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【フランスおいしい旅ガイド】ポワトゥー=シャラントの地方菓子

フランス西部に位置するポワトゥー=シャラント地方の郷土菓子をご紹介します。

土地の産物を使ったお菓子


○トゥルトー・フロマージェTourteau Fromagé
ポワトゥー、ヴァンデ地方のチーズケーキ。フレッシュな山羊乳に小麦粉、卵黄、砂糖、香料と泡立てた卵白を加えて焼いたもの。外側にタルト生地をつけて、焼き目を濃くつけることが多い。お菓子屋さんでなく、チーズ屋さんで買うことができる。

ポワティエのマルシェでは、牛乳製と山羊乳製を売っていた。尋ねてみると、昔は山羊で作っていたが、最近は牛乳の方が手に入りやすいし、値段も安いし、味も人気なのだそうだ。どちらもびっくりするほどふわふわでしっとり。牛の方が優しい味。山羊の方はちょっと強く、山羊臭がするが、よりしっとり。

Poitiersのマルシェ
Poitiersのマルシェ
Poitiersのマルシェ

○ブロワイエBroye du Poitou

ポワトゥー地方の名物菓子。直径30cmくらいの大きさのガレット状の大判クッキー。ブロワイエはbroyer「砕く」という意味。サクサクと砕けやすいので、皆で食べるときは大きく作って食卓において、お菓子の真ん中をこぶしで一突きして、小さくこわれたものを食べる。フランスで最高の評価を得ているこの地方の名産、シャラント産のバターが風味のポイント。しばしばこの地方のニオールという町の特産のアンジェリカを入れる。コルムリーのマカロン屋さんのものはかなり素朴。ショートブレッドに近い味。ポワティエのマルシェのものは、しっかり焼いてあり、アンジェリカものっている。小型のものもある。味はバターたっぷりの固めのクッキー。

Maison Pochet, Cormery
Poitiersのマルシェ
Poitiersのマルシェ
Poitiersのマルシェ

★アンジェリカangéliqueはふきに似た緑色の茎の砂糖漬け。原産はスカンジナビア半島だが、中世にヨーロッパでペストがはやったときに、このアンジェリカがペストに効くといううわさが広まり、16世紀頃からヨーロッパでも栽培されるようになった。これを甘いシロップで煮て食べやすいようにしたのが、ニオールの修道女。以来ニオールはアンジェリカの町として知られるようになった。ラテン語angelicus「天使」が語源。

アンジェリカのリキュール

キリスト教にまつわるお菓子


○モンモリオンのマカロンMacaron de Montmorillon

マカロンはアーモンドパウダー、砂糖、卵白で作った生地を丸く絞って焼いた菓子。モンモリオンのものは、卵白と砂糖が比較的多めに入り、香ばしくて柔らかめなマカロン。ソフトクリームの先のように絞って焼く。登場は19世紀とやや遅め。その後同じようなマカロンが、同地方のポワティエ、リュサック、ニオールなどでも作られるようになった。

Bajard, Poitiers

モンモリオンのマカロン屋さん「Rannou-Métivier」では、直径5cmの大と直径3cmの小の2種類のサイズがある。紙に絞って焼き、その紙のまま重ねて売っている。1シート12個が販売の単位。日持ちは4日。材料は良質のアーモンド、卵白、砂糖のみで、アーモンドも店で挽いているのだそうだ。この店では、このマカロン生地をとぐろ状に大きく1枚に焼いたもの(Le gâteau Macaroné)も売っていた。

Rannou-Métivier, Montmorillon
Rannou-Métivier, Montmorillon
Rannou-Métivier, Montmorillon
Rannou-Métivier, Montmorillon

★マカロンは、パリ、ロレーヌ地方ナンシー、ピカルディー地方アミアン、シャンパーニュ地方ランス、ポワトゥー地方モンモリオンやニオール、アキテーヌ地方のサン・テミリオンやサン・ジャン・ド・リュズ、ベアルン地方ポーなど、フランス各地で作られるポピュラーな地方菓子である。

○アリーズ・パコードAlise Pâcaude

ブリオッシュ生地にオレンジの花の水で香りをつけて焼いたヴァンデ、オニス地方の復活祭のお菓子。

○ガトー・デ・ドゥ・セーヴルGâteau des Deux-Sevres

ブリオッシュ生地に特産のアンジェリカの砂糖漬けを加え、型に詰め卵黄を塗ってさらにアンジェリカを散らして焼いたもの。エピファニーの祝菓子。

お祭りのお菓子


○カス・ミュゾCasse-Museau

小さくて固いポワトゥー地方のビスケット。復活祭40日後の昇天祭の前に3日間行う豊作祈願の行列をしている人の顔に向かって投げたことからcasse「破損」、museau「面」の名がついた。同地方プルマルタンの町では粗みじんにしたアーモンドとフレッシュチーズを生地に混ぜて円筒形にし、オーヴンで焼いて筒切りにし、再び焼いて乾燥させて作る。

○ミジェMiget

かつてポワトゥー、シャラントなどで麦の脱穀の時に食べた砂糖入りパンを赤ワインに浸したもの。émier「指でパンを細かくする」が語源。

○トゥルティソTourtisseaux

ポワトゥー地方の揚げたパイ菓子。「小さなトゥルト」の意味。四旬節中日に食べる。

○ボトローBottereaux

小麦粉と卵、バターを固めに練った生地を好みの形にして油で揚げて砂糖をふりかけたもの。ビューニュの一種。

コンフィズリ


○ヌガティーヌ・ド・ポワティエNougatine de Poitiers

ヌガティーヌにメレンゲをコーティングしたポワティエのボンボン。

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