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晒し行為は正義か悪か―ネット炎上について思うこと

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りそな銀行に勤める母親から、芸能人の来店情報や個人情報を聞きだし、ツイートを繰り返していた女性が大炎上している。

アカウントを消しても残るように「証拠」としてスクリーンショットがあちこちに晒されたほか、Instagramのアカウントや顔写真まで晒され、本名や住所まで暴かれる始末。
個人情報はまたたく間にシェアされ、拡散されていく。

芸能人の住所や免許証のコピーまで持ちかえっていたようなので、当事者たちについてはもう擁護のしようがない。
使用者責任を問われるであろうりそな銀行は、信頼というなによりも大きな財産を失うこととなる。
従業員である母親はおそらく懲戒解雇となることだろう。
事務所や本人から訴えられれば、この従業員が損害賠償を支払うことになる可能性もある。
自らの愚かな漏えいと、我が子の不用意な発言による代償としては、十分な罰といえるだろう。



さて、このような炎上事件では、顔写真や本名、住まいまでが暴かれることが少なくない。

「個人情報が特定できるようなことを発言するから悪い」
そう考えるひともいるかもしれない。
しかしいまの世の中、個人情報の特定は容易い。
あなたが本名や住所が特定できるような情報を出さないように注意をしていたところで、友人や家族にまで徹底されていなければ、芋づる式に特定することだってできてしまう。
窓に映りこんだ風景や、食べたランチの写真から居場所を特定されることだってあるのだ。

「炎上するような発言はしないから大丈夫」
これも大きな間違いだ。
炎上するようなネタではなくとも、面白半分に個人情報を特定し、晒すようなひとがいる以上、誰にでも晒されるリスクはある。

「友人しか見られない非公開のアカウントだから大丈夫」
これだって危ない。
はたしてその友人は、すべて顔見知りなのか。
悪意をもってあなたの顔写真を晒すことは確実にないといえるのか。
犯罪者の卒業アルバムが簡単に流出するように、たとえ同級生であろうと個人情報を横流しされてしまう可能性は少なくない。



インターネットでの「私刑」を、メディア・リンチという。
「炎上するような悪事をはたらいたんだから自業自得」
「再発防止や、抑止につながるに違いない」
そんなことを唱えながら、個人情報を特定し、追い詰めていく行為ははたして正義といえるだろうか。

SNSをキッカケに事態が明るみとなり、改善するケースだってある。
悪事は暴かれるべきである、という考えにはわたしもおおむね賛成だ。
しかし、悪事をはたらいたからといって「私刑」を受けるべきであるとは到底思えない。
いかなる「バカッター」であろうと、個人情報を特定して晒し上げる行為の対象となるべきではないのだ。
犯人の顔写真や本名を特定し、晒すことは名誉棄損に問われるリスクもある。
そこにあるのは、悪意か、正義か――。

炎上は「祭り」とも揶揄され、大きな盛り上がりを見せることもある。
晒した写真がきっかけで大きな議論が巻き起これば、さぞかし奮い立つことだろう。
しかしその一方であなたが晒した一枚の写真が原因で追い詰められた誰かが、首をくくる可能性だってあるのだ。
振りかざした正義が後味の悪いものにならないよう、晒すまえに少し冷静になりたいものである。

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あなたの正義がいつか人を殺すかも…「晒し行為」をするまえに考えたいこと


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