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如意輪観音をめぐる旅②室生寺

女人高野といわれる室生寺。
奈良県宇陀市室生にある真言宗室生寺派の大本山の寺院です。

古来より、水の神がいらっしゃる祈雨の聖地として崇められてきました。
こちらのご本尊が、如意輪観音菩薩さまなのです。

都を遠く離れ、鬱蒼とした山あいに建つ室生寺は、法相・真言の瑜伽(ユガ)道場として独自の仏教文化が育まれ、数々の貴重な仏像等を伝える仏教美術の宝庫です。

高野山が女人禁制だったのに対して、こちらは女性の参拝が許されていました。シャクナゲが有名です。

室生寺は天武天皇の勅願により、修験道の祖である役の行者・小角(おづぬ)がこの地に初めて寺を建立したと伝えられています。

奈良時代末、東宮(のちの桓武帝)の病気平癒を願った興福寺の高僧・賢璟(けんけい)が勅命を受け、平安遷都まもなく弟子の修圓が堂塔伽藍を建立しました。

その後、一時衰退しましたが、江戸時代元禄年間に5代将軍徳川綱吉の生母桂昌院の庇護を受け再興されました。

室生寺には、「室生寺様(よう)」と呼ばれる漣波式(れんぱしき)彫法を用いた美しい衣文の仏像をはじめ、平安初期の特徴を備えた仏像など、国宝や重要文化財指定の希少な仏像が数多く安置されています。

●本堂(灌頂堂)

本堂

本堂は、真言宗の重要な儀式である灌頂という密教の儀式が行うために建てられた堂。

本堂正面の厨子には、如意輪観音菩薩像が安置されています。穏やかな作風の榧(かや)の一木造り。頭をまっすぐにたて正面する姿は、この像種のものの中では古様とみられ、幅奥共に充分な厚味のある上躰など、いかにも平安時代の一木彫像らしい重厚さを示しています。

*観心寺・神咒寺(かんのうじ)の如意輪観音とともに日本三如意輪の一つと称されています。

国宝、鎌倉時代
如意輪観音菩薩(重要文化財、平安時代中期)

こちらの如意輪観音さまは、切長の目でおだやかな表情。
如意宝珠と輪宝を持ち、諸願成就に功徳があるとされています。

●金堂

金堂

私たちが行った時は特別拝観中で、普段は入れない外陣から仏像を間近に拝観することができました。
*十一面観音菩薩立像も有名ですが、こちらは宝物殿に展示されています。

中尊 釈迦如来立像(国宝、平安時代前期)
薬師如来立像・文殊菩薩立像(重要文化財、平安時代)
十二神将立像 六躯(重要文化財、鎌倉時代)

釈迦如来立像は、平安前期を代表する、堂々として均整のとれた榧(かや)の一木像。本来は薬師如来として造像されたようです。衣紋は平安初期の力強い翻波式の特徴を持ちながら、繊細で流麗な独特の様式であることから室生寺様と呼ばれています。

薬師如来立像と文殊菩薩立像は10世紀頃の一木造り。

●宝物殿

宝物殿

文化財の保護と分散を目的として建設されました。令和2(2020)年3月に完成。

十一面観音菩薩立像(国宝、平安時代前期)
釈迦如来坐像(国宝、平安時代前期)
地蔵菩薩立像(重要文化財、平安時代前期)
十二神将立像 六躯(重要文化財、鎌倉時代)

十一面観音菩薩立像は、上品で端正な顔立ち。体躯はしっかりとして引き締まっています。八重蓮華座と呼ばれる美しい台座に立たれています。

●五重塔

五重塔

国宝、奈良時代後期

屋外の塔としては日本で最も小さく、また法隆寺に次ぐ古塔です。檜皮葺の屋根や丹塗りの組物が、奥深い樹林に包まれて格別の風情があります。


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