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かつ吉 水道橋

 道路を挟んで東京ドームシティが見える。看板の指示にしたがってビルの地下に入っていく。地下に潜ると、水音が聞こえてくる。噴水?というか、石造りの水が流れる装置が置かれていた。引き戸を開けると、スタッフがやって来た。一人、と伝えると、入り口の椅子で待つように言われる。席の準備をするので、と言われたけれど、日曜の午後4時前、ほとんど空席である。昼から夜までぶっ通しで営業するスタイルみたい。
 ほかのとんかつ屋さんと比べて、店内はとても広い。堀ごたつ風の半個室、テーブル席などが見える、和風ファミレスのようなレイアウト。客席の間隔は広く取っているけれど、店のスペース自体が広いので100人程度は入りそう。入り口そばの、丸太をくりぬいたような椅子で待機する。向こうに並ぶテーブルは分厚い一枚板。ガラスの棚にそば猪口がずらりと並べられている。古民家風というか、民芸店のような趣がある。どの家具も素朴な粗い作りながら、しっかりした素材が使われている。
 案内された席は円卓で、一人客用にパーティションで区切られている。パーティションも古材風の木製だったけど、もともと仕切り用にあったのだろうか。それともステインなんかで上手く加工したのだろうか。じっくり確かめようと思ったけれど、結局忘れてしまった。席には二つ折りの大きなメニュー表が広げて立ててあった。表紙は木製。びっくりドンキースタイルなのか?
 ロースかヒレかで少し悩んで、上に書いてあったロースかつ定食と、単品でかきフライを頼んだ。定食のごはんは白米としそごはんが選べるらしい。何となくしそごはんにした。
 スタッフの数は多めで、これもファミレス的なオペレーションに見える。インカムつけてたような気も。ひとつ違うのは、かなりの塩対応だったこと。ただ、フロアスタッフの半分くらいは外国人のように見えたので、単なる行き違いの部分もあるのかな。予約の電話がひっきりなしにかかっている。ランチとディナーの時間にはきっと席が埋まっているんだろうな。スタッフの数が多いのもきっとそのためだろう。

 しばらくして、サラダが運ばれてきた。キャベツの千切りメインできゅうり、わかめなどが一応添えてある感じ。醤油ベースの和風ドレッシングがついてくる。それから。キムチなんかの漬け物3種類。サラダ形式は珍しいな~と思いながら一気に平らげて、しまった、と気がついた。これだと、とんかつが来るときには千切りがついてこないんじゃないか?
 と思ったところでかきフライが届く。1個450円。頼んだときはちょっと高いな、と思ったけれど、来てみると全然そんなことなかった。大粒のカキに同じく大粒のパン粉。千切りキャベツにレモンとタルタルが付いてくる。ザクザクの衣も熱々のカキも美味しかったけれど、さっそく上顎をやけどした。
 そしてカツが運ばれてくる。なめこの味噌汁としそごはんも。やはりカツはキャベツなしの単体。ただ「サラダと味噌汁はおかわりできます」と告げられて、ちょっと安心する。カツはこぶしのような形と大きさで、かなり分厚い。4切れだったか5切れだったか。巻き簀のようなものが敷いてあったけれど、底側はしんなりしていて、でも上側の衣はちゃんとサクサクしている。肉はとても柔らかくて、水分がばっちり残っている。ほんのりピンク色。やけどしそうになりながら、冷めてしまうのが勿体ないな、でもすぐ食べきるのも勿体ないな、と思いながら食べきってしまう。しそごはん(ゆかり?)はおいしかったけれど、漬け物も余ったし、いま思えば白米でもよかったな、という気がする。

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