5/9(木)たまご焼き

腹が減った。
が、金がない。
故に、外食は厳しい。
ので決めた。

自炊をしよう。

私だって一人暮らし大学生の端くれ。しかも二年目。夕飯を作ることぐらいお手の物、というワケである。


まずは食材の確認だ。
短い廊下をペタペタ歩き、冷蔵庫に手を伸ばす。
ドアとパッキンが引きはがされまいと抵抗するのを感じる。しかし我々人類を前にはあまりに無力!ガタリという諦めの叫びを残して分たれた。
暖かいオレンジ色の光が視界を照らし、心地よい冷気が身を冷やす。
ざあと目を通す。パックに入った赤玉卵が6つに素麺つゆ、大きめの醤油、そして、2Lペットボトル水。
以上!
一瞥で把握できる量しかない。これが食材を無駄にしないコツ、というわけだ。泣いてなどいない。泣いてなどいないし、泣いてなどいない。本当に、泣いてなど、いない。

…現在時刻は23時。ここらで一番遅くまで開いているスーパーであるcoopの営業時間は9:00-23:00。
これがどういうことか。
食料を手に入れる術は24時間営業のコンビニかラムーしかないということだ。前述のとおり私の財布の中身は我が人生と同様中身なく寂しいものなので、なるたけコンビニは使いたくない。
では庶民のメサイア、ラムーはどうか。
あそこは良い。24時間営業だし、何よりかによりとにかく安い。
しかし、遠い。
私は元々1年生の間は民間の運営している寮に住んでおり(だからキッチンがなかった)、そこからラムーまでは歩いて30分強かかった。
引っ越して25分ほどにまで短縮されたが、心持ちとしてはは30分かかる頃のままだし、25分でもしんどい。だるい。遠いもんは遠い。
帰りは上り坂で、加えてつい沢山買ってしまうので重く、なかなかどうして気が乗らないのである。

よし、辞めよう。
こうして有る物で作る決意を固めたカス大学生もとい社会不適合者もとい生きる生ゴミたる私は、たまご焼きを作ることに決めたのだ。

そうと決めたら油を!…ひかない。否、ひけない。
油など、ない。どこにもない。
いや、どこにもないことはない。
確かにこの家で油を買ったことはないし、食用油の在庫もない。
が、あるにはある。なんと2種類も。
油を2種類だなんて!お料理マスターなのでは?と思ったかもしれない。
残念。あまり私を舐めないでいただきたい。
この家の油は家具のグリスか私のTゾーンで輝いているもので全てである。
生憎私はグリスかき集めて食べる趣味も腹を壊さない自信もなければ、デコ擦りつけて作ったたまご焼きを食べたいとも思わないし、己の皮膚組織を皮脂で焼いて食べたい願望を持つ地産地消系オワコンカニバリストでもない。

とはいえ、油がひけないくらいで身をひくようでは漢が廃る。
…破壊!
生命を取り出だす。ジュウジュウと泣き叫び、己の身を、起きた悲劇を、生きた証を、(産まれてもいないが)テフロン加工に刻みつける。
かきまぜられた卵液は、最早元の姿には戻れない。カラザだけが卵の海を虚しく漂うのだ。こうして私は卵焼きを作ろうと挑戦し・・・スクランブルエッグを生成し・・・卵の塊(焼けたよ)を作ることに成功しました。美味しかったです。(^-^)vぶい

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