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ふたたびのかがやき車中【新幹線に、閉じ込められちゃいました(後篇)】

実は、また富山に仕事があって、なんと、またかがやきの車中なぅである。
どうしても、この間(といってももう一か月あまりたつのだけれど)の事故のことが頭をよぎるのだけれど、まぁこれもご縁。今度は無事につきますように。(いや、無事につくのが普通だから)

あのときの体験談の後編を下書きのままずっとあげられてなかったので、このまたとない機会と思って、かがやきのなかで再び思い出しながら続きを書いている。(いわば追体験的な?)

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緊急停止していたのが動き出し、しばらくして佐久平駅に到着。
といっても、外に出られる訳ではなく、車内で復旧作業を待つのみ。19時の段階で「復旧の見込みはたっていない」とのアナウンスが流れたのだけれど、(時間的に)「まさか車中泊にはならないよね~」と軽く考えてました。それよりも、せっかくはくたかじゃなくてかがやきに乗ったのに、止まるはずのない佐久平駅に停止していることがなんとなく納得いかないというか、そんなことを能天気に考えていました。

しばらくして20時過ぎには運転再開の見通し、という告知。なんだ、思ったより早いじゃんとひと安心。東京駅着は遅れるけれど、まあひどい雨が降ったようだし仕方ないよねと思って待っていました。ところが、20時少し前になって運転再開時刻がサラッと一時間延びます。そのときはもう、線路内(線路上?)にビニールハウスが飛来してきたという情報は入っていたので、逆にそんなにはやく撤去作業なんてできないでしょ、という気持ちでした。
Twitterで検索してみると、少しずつ情報があがってきていましたがそちらでは「復旧の見通しはたってない」とありました。いやいや、情報が錯綜しているようだが乗っているわたしはさっき21時運転再開とアナウンスを聞いたのだよ、だから大丈夫と思っていました。この頃になるとホームに降りられるようになっていて、外に出ていく人たちの姿が見えました。わたしもとりあえず足を延ばしたくてホームへ。何か売店で買い物でもしようかと思って改札まで上がるのですが、なんと、この駅、売店がないのですね(もしかしたら時間的にしまっていたのかもしれないけれど)ええええ!
窓口のところにはちょっとした行列ができています。おそらく駅員さんに状況を聞いているのでしょう。改札の外には出られないのか聞いてみたかったのですが、並んでまで聞くのも面倒で断念。袋を手に下げて戻ってきた方がいたので、「コンビニ近いですか?」と聞いてみると、「コンビニはないけど、歩いて5分くらいのところにイオンがありますよ」と教えてくれました。5分か、、、迷いましたがとりあえず席に戻って時間をつぶしていました。
だがしかし、21時近くなっても運転が再開するような気配はありません。なんとなく長期戦のムードが漂ってきて、やはり外まで買い物に出ておこうかな、、、と思い始めました。Googleで検索すると件のイオンの閉店時間も迫っていました。そうすると後で後悔するよりは今行っておいたがほうが、、、と決意して再び席を立ちました。

改札内にはこんなものが

駅員さんに断って改札の外へ。外へ出るというと駅員さん「構いませんが早く戻ってきてくださいね」と言うので、「え?まだしばらくは復旧しないですよね」と尋ねると「いや~、そればっかりは」などとのたまうのです。「え、30分以内に発車する可能性ないですよね?」と念を押したら「いや、わからないです」と。うーん乗客を不安にしてくれるなよ、と思ったのですが、やっぱり後で後悔したくないので出ることにしました。

うーん、思った以上に暗い、暗すぎる駅周辺。それっぽい建物も見えず無事にイオンに辿り着けるか不安になりながら、スマホを灯代わりにして(ほんとに足元が見えないし、初めての場所で道路なのかどうかもよくわからないありさま)GoogleMapを頼りになんとかかんとか到着。閉店前だからなのか、店内にほとんど人がいなくて、「あれ?駅にあれだけ人がいたのに、みんなもう既に買い物済ませたの?どこへ行ったの?」と思いつつ、冷たい飲み物とかパンとかを手早く手にとってレジへ。

この時は、店に行っている間に復旧して発車してしまう可能性もなきにしもあらず、と思っていたのです。(先程の駅員さんのビミョーな圧もあり)とにかく急いで駅に戻らなきゃと思うのですが、焦っているので広いイオンのどの入口から入ったのかがわからなくなっているわたし。うわーーと思いながら、確かコッチ!と思って出たら、やはり暗闇で駅の方向がわからない、、、GoogleMapをまたひらいて草むら(ほんとにアスファルトじゃないのよこれが)を歩くこと数分、、、

ん?なんか音がする??
え、なにか動いてるんだけど???

なんと、新幹線が発車していくのが見えます。
動転しているのでどちら方向なのかわかりません。

まさかのまさかで、置いてかれた、、、ととっさに思いました。あー、マジか、意外と復旧早かったじゃん、駅員さん疑ってごめんなさい。席の机にPC置きっぱなしだったなぁ。でもそもそもこんな事態なんだし、遺失物扱いしてくれるよね。あ、東京駅に今から連絡を入れておけばいいのか。座席もわかってるんだし。え、でもまさか盗難には遭わないよね(MBAじゃないから大丈夫だろ←)
(今思えば、時間的にそれはまさに事故に遭ったはくたか車両の乗客たちが、ほかの車両に移動して、佐久平に到着しかがやきに乗り換えていたのだと思います)

などと大混乱しながら駅に戻ると、あぁ、そんなことはなく、東京行のホームには先程と同じように停車中のかがやき。勘違いで胸をなでおろしはしたものの、じゃあほんと運転再開はいつになるのかという気持ちがむくむくとわいてきます。

パッケージがジワる

しばらくすると、ついに“配給”が配られました。こうなると、やはり長期戦か、、、との覚悟が。自分で買ってきた飲み物や食べ物(いちばんだいじなのはストレス解消用のチョコレート!)があるので、まあなんとかなるだろうと思っていました。(こんなときもわたしは、あぁこういうときにグランクラスだったらくつろげていいだろうなぁ、長時間になればなるほど恩恵が増すし車掌さんに言ってアップグレードしてもらおうかなどと考えていた)

と・こ・ろ・が

「工事の関係上、この後しばらく停電いたしますのでご了承ください。ドアも6号車以外は開閉しませんので、外に出るときはそこをご利用ください。トイレも駅のトイレをご利用ください」

と、なんとも不安にさせるアナウンスが入ります。うわあ、スマホの充電できないの?え、これからずっと?一晩もつかなぁ、てか、クーラーも止まるし換気はどうなるの、コロナ大丈夫??とめちゃめちゃ落ち着かない気分に。でも日本人てすばらしいですね、こういうときも全然騒がないし、不満の声もわたしのまわりではまったくあがらず。みんな静かにただただ受け入れていました。

しばらくして、停電。

ホームが明るいのと、車両内も一か所だけ蛍光灯はついているので真っ暗という訳ではないのですが、一気に緊急事態モード。

く、暗いよ、、、

冗談で友人に「灯火管制中みたい~」と送ろうとして、ハッとします。そう、停電ということは。

Wi-fiもない。

えーどうやって時間をやりご過ごせばいいのよおおぉぉおぉ~と吠えました(心の中で)これは想定外でした。YouTubeでも見て気分を紛らわそうかと思いながらも、それもできないし、電池残量も気になるし、もう寝るしかないよ、、、と思いながらこんな事態になると目が冴えてきてしまいます。
たまたま、地理的に東京よりは涼しい場所だったためかクーラーが止まったのはそこまでダメージはありませんでした。

そこはかとない諦めとともに、これから復旧して東京駅に着くのは何時になるんだろう、、、と漠然と思いながら、とにかくクラスターだけは発生しませんようにと心の中でお願いしてました。こうなるともう、なるようになれ、ですよね。電気がないと人間はこんなにも無力なんだと再認識。TVでよく見る避難所とかもこんな感じなのかなぁ、、、と。

おとなしくチョコを食べ、(暑さで溶ける前に)、なんとかかんとかやりすごしていると、1時間くらいでしょうか、停電は解除されました。
もうこの頃になると、すっかり疲れてしまっていて、じゃあもう充電も存分にできるから動画見ようとかいう気にもなれず、かといって眠くもならず。まわりの乗客は3列シートをベッド代わりにして既に寝始めた人もいました。わたしも、靴を脱いだりしてできるだけ楽な格好をしてたのですが、これまたなぜかこういうときに限ってスカートで、さすがに横になるまでの勇気は出ず。うろうろとホームに出て夜風に当たったりしていました、、、

結局、運転再開したのは深夜0時30分過ぎ。佐久平より後は新幹線の駅にすべて停車したので、東京駅に着くのにも通常より時間がかかりました。
「事故のため、この列車はグリーン席を除き全席自由となっております。途中、ご乗車になるお客様のために座席を空けてください」と間抜けなアナウンスがありましたけども。いや、もうさすがに乗ってこんし。てか、指定席をグリーン席にアップグレードしてくれよーって無理とわかっていても、駅員さんに言いたかった!もちろん言ってないけど!!

さらに、上野や大宮で始発待ちは禁止なこと、そこまでしか切符代を払ってなくても問題ないので東京駅で下車してほしいこと、東京駅に着いたら“列車ホテル”(要は乗車して始発を待ってください)があるのでご利用ください、とのアナウンス。
これもね、ちょっと一方的かなと。だって、みんながみんな東京駅が最寄り駅ではないし、始発待ちせずに帰宅しなければならない人もいるだろうに、すべて一緒くたにご案内しようとしてる感じがありました。さらにいうと、遅延による払い戻しの件については一度しかアナウンスがありませんでした。それこそ、eチケットの人もいるし、ツアー客みたいな人もいるし、どこまでが対象なのか東京駅までの間に数回説明があってしかるべきなのではないかと、、、

この間、東京駅からの足はもうタクシー確定だったので、ネットで代行輸送依頼書についてめちゃめちゃ調べてたのですが、「出し渋る」「駅員さん次第」などという情報ばかりで暗い気持ちに。今回も新幹線の乗客すべてにタクシーを確保できないから“ホテル列車”でごまかそうとしてるよね、となんとなく事態を把握。さてどうしよう。

そんなこんなで、東京駅着は26時過ぎ着。
このまま列車内で車中泊になると思いきや、ホームで宿泊の列車に別に移動とアナウンスされて、みんな疲れた顔をしながらそちらに向かっていましたが、わたしはさすがに朝までは無理なので帰宅することに。

案の定、ダイコーユソーイライショについて尋ねると、けんもほろろな駅員。「カハク対応してますから」はぁ?カハク?科博??なんでこういうときにそういうこちらが耳慣れないことばとか、「今回は上からそういうお達しになってます」ってその“上”ってどこ?とツッコミたくなるようなことばで圧をかけてくるんでしょうね。コイツダメだ、と思ったので別の駅員さんにも聞いてみたけれど、みんな「ちょっとお待ちください」とか「上に聞いてきます」というばかりでめちゃめちゃ待たされ(て結局出してもらえず)

パトラッシュ、ぼくもうつかれたよ
な旅でした、、、

JRの一連の対応については、最初のうちこそ事故だし仕方ない、怪我人がなくてよかった、色々大変だろうなと思っていたのですが、時間がたてばたつほど、なんだかな、、、と思うことばかりでほんとうにざんねんでした。

何か不備があったりその対応に不満があって、もうこんな鉄道会社使いたくない!!と思っても、それはほぼ不可能なので不買運動みたいなことも起こらない訳ですし。だからなのかわかりませんが、大企業の権力ではないけれど、圧だったり、不条理さを感じる面が多々ありました。こういう時期だからこそ、不況の鉄道会社に頑張ってほしいと思ってる人も多いはずだし、もう少し客側の声にも耳を傾けてほしいなと思ったのが本音です。事故は仕方ないにせよ、対応の杜撰さで気持ちよくのることができなかったのはとても残念でした。


結局、なんと6時間半も閉じ込められていたんですね、、、

それにしてもレアな体験でした。
もう二度とこんな体験したくはないけれど!

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さて、本日はまもなく東京駅です。
無事に到着することをありがたく思いつつ(画像などはのちほど追加します!)

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