を立てている。

ニィナ「彼女は猫の精がついています。ついている、と言うより護られている、と言った方がよろしいでしょうか」

ニィナの話によると、シュブールは王都生まれの人間ではないだろうとのこと。
東国と呼ばれる地方からやってきた移民だろうと言うのだ。
東国の一部の種族には、子供には動物の精がついているという言い伝えが残っており、ついている精によって時には病や災いを、あるいは恵みを与えると信じられているらしい。
ほとんどは成人を迎えるに従い自我によって精の力は弱まっていくものらしいのだがシュブールの場合は猫の精を自我で抑える事をしなかったのだろう、
なにかそうさせる事があったのだろうと

ニィナ「この方を大事にしてあげてくださいな、自分の思いを表に出す事があまり得意ではないようですが、
あなたのことを大切に思っている事は間違い無いと思いますので。
ですからこのようにしてまであなたのことを・・・」

そう言って真っ二つに破れた式神・・・
俺がヒザーラに斬られた時に身代わりになってくれた式神を見ながらニィナは俺に聞いてきた。

ニィナ「あなたは、沿海州と王都の危機に立ち向かう覚悟がおありですか?
シュブールさんが作った式神の身代わりは一度しか守ってくれません。
次はもう誰にもあなたを助ける事ができない。
それでもあなたは力になると誓えますか?」

断る事ができるわけがない、
シュブールもヒサコも王都の町の人達も俺にとっては大切な人達だ。

俺「当たり前だ」
ニィナ「では、シュブールさんを交えてあなたが見てきたことをお話ししていただきましょう
もう、寝たふりはしなくていいですのよシュブールさん」

シュブールは恥ずかしそうに上半身を起こした

俺「起きてたのかよ?」
シュブール「あんな話している最中に・・・寝たふりをするしかないでしょ!」
俺「・・・」
シュブール「なっ!なんですか?」
俺「いや、よく見たらお前、可愛いなって」
シュブール「ッ!」

シュブールは顔を真っ赤にして顔を背けた

ニィナはご馳走ありがとうございます、とでも言いたいようにニヤニヤしながら俺たちを見ていた。

ニィナ「とりあえずシュブールさんは魔導師の服にお着替えなさって、その方が落ち着くでしょ?
それからあなた・・・
ヒサムさんね、あなたも着替えてくださいな、
その・・・ピチピチすぎて目立ちますの!」

目立つらしい!

俺とシュブールは服を着替えて
改めてニィナとジェノを交えて席についた。

俺は園遊会のこと、ヒザーラ王子の部屋で起きたことを覚えている限りの全てを隠すことなく話した。

ニィナ「まだ完全に入れ替わっているわけではなさそうですわね。」
シュブール「ええ、母君の膝枕に対していた時は王子そのままであったと思われます」
ニィナ「にしても、かなりのマザコンでらっしゃるのね、痛いくらいですわ」

なんも言えねぇ

シュブール「昔はかなり体が弱い方だったと聞いていますから、ずっと母君がついてらしたのではないかと、
ですので母君には不信感なく接する事ができるのではと考えたのですが」
ニィナ「彼が話した事はそのまま彼の体験したことで間違いないと?」
シュブール「ええ、最後の肝心なところは亡霊に邪魔されましたが
何かしらの目的でもって王子に接触した事は間違い無いかと」

ニィナ「これが契約なら厄介ね」
シュブール「契約なら王子の膝に何かしらの印が残っているとおもいますが
確かめる事は・・・」

話がとんでもないことになっていて俺の頭がついていかないのだがひとつ思いついた事があって

俺「じゃあヒサコに頼めばいいんじゃね?」
シュブール「?!」
ニィナ「それは、さすがにヒサコ姫が危険なのではないかと」
俺「でもシュブール、ヒサコにも式神持たせてるよなお前」
シュブール「え、ええ」
俺「こうなることを想定していたんじゃないのか?」
シュブール「ここまで予想していたわけではありませんが、姫に万が一のことがあっては、と」

俺「アイツなら、大丈夫だぜ。俺はアイツの強運を目撃してるからな!」
シュブール「園遊会のやらかしですか?あんなことが何度も続くとは思えませんけど?」
俺「じゃぁ、どうすんだよ?」

シュブールは言葉に詰まってしまった。
ヒサコは園遊会の後、ヒザーラと会うことになっている。
俺たちが王都から離れた沿海州にいる時点で
ヒサコしか頼れる者がいないことは明白だったのだ。

シュブール「とりあえず、姫に連絡を取ってみます。」

シュブールはヒサコにも渡してある式神と交信を始めた。

テーブルの上に置かれた式神からは最初、
ノイズのような音が出ていたが次第にクリアになり

俺「え・・・?」

聞こえてきたのはヒサコの叫び声であった。

<第六章 

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