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寄り道だらけのゼンマイ調理

いろいろある毎日を過ごしています。
なんていうか、ままならないことの多い日々です。

それでも、
なにがなんだって、どこがどうであったって、
季節はうつろい、ゆく川のごとくながれていくんだなぁ、と
大好きな産直のお野菜にハタ、と気づかされます。
お野菜のお導きで、暮らしに彩りが、ってな感じです。
農家さん、ありがとう。自然の恵みは偉大。


今年の春は、初めてゼンマイを扱いました。
売り場では、ワラビと似てる!という印象だったので、ワラビであく抜きも慣れてきたし、ヒュ~ヨユウ~と思ったんですよ。
ところが、キッチンで手に取ると、また印象がガラリと変わって、別人の装いで。
ワラビっていうより、コゴミ寄りのルックス。

コゴミ、昨年だったかな?初めて挑んでみたのですが、
ワシャワシャしているところが、まさに古代の虫で、しかもその陰には現代の虫が潜んでいそうで・・・っていう、ただのわたくし個人の想像なんですけど、想像が暴走してホラーになってきて、もう~ひとりで勝手にわーひゃー叫び、鳥肌立てながら下処理をしました。過ぎたる想像力は危険だと赤毛のアンで学んだはずじゃなかったのか。

また、あの「なんかおるかも」の恐怖と戦わねばならんのだな。
ゼンマイなんぞ誰が買ったんだ、わたしだ、好奇心に負けてしまった、いやいや好奇心は大事ですぞ、などなど、またひとり問答をくりひろげる。

水を張ったボウルにゼンマイを入れて、ふり洗いをしていると、
・・・なんかクモの巣ついとる。

わしはクモの巣もきらいじゃ。

ひとつ、ふたつ、みっつ・・・流しても流してもじゃんじゃんわき出てくる。
ゼンマイのぐるぐるのところに、もれなくまとわりついておったらしい。

うぇぇぇぇ~なんじゃこりゃ~

いったんストップ、とめてとめてー
はい、「ゼンマイ クモの糸 ふわふわ」で検索。

ゼンマイあるあるだったみたいです。

っていうか、「ゼンマイの綿毛」として3グラム1,000円ほどで取引される某ショッピングサイトにも行き当たり・・・

これ、金になるのか?

一瞬にして瞳の中にドルマークがキラーン。くらんじゃいました、そろばん弾いちゃいました。

脳内では、超有名アルプスの少女が、バスケット片手に、このふわふわだけを目ざとく狙って、うふふふふ…と野山をかけまわるイメージ映像がループ再生。

希少な天然素材らしいです。釣りの仕掛けとか、紡いで織物だとか秋冬に向いているだとか。

ってどこまで行くのだ、日が暮れるわよ、とマリラに呼び戻される。

水洗い作業を再開。

不思議なもんで、そこからは若干気持ち悪さが減るんですよね~
クモの巣でもなく、ゴミでもなく、資源。
[得体が知れない]と[知れた]とでは、雲泥。
[価値あり・なし]の[あり]だから、さらに上がる。
人ってやつは・・・いや主語を広げるな、わたしの話だ。わたしってやつは〜つくづくゲンキンな亡者だ。

そうそう、検索の旅路にて、ゼンマイには雄雌あることも学びました。
雄株はふつう食べないらしく、それは雌株に比べてあまり美味しくないということと、雄株は胞子を放出するので残す、という意味もあるそうな。
古からの取り決めって、ちゃんと根拠があってそうなってる、こともある。
裏付けを知ることは大事。

・・・とここで、最近読んだ本を思い出しました。

上下2冊を超ざっくりかいつまむと、
取り決めの裏付け部分が消失してしまった世界で、人が自分たちの生活をより良く、豊かに安定させるために取り決めを破って暴走してしまう物語。
それを技術の進歩というのか、破滅へのなんたらというのか。
ある視点から見たら「進歩」で、別の視点からだと「暴走」で。
なにが正しいとか、どっちが正義とか、グルグルしはじめました。時間をおいて、必ずまた読もう。

ゼンマイに戻る。まだ洗っただけだ。

あく抜きは添付されていた灰で。
は、灰~?!って最初のころは怖気づいてたんですが、すっかりこの野性味あふれる処理方法が板についてきまして。
ブツに灰をまぶして~和えて~お湯をかけ~1日放置。めちゃかんたん。
重曹でも手順は同じなんですけど、測らなくていいのがありがたい。

翌日、いざレシピを調べると、干しゼンマイの作り方ばかり上がってくるんですよね~
まさかのゼンマイって干すのがメジャーだったのか。
今日のおかずなんだよ・・・
苦肉の策、にんにくプラスごま油の、何をどうやっても大丈夫な必殺最強コンビで、もしゼンマイが思ったのと違ってもなんとかなるであろう、とナムルにしました。
味はナムル、食感は三度豆、焼肉屋のビビンバに乗ってるのとは、似て非でございました。干してこその、あのくにゃくにゃ食感だったのね~と思い知る、遅。

火は通したけどフレッシュ仕立てゼンマイ。
意外と、こやつ、食感がシャクシャク・・・これはどこかで出会った感覚、いつかのコゴミもシャクシャクだった。
君はーワラビでなくコゴミと親しい関係だったんじゃな、とゼンマイの何たるかをようやくここで悟ったのでした。

季節のうつりかわりを告げる他の食材についても書くつもりだったのに、ゼンマイだけでこんなに語ってしまった。また書きます。








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