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MIU404 第1話


 最近、「MIU404」を見返している。
野木亜紀子脚本の連続ドラマだ。
「ダブル主演の綾野剛と星野源が演じる、対象的な気質の刑事二人が、放送当時の日本における社会問題を背景としたさまざまな事情を抱える犯人や被害者と向き合う姿を、警視庁機動捜査隊を舞台に描く刑事ドラマ」とのこと(wikipediaより)。

 「放送当時」とあるが、2020年6~9月の放送なので、ちょうどコロナ禍真っただ中、東京オリンピックの中止が決まったころ、のはずである。

 野木亜希子といえば、「逃げるは恥だが役に立つ」、「アンナチュラル」で気になっていたので、このドラマの放映当時もそれなりの期待を持って観ていたのだが、期待以上に面白くハマってしまった記憶がある。このあいだ、Amazon Primeで無料公開されているのを見つけたので、もう一度見てみることにした。


 第1話のタイトルは「激突」。「アンナチュラル」のときと同じように、いくつもの意味が持たせられている。硬派で堅実なタイプの志摩(星野源)とぶつかる、野生児タイプの伊吹(綾野剛)。毛並みの良いエリートの新人、九重と、叩き上げタイプの先輩、陣馬。息の合わない二人がそれぞれバディを組まされる。追いかける事件は「あおり運転」。バディ同士が衝突しながら犯人を追ううちに、とうとう自動車も衝突事故を起こす。

 タイムリーな話題であった「あおり運転」を描きながら、ストーリーはその根本にある普遍的な要素を拾い上げていく。車の力で、肩書きの力で気が大きくなってしまうこと、マウントを取り合ってしまうこと。犯人だけでなく、捜査する主人公たちの中にも共通する要素が見えてくる。「警察」の身分を盾に高圧的に出てしまうこと。始末書を書きなれている先輩アピール。階級が上であることを鼻にかけてみたり。最初に舐められないことが肝心と、書きかけの始末書の上にうどんの鍋をどんと置いてみたり。しまいには志摩(星野源)も「俺までマウント取っちゃったじゃないか!」と叫びだす始末。
 自身があんな事件を起こすとまでは思わなくても、同じような危険な考えの種は間違いなく自分にもあるな、と胸に手を当ててみる。不毛だと知っていたとしても、相手より上に立ちたい欲みたいなものって否定できないよなあ、と考えてしまった。

 あと、主題歌の「感電」は「アンナチュラル」と同じく、米津玄師によるもの。歌詞を見てみると、このドラマにあて書きしたんだろうな、というリンク具合である。「夜の往来行方は未だ不明」「ハイになって吹かしこんだ四輪車」はモロにこのエピソードの内容だろうし、「困っちゃったワンワンワン」は犬のお巡りさん。「そこいらで落とした財布誰か見ませんでした?」といえば、魔法のステッキを落としてしまったおばあちゃんの事件。

 そう、あおり運転事件の裏で進行していたおばあちゃんのエピソードが、今回の大きな鍵になっているようだ。あおり運転に巻き込まれたせいで、孫のために買ったステッキをなくし、自身も行方不明(MIA)になってしまったおばあちゃん。最後には無事に見つかって、孫が強く抱きついてくる。このシーンも一つの衝突、と言えなくはない。このタイミングで流れる「感電」。「アンナチュラル」と同じように、このドラマでも絶妙なタイミングで主題歌が流れている気がする。「機捜っていいな、誰かが最悪の事態になる前に止められるんだろ。」最初は腐っていた伊吹も満足そうに笑っている。そういえば、犯人を捕まえたときも「良かったな、誰か殺す前に捕まって」と言っていた。
 機捜っていいな、がずっとキープできるのか。これからがとても気になってくるドラマである(もう見てるけど)。あとは気になったことをいくつか。

・星野源がちょいちょい舌ペロってするやつ、なんなん?

・叩き起こされて操作に協力させられる金井勇太が、エナドリにストロー挿してるの、なんとなくリアリティあってよかった。

・川にナンバープレート投げ捨てるシーン、音は鳴ってるのに水が跳ねてなかったけど、いろいろ配慮して音だけにしたのかなぁ…。

・機捜メンバーは夜通し犯人を捜していたけれど、犯人も夜中にナンバー投げ捨てたり、朝イチで見つかったり…社用車を夜通し運転してたのか…?

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