見出し画像

気の遠くなる空

退勤をする17時45分頃、空は淡い色をしていることが多い。帰宅途中の車の中で、ゆったりとした音楽をかけながら混雑の合間に空をじっと見つめている。

町の色が薄く、穏やか。誰かの落とし物を見つけたような、町の奥行きに踏み入れたような、そんな気分になる。いつもと同じ道なのに、何故だか心が研ぎ澄まされてやかましい。

近所のスーパーでキジハタという色鮮やかな魚が売っていた。神様の絵心は素晴らしいなと改めて感心する。それに比べて人間はなんてシンプルなデザインなのだろう。キジハタを目の前にしたら服を纏いたくもなるよ、そんな馬鹿げたことを大真面目に考えてしまう。

実家に帰りたい。県外ではあるけれど、仕事の休みさえ取りさえすればいつでも帰られる場所だったのに、このご時世それは大変に難しいこととなった。とても心細い。結婚後は苦しさも生きづらさもなく極めて幸せな日々を過ごせているけれど、寂しさはいつでも勝手に生まれるもの。会いたい人がいると、本音がぽろぽろ溢れてしまう。どうかみんなが無事でいられるように祈るばかり。何も出来ない自分なのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?