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とても暑過ぎた夏の 君は自転車泥棒

ある朝。
目を覚ますと頭の中で音楽が流れていた。
夢の中で音楽を聴いていたように思う。
それがユニコーンの『自転車泥棒』だった。

髪を切りすぎた君は 僕に八つ当たり
今は思い出の中で しかめつらしてるよ
膝をすりむいて泣いた振りをして逃げた
とても暑過ぎた夏の 君は自転車泥棒
君は自転車泥棒

自転車泥棒/ユニコーン

連日、暑い日が続いていたので体が夏を予感していたのかもしれない。
だから夏の歌が頭の中で流れていたんだろう。

夢の中で私はこの曲のサビをゆっくり口ずさみ、歌詞の意味を考え、情景を思い浮かべていた。

夢から目覚めてふと思う。
人は自転車を盗られてしまったとき、こんなに愛情たっぷりに表現できるだろうか。
この自転車は一時的に盗まれたのではない。

本気で追いかけたけど 僕は置いてけぼりさ
お気に入りの自転車は そのまま君のもの

自転車泥棒/ユニコーン

お気に入りだった自転車を、「君」に泥棒されてしまっているのだ。
普通の感覚だと多かれ少なかれ嫌な気持ちが残りそうだが、『自転車泥棒』のなかでは「君」に翻弄されっぱなしの「僕」の愛しい不憫さを、情感たっぷりにぎゅっと詰め込んでいる。
「君」を好きだという歌詞は一切ないけれど「僕」にとっていつまでも忘れられない大切な思い出なのだと誰もが分かる。
端々から伝わってくる。
音楽ってたまらないですね。

この曲はイントロがドレミファソラシドと音階の上がるメロディーとドシラソファミレドと音階の下がるメロディーが同居している。(たぶん)
この不思議な浮遊感を持ったイントロの一気に引きずり込んでくる感じが凄いんですよ。
遠い昔の記憶に浸って頭がぐわーんとする時の感覚を表現している気もするし、夏の暑さにやられて頭がぼんやりとする感覚を連想させる気もする。

この名曲を作ったのが手島いさむさんだというところにもグッときますね。
そんなこんなで、何を書きたかったのかよく分からない文章になってしまいましたがぜひ聴いてみてください。


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